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北國銀行がケニアのスタートアップに本格融資!大注目の融資先企業に迫る

株式会社北國フィナンシャルホールディングス(Hokkoku Financial Holdings, Inc.)のグループである北國銀行が、令和6年4月12日、ケニアのスタートアップ企業「VITALRAY HEALTH SOLUTIONS LIMITED」に対し、クロスボーダーローンを実行しました。今回は、北國銀行そしてVITALRAY HEALTH SOLUTIONS LIMITEDとはどのような企業なのか、また、どうしてケニアの企業にローン提供を行ったのか、北國銀行のケニア部門の今後の展望なども含めてお伝えしていきます。


株式会社北國フィナンシャルホールディングスグループ(北國FHD)とは

北國銀行とは株式会社北國フィナンシャルホールディングスグループの金融サービス部門の1つです。ここでは北國フィナンシャルグループとはどのような会社なのかご紹介します。

企業概要

株式会社北國フィナンシャルホールディングス(Hokkoku Financial Holdings, Inc.)(以下北國FHD)は、日本の石川県金沢市に本社を構える金融グループです。企業概要は以下のとおりです。

  1. 設立年: 2021年10月

  2. 所在地: 石川県金沢市広岡2丁目12-6

  3. 代表者: 杖村 修司

  4. 上場市場: 東証プライム

  5. 資本金: 100億円

また、この企業には多くの関連企業があり、さまざまなサービスの提供を行っています。北國銀行はその金融部門であり、石川県の地域に密着した総合金融サービスを提供し、個人および法人向けに多岐にわたる金融商品を取り扱っている銀行です。
その他には、CCイノベーションなど、複数の子会社を通じて、地域経済の発展を支援するためのさまざまなサービスを展開しています。特に、CCイノベーションはコンサルティング業務に力を入れて取り組み、東南アジア地域(タイ、ベトナム、シンガポール)やケニアにおける事業展開の準備を進めており、ケニアのスタートアップ企業への支援も行っています。

※参照URL:北國フィナンシャルホールディングス
※参照URL:株式会社北國フィナンシャルホールディングスのプレスリリース

企業の特徴

北國FHDは、古くから地域社会に貢献し、革新的技術の早期採用、柔軟なサービス提供または、多様な事業展開などから、地元石川県では非常に高い評価を受けている企業です。
特徴的なことは、北國FDHが日本の地方銀行の中でも先進的なデジタルトランスフォーメーションを推進していることです。クラウド技術やAIを早い段階から採用し、業務の効率化や高度化を図ってきました。
また、北國銀行は、土日の店舗営業を開始し、スマートフォンを使った手続きの拡充など、顧客の利便性向上に取り組み、営業ノルマを廃止し、顧客本位の柔軟なサービスを提供する姿勢が評価されています​。
そのほか、北國FHDグループは、銀行業務に加え、コンサルティングや投資ファンド、地域のネット通販、旅行予約サイトなど、多様な事業も展開しているため、地域の経済活性化に貢献しており、地域社会からの信頼を得ています​。
※参照URL:北國FHDについて
※参照URL:地銀DXのトップランナー 北國FHD杖村社長に聞く、全社変革の考え方と進め方 | Japan Innovation Review powered by JBpress
※参照URL:ちょっとヘンかも?北國銀行ってこんな銀行

VITALRAY HEALTH SOLUTIONS LIMITEDとは

この企業は北國FDHグループの北國銀行がケニア現地法人に直接融資を行う初のケースでした。また、この融資は、ケニアのヘルスケア事業を支援するものでした。ここでは、投資先のアフリカ企業の企業概要と獲得投資額について説明していきます。

企業概要

VITALRAY HEALTH SOLUTIONS LIMITEDは、2014年に設立されたケニアの医療関連企業です。詳細は以下のようになります。

  1. 設立年: 2014年

  2. 所在地: ケニア ナイロビ

  3. 業種: 高度画像センターおよび検査事業

  4. 代表者: REUBEN WARIRAH

  5. 主要サービス:

  • MRIやCTスキャンなどの先進的な検査機器を用いた高度画像センターの運営。

  • 2019年からはがん治療や血液検査などの事業も展開。

  • 現在、ケニア国内で2つの検査センターを運営し、病院との連携を図りながら多くの患者に医療サービスを提供。

北国銀行は、VITALRAY HEALTH SOLUTIONS LIMITEDに対し、事業資金としてクロスボーダーローン(※1)を実行しました​​。これは、ケニアの医療インフラを改善し、高度な画像診断サービスを提供するための資金となっています。また、この投資は、地域社会の健康と福祉の向上を目指し、SDGsの目標達成にも寄与するためにも行われています​。具体的な投資額については公開されていませんが、融資は同社の高度画像センターの運営拡大および新たな検査施設の増設を目的として支援されています。

※1クロスボーダーローン(Cross-Border Loan):金融機関が自国に拠点を置きつつ、他国の企業や個人に対して融資を行うことを指します。この種の融資は、国際取引やグローバルビジネスの資金調達手段として重要な役割を果たしています。
※参照URL:北國銀行、ケニアのスタートアップ企業へのクロスボーダーローンを実行
※参照URL:About Us - VitalRay Health Solutions
※参照URL:VitalRay Health Solutions Company Profile 2024: Valuation, Funding & Investors | PitchBook


VITALRAY社の特徴

この企業は主に高度画像診断サービスを提供しており、ケニアではまだまだ入手しにくいMRIやCTスキャンなどの先進的な検査機器を採用しているところに特徴があります。検査施設の増設計画も進行中であり、将来的な成長が期待されています​。
2019年から高度画像による検査センターを中心に、がん治療や血液検査などのサービスも提供しています。現在、ケニア国内に2つの検査センターを運営しており、病院との連携を強化しながら、患者さんに質の高い医療サービスを提供できるようにしています。
また、VITALRAYは、地域との強い連携も強みの1つです。ケニア国内の病院や医療機関との連携を強化することにより、地域社会に根ざした医療サービスを提供しています。病院だけでなく、医療保険の会社とも連携し、患者さんの健康サービスだけでなく支払いなどのファイナンシャルプランまで充実しています。
さらに、北國フィナンシャルホールディングスグループからのクロスボーダーローンにより、事業拡大と新たな検査施設の設立が支援されています。以上のことからも、VITALRAY は現在、ケニアおよびアフリカ全体の医療インフラの改善に貢献する重要な企業として注目を浴びています。
※参照URL:ケニアのスタートアップ企業へのクロスボーダーローン(北國銀行) | ペイメントナビ
※参照URL:About Us - VitalRay Health Solutions
※参照URL:北國銀行、ケニアのスタートアップ企業へのクロスボーダーローンを実行

北國FHDの将来の展望

ここでは、なぜ北國銀行がVITALRAY社にボーダーローンを行ったのか、その背景や理由を踏まえ、北國FHDの将来の展望をお伝えしていきます。

北國銀行がVITALRAY社に投資した理由を考察

北國FHDは現在SDGs(持続可能な開発目標)に大きな関心を寄せています。VITALRAYの事業は、SDGsの目標3(健康と福祉)と目標17(パートナーシップ)に大きく貢献するものであり、地球規模の課題解決に寄与すると考えられていることから、北國銀行はVITALRAYを投資先に選んだと考えられます。
また、VITALRAYという企業だけでなく、ケニアという国も投資理由の1つです。ケニアはアフリカの中でも経済成長が著しい国の一つであり、新興市場としての潜在力が高いと評価されています。
北國銀行は、成長が見込まれる市場への投資を通じて、国際展開を強化し、ビジネスチャンスを拡大することを目指しているため、VITALRAYの企業が目に留まったと考えられます。
特に、ケニアおよびアフリカ全体では、医療インフラの発展が遅れており、高度な医療機器や検査設備の導入が不足しています。そのような中、VITALRAY HEALTH SOLUTIONS LIMITEDは、MRIやCTスキャンなどの先進的な検査機器を用いた高度画像センターを運営しているため、今後発展していく可能性が高いと考え選ばれたのではないでしょうか。
さらに、北國銀行は、同じグループ内のCCイノベーションがケニアにおける事業展開を支援する体制を整えており、これにより現地でのネットワーク構築やビジネス展開がスムーズに進められることも理由の1つに入るでしょう。
※参照URL:THE 17 GOALS | Sustainable Development
※参照URL:北國FHD、ケニアで現地法人を設立へ!国内銀行では初となるケニア拠点の設置! | Africa Quest.com
※参照URL:ケニアのスタートアップ企業へのクロスボーダーローン(北國銀行) | ペイメントナビ

北國FHDのアフリカ国内での展望

ケニアはアフリカ東部最大の経済国であり、高い成長ポテンシャルを持つ市場として注目されていることから、北國FHDはアフリカ市場での事業拡大を目指し、特にケニアでの活動を強化しています。そのため、ケニアに現地法人を設立し、医療インフラの改善を目的とした投資を積極的に取り組み始めています。
次に、北國FHDは、持続可能な社会の実現を目指して、地域のクオリティ向上に貢献する人材の育成に力を入れています。これは、アフリカでも同様に行われており、現地の人材育成や社会インフラの改善を通じて、地域社会の発展に貢献しています。
また、北國FHDはデジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、クラウド技術やAIを活用して業務効率を高めています。例えば、ケニアのVITALRAYへの投資を通じて、医療サービスのデジタル化や高度化を図ることにより、アフリカ市場でも高度な金融サービスを提供し、現地のビジネス環境をデジタル化する取り組みを進めています。
そのほか、北國FHDは、現地のパートナーシップを強化し、地域社会との連携を深めることで、持続可能な発展を目指しています。ケニアでの投資事例のように、地元企業との協力を通じて、現地経済の活性化と社会インフラの改善と支援拡大を目指しています。


※参照URL:北國フィナンシャルホールディングス、『統合報告書2023』を発行
※参照URL:地銀DXのトップランナー 北國FHD杖村社長に聞く、全社変革の考え方と進め方 | Japan Innovation Review powered by JBpress
※参照URL:サステナビリティ|北國フィナンシャルホールディングス

まとめ

北國銀行は、ケニアのスタートアップ企業VITALRAY HEALTH SOLUTIONS LIMITEDに対し、重要なクロスボーダーローンを実行しました。この融資は、北國銀行にとって初めてのケニア現地法人への直接融資であり、ケニアの医療インフラを改善する目的のために行われました。
VITALRAY社に投資を決定した明確な理由は不明です。しかし、VITALRAYの強みは、高度な医療技術と地域連携であり、SDGsの目標3(健康と福祉)および目標17(パートナーシップ)に大きく貢献しています。
このようなVITALRAYの取り組みは、SDGsに注目し市場拡大の可能性を秘めているケニアに関心のある北國銀行の事業拡大目的に上手く合致したと考察できます。
VITALRAYは2014年に設立されたケニアの医療企業で、先進的な画像診断サービスを提供しています。主にMRIやCTスキャンを用いた高度な医療検査を行っており、がん治療や血液検査なども手掛けています。
北國銀行の融資により、VITALRAYはさらに検査施設を増設し、サービスを拡充する計画です。このように、北國銀行とVITALRAYのパートナーシップは、ケニアの医療インフラ改善と地域社会の発展に大きく貢献するものであり、両者共にメリットのある重要な取り組みとなっています。

ライター紹介

増田さなえ |AA Health Dynamics株式会社 グローバルサウスにおける事業開発支援集団 (aa-healthdynamics.com)
米国ピッツバーグ州立大学卒業後、セントマシュー医科大学とウィンザー医科大学に進み医学博士取得、救急医師として、米国やカリブ海の医療に従事する。2014年に出産のため休職し、ウェブライターを始める。2014年からカリブ海の救急医として2019年まで働く。2020年からは米国に戻りウェブライター専門で活動中。

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この記事に関するお問い合わせや、アフリカビジネスに関するご相談は下記までお気軽にどうぞ!
AA Health Dynamics株式会社
Email info@aa-healthdynamics.com


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