摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~54
食べたい気持ちだって、痩せたい思いだって、今の私のように極端で偏ったレベルじゃなければ、別に悪いことではないはずだし、世の中のみんなだって、いっぱい食べたいこともあるだろうし、痩せたくなることもあって当然だと思う。いつでも決まったものを、決まった量しか食べない人なんていないと思うし、今よりも痩せたいと思うことだって、全然普通の感覚なはず。ただ、今の私の(食べたい)や(痩せたい)は、世の中の普通の感覚からはかけ離れてしまって、極端で偏っているだけ。考え方自体が間違っている訳ではない。だから、今は苦しいけど、今は辛いけど、先生と一緒にほんの少しでも良くなるように、一つづつ今出来ることを考えてやっていく。ただそれだけ・・・なのかもしれない。
「仮にそう考えることで、その時は心がほんの少しでも楽になるとしても、問題は、いつもいつもそうやって前向きに切り替えられないことなんだよね・・・」
それでも、必死になって前向きに切り替えていこう、としている自分も、頭のどこかに存在する。そのことに、自分で自分に〇を付けてあげよう・・・
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以前、先生が言っていた
諦めることなく克服に向かう姿勢を持ち続けること、これこそが唯一の克服の方法、手段と言っても過言ではありません
という言葉を思い出していた。
「やっぱり私は、過食嘔吐をやめたい・・・そんなことが繰り返される、いや、繰り返してしまう生活から抜け出したい。本当は、大量に食べて、それでも痩せていられることなんて、私が必死になって守りたいことなんかじゃないのに・・・」
かといって、何を守りたいのかはわからなかった。でも、もういい加減食べることや痩せることに拘って、囚われて、憑りつかれたように追い立てられて、振り回される毎日に疲れ切っていた。
「だから、(ほんの少しでも良くなるように今出来ることを一つ一つ積み重ねていく)し、(諦めないで前向きに切り替えていこう)と必死になっているんだし・・・」
それが摂食障害を克服する唯一の方法だと信じて・・・
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気が付いたら、部屋の中が真っ暗になっていた。そこに、眩しくて、そして柔らかな光が差し込んでいた。
窓を開けて空を見上げると、月が輝いていた。
「月の光・・・確か、月は自分自身で光っているわけではなく、太陽の光を反射して光っているんだったはず。・・・今の私も、自分自身の力だけではとうてい輝けないけど、太陽のように先生の力を借りて、先生の光を反射してでも輝けるようになれないかなぁ・・・それでもいいから、ほんの少しでもいいから輝きたい・・・」
諦めることなく克服に向かう姿勢を持ち続けること、それが摂食障害を克服する唯一の方法だと信じて・・・
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