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Vol. 8 ▶︎『1時間だけゲストハウスに滞在してみた』

元リゾートホテル支配人が手掛ける
地元のモノ・コトに焦点を当てた
古民家ゲストハウス

【ゲストハウスKARAI】
⚫︎長野県/富士見町

✔︎富士見駅から徒歩30秒ゲストハウス
✔︎宿泊の他に、コワーキングスペースもオープンしました。ひとり旅からグループ、またビジネス利用まで気軽に利用できる駅前ゲストハウス

×賀来寿彦さん
⚫︎ゲストハウスKARAI 宿主 

地元(富士見町)の高校を卒業して、スポーツのインストラクターを目指すために上京し専門学校に入学。しかし就職活動で自分の思い描く企業に出会えず、再び地元に戻ることになる。その後地元にある総合リゾートホテルに就職し、27年間業務を全うし、最終的に支配人となる。一方で衰退化した地元である富士見駅前の活気を宿を通して取り戻したい思いがあった。その思いは消えず去年の3月に退職し、同年12月にゲストハウスKARAIが誕生した。

そんなゲストハウスの経営を行っている宿主、三上さんのstoryやexperienceを紐解く…


「おじゃまします」

interview

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学生時代何をしていましたか?
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色んなことを経験していました。その中でも色んなアルバイトをしていましたね。スーパーのお肉屋さんや、スケート靴の磨いて歯を研ぐ仕事や、スキー場のレストランでの仕事をしていました。それらのアルバイトを通して、世代が違う人ともコミュニケーションを取る機会が増え、個人的には年配の人から気に入られる性格なんだなってことも知りました(笑) 

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なぜゲストハウスを作ろうと思ったのですか?
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自分がこれまでリゾートホテルのフロントやレストラン、最終的には支配人として全体を見ていた時に、旅行の形態が変わったなと思ったんです。というのも、比較的うちはファミリー向けのホテル(以前勤めていた職場)だったんですけど、やっていくうちにそのような "団体" での旅行が下火になってきて、"個人" の旅行が増えてきたんじゃないかなと感じたんです。
また以前は宿泊施設が3.4つある活気ある富士見駅前が、ここ20年近く宿泊施設0のシャッター街となってしまったんですね。せっかく富士見の街に来たのに、最終的に近隣の諏訪や茅野のエリアに人も経済も流れてしまうことに懸念を抱いていました。
これらを見たときに富士見の街や訪れた観光客に貢献したいという思いが生まれ、ゲストハウスをこの街に作ろうと決めました。

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地元の富士見の中でも、なぜここの場所を選んだのですか??
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駅前をちょっと歩くと空き家みたいのがいくつかあるんですけど、どれも中途半端に遠いんですよ。なので電車でアクセスし易い駅周辺か、車でアクセスし易い中央自動車道のインターチェンジ周辺にないかなと思って探したんですけど、良い物件が見つかりませんでした。そこで候補を2つに絞ったんです。第1候補は実はここじゃなくてここから近い、昔やってた民宿の跡地だったんです。そこに声かけてみたんですけど、そこに既におばあちゃんが住んでいてまだ売ったり買ったりはしないということでダメでした。第2候補は今の物件で、地元の商工会の方から紹介していただきました。この物件は駅前を通る度に「なんか古い建物あるな〜」って思っているだけで全く候補に挙がってなかったんです。だから紹介された時には「ああ〜。ここですかあ、知ってますけど(笑)」みたいな心境でしたね。
実はここの物件、以前の持ち主さんが売却したいってことで間に商工会の人が入って、後に地元に住んでるおっちゃんが買ったんですよ。その人は駅前で飲食店をやりたいということで既に工事に取り掛かっていました。その間少し中をみさせていただきました。一階部分は完成していたのですが二階部分は手付かずだったものの、日当たりが凄く良く部屋も区切られていて、外から見た時とのイメージとは全く違かったです。そこで勝手に自分の中で「これ上手くやれば行けるんじゃないかな」となんて思ったりもしました(笑) 
なんとそこから急展開を迎え、商工会の人も「是非、駅周辺には宿泊がないので開業して欲しい」と言われ、そこから大家さんとの話し合いを重ね、その結果ここにゲストハウスKARAIを建てることになりました。

自分のコンセプトがどれだけ
職人さんに伝わっているのか━━━━━━━ 。

改築をする上で、工務店に見積もりを出したら、とんでもない金額が出たんですよ。そもそも自分が「古民家をゲストハウスにしたい」と言っても、工務店は建物を建てるのが主な仕事なので、上手く伝わらなくてね。その後リフォームや増築を主にやっている人を紹介してもらってその人とやっていくことになりました。その人からは「最近はゲストハウスでこんなの流行ってるよ」とかの助言をいただき、それらを取り入れたりもしました。しかし一方で自分の思っている完成形の雰囲気がどれだけ職人さんに伝わっているのかなっていうのは悩みでしたね。だから曖昧なところはもう一度職人さんに絵を描いて説明したり、ネットでこんな所がいいんですよ、こんなイメージなんですよと、細かいところまでマッチングできるように、意見交換は緻密に行っていました。

⚫︎改装段階

(ゲストハウスKARAI公式Instagramより)
▶︎guest_house_karai

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ゲストハウスを作る上で印象的だったことはありますか??
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ありますよ…!作業している時に自分が入院したことです(笑) ほんとは10月の末には完成する予定だったんですけど、結局出来上がったのは12月頭だったので、2ヶ月弱延びてしまいましたねー。

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ゲストハウスKARAIの見所を教えてください
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日当たりの良い一階のリビングですね。ソファーやテレビが置いてあって、とにかく落ち着く場所なんです。完成後をみても、最も良い雰囲気出せた空間だったな思えたところでもあります。
ここリビングは部屋として仕切られていたんだけど、襖取っ払って全部繋げたんです(笑) なので開放感があって、より落ち着ける空間にはなっています。

(ゲストハウスKARAI公式Instagramより)
▶︎guest_house_karai

一喜一憂ですよ━━━━━━━。

コロナがここまでひどくなるとはね(笑)
電話なるとすぐに「お、よし!」と思うけど、そのあと問い合わせだけで終わったりとか、予約がキャンセルになったりすると「ワーマジかー」ってなります(笑) 
1人予約入っただけでも嬉しいですよ。ほんとは休みにしたかった定休日を1人のお客さんのために開けてあげてあげたりしましたね。大事なお客さんですからね。それはリゾートホテルで勤めていた時から変わらずですね。

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今後新たにやっていきたいことはありますか?
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4つあります。1つは地元の人が交流する場や、泊まる人だけでなく、たまたま通りかかった人が気軽に来てくれる場所(喫茶)を作りたいなと思っています。また駅前という立地を生かして、地元の人と電車を待っている人やビジネスマン、旅人間で交流を持てる場所もいいですよね。
2つ目はゲストハウスKARAIの2号店を同じ富士見町内に作りたいなっていうのも考えてます。コンセプト的にはここ(1号店)は交流の場として、2号店はコロナ禍の新様式として非接触型を取り入れていきたいなと考えています。その交流型、非交流型の二局面でお客様を迎えていけたらいいなと思います。
3つ目は電動自転車や電動バイクの貸し出しをやりたいなと考えています。こんなに良い空気や景色が味わえるのに、この周辺にはバイクの貸し出しを行っているところがないんですよ。この街は地形的にアップダウンが激しいので、電動であれば快適に景色を楽しめるのではないかと思い、現在導入を考えています。
4つ目は近々やる予定なんですけど、ソフトクリームをここで売りたいなって思っているんですよ。機械はもう設置したあって、あとは保健所の許可さえ得れれば売ることができます。

▶︎春のキャンペーンも実施中です

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富士見町のオススメの過ごし方を教えてください
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富士見ではとにかく自然を感じて欲しいです。感じるといっても、山を見たり、街を歩いてみたり、野菜の収穫をしてみたり、そのまま口にしてみたりと。これらはまず都会ではできないことじゃないですか。そんなここ富士見でしか味わうことができない体験を以下に共有します。

✔︎ルバーブを味わう🥕
ルバーブの収穫量はここ富士見が日本一なんです。それを収穫してそれを自分の手で加工して、それをお土産にしたり、そのまま食べたりできる体験プランもオススメです。

✔︎自転車で富士見の街を走る🚴‍♀️
ここの駅前でも標高が800mもあるので、空気が澄んでいて、自転車で走ると凄く気持ちが良いんです。あとはそこに映る景色が凄くいいんですよ。自転車を走らせると南アルプスから北アルプス、八ヶ岳、富士山を満遍なく見ることができるんですよ。場所によって多種多様な景色を見ることができます🏔🚴‍♀️💨

✔︎諏訪大社で参拝する🙏
日本有数のパワースポットなんですよ。

✔︎入笠山(南アルプス)をハイキングする🥾
初心者や女性のリピーターが多いんです。ちょっと違う景色をみたい人にとっては気軽に登れる山なんです。

✔︎縄文時代の遺跡🦖
縄文時代の生活が見れる考古館もあります。


✔︎高原野菜を使った◯◯
⚫︎このゲストハウスの近くには地元の野菜、卵などを使ったイタリアン料理店があります。
⚫︎うちの街にはカゴメ野菜ジュースの工場が昔からあるんです。それに派生して2.3年前にカゴメ野菜ファームができて、そこで何十種類のトマトを収穫することができたり、収穫したてのトマトや、地元の高原野菜を使ったピザやパスタを食べることのできるレストランも併設されています。
⚫︎このゲストハウスの近くに牧場である農場実践大学ってのがあって、そこで採れた卵や牛乳が凄く美味しいんです。それを使っているレストランも周辺に結構ありますよ。

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今後ゲストハウス開業に向けて動いていく僕に一言アドバイスいただけたら嬉しいです…!
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私からそんなおこがましいというか、偉そうなことは言えないのですが(笑) 
まあしいて大事だなって感じるのは人と交わること、即ち色々な人たちと交流することかな。この開業にあたってはホテルで17年間やってたので、宿泊に関する業者さんやお客さんとの関わりに凄く助けられたなって感じました。この1年間は特にそうです。なので友達から先輩から後輩からお客さんから色んな人との繋がりが財産となり、後々助けてくれるなと感じましたね。これらはお金では買えないですからね。
あとはお客さんを自分の家に招き入れるような気持ちが大切だと思います。極論施設がどんなにボロボロでも、その空間の中でお客さんに対して温かく迎えようという気持ちさえあれば、それこそ素敵な宿だと思います。
そんな気持ちをもちつつ、開業準備頑張ってください‼︎ またなにか聞きたいことあれば、是非言ってくださいね^ ^

以上でインタビューの内容は終わりです。
賀来さん、貴重なお時間とお話をありがとうございました^ ^👍

このあとも引き続きお付き合いください…✨

(ゲストハウスKARAI公式Instagramより)
▶︎guest_house_karai

column

⚫︎もし僕が、
「ゲストハウスKARAI」に滞在するなら…
🚶‍♂️💨

13:00 【農場食堂】でアイスクリームを堪能

▶︎併設されている実践農場の牛乳で作られたものです

(Instagram: @s_i_m73より)

(Instagram: @akibullbearより)

▶︎▶︎お土産にキャベツ(高原野菜)を購入

(Instagram: @s_i_m73より)

14:30 【入笠山】登山開始

15:00 【入笠山】登頂(わずか30分です)

(Instagram: @daichiyahooより)

16:00 【ゆーとろん 水神の湯】に浸かる

▶︎入笠山の麓から湧き出る湯処です

(Instagram: @starpartyyokamiより)

17:30 【ゲストハウスKARAI】チェックイン

▶︎木の温もりの中で、賀来さんお手製のコーヒーとソフトクリームを堪能する

(ゲストハウスKARAI公式Instagramより)
▶︎guest_house_karai

18:00 【KARAI周辺】を散策する

▶︎夕日を眺めながら、山々に囲まれた地形を楽しむ。個人的にはこれが楽しみです

20:00 【KIZASHI Station】で夜のひと時を

▶︎KARAIから徒歩1分圏内にあり、かなり雰囲気のある食処です

(Instagram: daldalbutibutiより)

21:30 星をみながら、地酒を飲む

▶︎山々や自然に囲まれたKARAIの外からみる星空は綺麗なこと間違いなしでしょう

▶︎うちゅうブルーイング×八ヶ岳ブルワリーのコラボビール
(Instagram: @yatsugatakebeerより)

22:30 部屋に戻り、今日1日を振り返る

▶︎ 僕は必ずその地域のポストカードを購入して、そのポストカードの裏に今日の出来事やその地に触れてみて感じたことを書いています

23:00 就寝

翌日7:00 起床

▶︎木漏れ日が眩しいです

7:30 コーヒーを飲みながら、広々とした木々に囲まれたリビングで爽やかな朝を過ごす


新たな旅路へ。

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⚫︎ハラちゃんのメモ帳

この1時間の中で、賀来さん自身、そしてゲストハウスKARAIのストーリーを語っていただきました。そこからは富士見への愛で溢れていました。それは「この街が好きだ」というよりかは「この街を守りたい」という想いが強いなと感じました。人生もそうだけど、その地域もいい時ばかりじゃない訳です。昔は繁栄していたお店の数々がなくなり、コロナが蔓延したりと富士見の街にとっては大変な時期だったと思います。一方で27年間働き、支配人となったにも関わらず仕事を辞め、地域のため、観光客のために個人でゲストハウスを建てることを決意した賀来さんは凄く素敵だなと思いました。
インタビューの中でも「昔から変わらないローカルの温かさや自然の豊かさを広めていきたい、一方でなくなってしまった地域内外での交流する場所(喫茶や宿泊施設)を再び作りたい」と仰っていました。幼少期から富士見の街と共に育った賀来さんだからこそできたことだと思いました。
仮に拠点が地元じゃなくても、賀来さんのような地域に対する想いは大事にしていきたいなと思いました。

今回はこのような素敵な話をしてくださった賀来さんにはとても感謝しています。そして1時間という限られた時間、ゲストハウスに招き入れていただき本当にありがとうございました!

「おじゃましました」

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