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『1時間だけゲストハウスに滞在してみた』 〈再編〉  


 訪れた者だけが魅力を味わえる
秘密基地型
ゲストハウス 

ゲストハウス ねる山____________________________

⚫︎山口県 / 長門市 / 俵山

藤永社長
ゲストハウスねる山 宿主__________________________________________

岩田さん
ゲストハウスねる山 若女将__________________________________________

interview

■それぞれの想い____________________________

▽藤永社長

ゲストハウスってうちは言ってるけど、どちらかというとなんちゃってゲストハウスみたいなとこあるんだよね。 

ここは温泉街の中にある建物なんだけど、この温泉が寂れていって、空き旅館が増えていったんだよね。この空き旅館をこのまま置いておくのはだめだろうということで、空き旅館を買い取らせてもらって、そこで宿泊施設をやってみたいと思ったわけです。 

ただ資金もあまりない、人も雇えないし、、じゃあどうしたらいいかって考えたところ、ゲストハウスって名前をつけて、安く、そして簡単に泊まれる施設にしちゃえばあんまり手も掛からないし、施設を大きく改修することも必要ないのかなって思いました。 

それで温泉街に賑わいをもう一度取り戻したいという思いが強くあったため、この地にゲストハウスを作りました。

また実は飲食店がメインなんですよ。その名も「たべ山」。この名前は一生懸命考えたんです。由来は、この辺りではお客様が来てお料理を出す時に「食べさんいね」という接待の仕方をするのね。 

その「たべさん」と「俵山(ここの地名)」をかけて「たべ山」という名前になりました。(ちなみにゲストハウスの「ねる山」は食べるの「たべ」だったら、「寝る」で「ねる山」になったそうです笑)そんな飲食店を経営しながら宿泊施設も経営できたらいいなって思い、ここの空き旅館を買い取らせてもらって、ゲストハウスという名前を付けることでお客様が来てくれるんじゃないかなって考え始めました。 

だから温泉街に旅館がいっぱいある中で、ゲストハウスという安くて泊まりやすい空間があれば、若い人たちも来てくれるんじゃないかなっていうのも一つありました。 



▽若女将(岩田さん)

私は4ヶ月半前に、ここ俵山に移住してきました。 

その前はJICAに勤務していて、もともとは国際協力とか海外の方たちに向けて同じように生活が豊かになったり、自分の力で自立できるようなサポートをしたいなっていうのがありました。 

けどコロナの影響でその話が流れてしまって、でも同じようにJICAで働いていた時の同僚たちが海外じゃなくて、国内でもできることが絶対にあるよってことで、この地域おこし協力隊があるよってことを教えていただきました。 

なので私は地域おこし協力隊としてここにきています。
それでこの藤永社長の立ち上げているSD-WORLDっていう会社の中で若女将として地域の人たちとこの地に赴いた旅人をうまくマッチングして、繋げていけるようなことをしたいなという思いが1番にありました。



■学生時代何をしていましたか?______________________________________

▼藤永社長

今58歳になって学生時代っていうと40年近く前になるかな。 

思い出せる限りだと、学生時代はほとんど勉強してなかったね(笑) ずっと遊んでましたね(笑) 人の役に立ちたいとか、地域を盛り上げたいとか、そういう思いはほぼ無かったね。 

実はある電気メーカーに就職が決まってたんですよ。だけど僕は田舎の長男坊だったので、市役所の試験を受けてみないかと周りの人たちに言われて、試験を受けてみたらたまたま通っちゃったのね。 

そしたら周りから市役所に行きなさいよと言われはじめてね(笑) すなわち自分自身がどういう道に行って、どういうことをしたいのかって、今の若い人たちみたいに明確になっていなかったなって今思えば。 

そのまま流されて市役所に入ってしまいました。昭和60年にね、まだ昭和なんだよ〜!(笑) で、1番最初に配属になったのが公民館だったのね、俵山公民館っていうところね。 

そこで実際に働いて当初は、僕の生まれ育った故郷なんだけど、人が分からない、場所も分からない、どんな観光名称なのかも分からなくて、こりゃ参ったなって思いましたね。 

ここに生まれ育ったからにはそういうことを知っておかなければいけないなって思って、そこから色んな人と関わったり、地域のことを知ろうとしましたね。そこが原点として、今の地域おこしや活性化に興味を持ったのかなって思います。 

小さい頃は皆んな一緒だと思うんだよね、プロ野球選手とかパイロットになりたいとか(笑) だから今の若い人は色々な考えや夢を持っていて凄いなって思いますよね。僕はそこまで強い想いはなかったね。 

今もね、そんなに想いが強くないんじゃないかなって思ったりする時があるんだよね。けど僕が動いている方向性って、神に導かれているような、なるようになっているような気がしますね(笑) あとは自分で言うのは変なんだけど、人たらしなんですよ。 

だから僕の周りに凄く有能な人物が集まってくるんです、不思議と。それは若女将の悠ちゃんもそうなんだけど。 

そういう人たちが僕を助けてくれて、いい方向に導いてくれているのかなって思います。だから強い思いもあるわけではないし、お金儲けしたいとも思わないしね(笑) 


▽若女将(岩田さん) 
けどすっっごい愛があるんですよ(笑)


▽藤永社長 
いやいや。ほんとは自由人で生きたいなって思ってたんだけど、しがらみだらけでね(笑)

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▼若女将(岩田さん) 

私は高校まで運動しかしてこなかったので(テニス、バスケ、サッカー)、世界のこととか国際協力とか全く興味なかったんですよ。 

大学がグローバルな短大だったんで、帰国子女の子とか、留学して帰ってきた子とかが沢山いて、そこからこんなに面白い世界があるんだとか思って(笑) いわゆる学生時代なんて、スポーツですごく厳しい世界にいて、コーチが言ったことは絶対みたいな感じのとこで生きてきたんで、もっともっと色んな楽しいことがあるんだってことを全然知らなかったんです。 

なので大学に入って色んなことを知るきっかけになった流れで、短大生の間に、JICAの中にあるカフェで2年間たまたま働くきっかけがあって、そこから海外との距離感が近くなり、更に興味を持つようになりました。 

一方でJICAで国際協力とか言ってるけど、私も藤永社長と一緒で100%その現地のために協力します!という気持ちはあんまりなくて、自分が楽しいとかワクワクするなって思っていることが結果的に周りの人たちにも伝わって一緒に思いを共有できたらいいなって思っています。 

すなわち三方よし(自分も楽しい、相手も楽しい、その周りの人も楽しい)を常日頃から意識して物事に取り組んでいますね。 

中学高校時代にスポーツやっている時も部長とか上に立たせてもらう機会が多くて、それもあり自分ことだけじゃなくて、全体がみえるようなことは常に意識して動いていたつもりではありますね。 

それが今回色んなご縁もあって、俵山で活動をしています。 



■なぜゲストハウスを作ろうと思ったのですか?______________________________________

▼藤永社長

純粋に宿泊施設を経営したいと思ったからです。ただちゃんと宿泊施設をやろうってなると、色々と投資するし、人も必要になる。 

その中で1番安易にできる宿泊施設がゲストハウスだと思ったからです。あとは僕の友達に結構ゲストハウスをやってた方がいて、そこに行った時に施設内での人同士の交流が活発でこういう形式の宿泊施設って面白いなと純粋に思ったのも一つです。 

そしてあんまり結果的には変わらなかったんだけど、宿泊施設をやるための保健所の許可とか、そういう時にゲストハウスだと簡易的で済むと理解していたので(笑) そういった色んなことを想いながら、ゲストハウスだと思ったわけです。


■なぜゲストハウスで働こうと思ったのですか?______________________________________

▼若女将(岩田さん)

ゲストハウスって人と人同士が交流できる空間だなって思っていて、私もけっこう国内外を1人旅する時にゲストハウスに泊まることが多かったんですけど、やっぱりそこに来る人たちってめっちゃ面白い人たちばかりじゃないですか(笑)  

凄いアイデアや経験を持っているし、一緒にいて楽しくなるんですよ。 

だから自分が行くっていうのもそうだけど、自分がゲストハウスで働いて、そういう面白い人たちに自分自身も沢山出会いたいし、面白い人同士も繋げたい仕組み作りができたらいいなっていう思いがあったので、働くことに決めました。


食のインパクトが強い━━━━━━━━━。
by若女将


俵山ってめちゃくちゃ食材が美味しいんですよ…! 名古屋からこっちにきた時に、食のインパクトにビックリして、何食べても素材が美味しいから、もうここ俵山の食材を是非一度味わって欲しいです(笑)



コロナ渦だからこそ━━━━━━━━━。
by若女将 

私は海外で何かしたいっていう思いがあったんですけど、今はコロナで海外を行き来するのは難しいから、逆にこの俵山で海外の文化やアートを取り入れたイベントとか出来ないかなーって思ってます!
まずは俵山の人たちにその国の文化や歴史に触れていただくことで、コロナが収束して、海外の方が訪れてくださった時でもローカル同士の文化交流ができるのも面白いかなって思いますね。



■なぜ "ひみつ基地" というコンセプトなのですか?
______________________________________

自然もたくさんあって、凄い魅力的な街なのに、都会の人たちにはあまり知られていないっていうのが自分の中でモヤモヤしていて。 

ここ俵山に来て、現地の人とか、現地の食に触れたら絶対に大好きになると思うんですね。でもテレビやSNSとかでみて、都会的な豊かさで観光目的で来るとなるとちょっと違うなって思うんですよ。 

結構レトロな街でね。なので俵山にはガチで旅している人とか、自分で何かをチャレンジしたいとかそういう人たちが集まる、すなわちひみつ基地で作戦会議をやるイメージですね。 

なので一時的なブームで人が来るってよりは、こういうチャレンジを実現したいなとか、旅の中でこういう面白い空間を見つけたんだよとか、そういう人たちの口コミがどんどん広がっていって色々な人たちが集まるような仕組みを作りたく、それに合致したワードが "ひみつ基地" だったわけです。



… 

必要以上の
おもてなしをしない━━━━━━━。   

ここ俵山のいいところって、必要のおもてなしをしないとこなんです。都会とかだと、本音と建前じゃないけど、建前上おもてなしをしてますみたいな感じが強い時があったりする。一方でここの方たちの良いところって、普段の生活の中に自然と溶け込ませてくれる「自然体なオープンさ」があって、一度会ったらもう仲間みたいなのが俵山の良いところだなってヒシヒシと感じてますね。お客様も自然に馴染んでいる方が多いですよ(笑)

湯治場から派生した文化が━━━━━━━。 

ここ俵山は昔から、体の悪い人たちがそれらを治すために来ていた温泉地(湯治場)なんです。その人たちに相対する接し方するのは、ここの文化として根付いているんじゃないかなって思うんだよね。けどここは農村地域だから、保守的で壁を作っちゃう人もいるにはいたけど、全体をみると体の悪い人たちを温かくお迎えしていた地域、文化なのだと思います。きっと外から来た方もそう思われると思います。そんな歴史的背景があります。


■ 大正琴 × 温泉 

〈温泉街に鳴り響く,  
   ノスタルジックなハーモニー〉


若女将の岩田さんの実家では, 大正琴を作っています. そのきっかけで幼少期から琴を触れる機会がありました. 

今でも俵山、いや俵山の温泉街に素敵な音色を届けるために, 今日も大正琴を奏でています.
 
俵山の温泉街でタイムスリップ気分を味わってみては.




■このゲストハウスを漢字1文字で表すと?______________________________________

「人」ですね。このゲストハウスに関わらず、藤永社長やその周りの方、ローカルの方の雰囲気が温かく、この地域は特に人の力が凄い大きいなって感じますね。 

なのでこの場所を見て欲しいってより、俵山をみて欲しいって思います。



▽藤永社長 
ここの温泉もあったかいよ(笑)



■こんな人にこの地域、またはゲストハウスを訪れて欲しい!とかありますか?_______________________________________

もちろん誰でもウェルカムだけど、1つ挙げるなら芸術家。 

ここの温泉に逗留をしながら、何か作品を生み出して欲しい、可能であればテーマが俵山であったら言うことはないですね。



■今後ゲストハウス開業に向けて動いていく僕に一言アドバイスいただけたら嬉しいです…!______________________________________

ゲストハウスって思ったほど儲からないよ(笑)
そこは覚悟しておいた方がいいよ。やっぱりほとんど旅人しか使わないからね。 

ただ自分のやり方次第ではとても面白い空間にはなるとは思うね。ただゲストハウスも全国でこんなに沢山できてきて、岐路に立っているのかなとは思うね。 

実際にこの辺でも乱立していているんだよね(笑) だからゲストハウス+α、大原くんだったらスリランカ料理とかやってみたら面白そうだと思うよ。是非頑張って下さいね! 


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以上でインタビューの内容は終わりです。藤永社長、若女将の岩田さん改めて貴重なお時間をありがとうございました。1時間の滞在は、学びあり、楽しさありで、お二人からねる山の空間や俵山への愛が凄く伝わってきました。


〈後半に行く前に宣伝〉



このあとも引き続きお付き合いください。

column

●もし僕が「ねる山」に滞在するなら…

10:30 【元乃隅神社】using タクシー______________________________________

(Instagram : @iam_hikaruより)

13:30 【俵山】の街に到着
【たべ山】でランチ______________________________________

(たべ山公式Instagramより)
▶︎@taptawarayama

14:30【熊野山公園】から俵山の街全体をみてみる 
______________________________________

15:30【町の湯】で昼間から温泉に浸かる______________________________________


16:30 【SDカフェ】
にてコーヒーを嗜む______________________________________

(SDカフェ公式Instagram)
▶︎@coffee_roaster_yama

17:30 路地裏を散策する______________________________________



→【ゲストハウス ねる山】
にチェックイン______________________________________


18:30 【白猿の湯】
湯治場に浸かる。______________________________________

(Instagram: @oidemase_yamaguchiより)

19:30 【たべ山】でディナー🍽
⬇︎ジビエ蕎麦______________________________________

(Instagram: @yamyama00000000より)

20:30 【ねる山(秘密基地)】に戻り、お酒を片手に語ったり、自分の時間を過ごす。______________________________________

その後就寝…💤

▽▽▽


⚫︎ハラちゃんのメモ帳______________________________________ 

この1時間の中で、お二人のゲストハウスや俵山への想い、ゲストハウスの良さ、食の豊かさ、人の温かさ、地域の特徴を生かした素敵なコンセプト設定、そして最後の僕へのゲストハウスのリアルな現状と素敵なメッセージ…。1時間で収めるのはとても大変でした(笑) 

そのくらいに充実でした。また今度泊まらせていただいた時に、宿内でゆっくりお話しさせていただきたいなと思いました(笑) 

そんな充実した時間の中で特に勉強になったことは、ゲストハウスねる山はローカルと外から来た「人」や地域の「食」に繋げることを実現していて、"泊まる" 機能はもちろんのこと、また外装や内装のデザインといった目に見えるモノとは違い、目には見えないけど"楽しむ" とか "発見する" といったマインドを動かすことができるのがこのねる山の強みだなって思いました。 

だから若女将も「実際に来てもらわないと、ここの良さが分からない」と言ったのでしょう。そんな写真や口コミでは伝わらない、その地に赴いた者だけが魅力を享受できるような街づくり、ゲストハウスを作りも素敵だなと思いました。 

その他にも勉強になることや、刺激を受ける部分が沢山ありました。ありがとうございました。

またこのインタビューを依頼した際に、「将来ゲストハウスやるなら、入社する前に2週間くらいこっちで滞在して、色々学びに来てみたら?」と嬉しいお誘いを受けました。 

しかしあいにく研修が重なっていたため行くことは叶いませんでしたが(泣) そのくらいにオープンで「人」との繋がりを大事にしてくださるお二人にも、夢が叶う前には一度お会いしてみたいです。改めてお誘いありがとうございました。 

最後に1時間という限られた時間、ゲストハウスに招き入れていただき本当にありがとうございました! 

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