目先の売り上げと後世に残る価値。
最近村上隆自身が個展を開催していることでプロモーションとしてかあちこちで彼の姿を見るようになりました。
上記の動画内で
「(kaikaikikiは)社員数が多いから儲からないんです。でもね、いいんです。大事なのはコンテンツや芸術的な何かが残ることが目的なので、儲けることが目的ではないので」
なんだか当たり前なんやけど改めてなるほどな〜〜と思いました。
今、食えるかどうかもすごく大事なことだけど自分の絵や作品が後世に残っていくこと、本当に簡単なことではないけれどそれが一番大事なのかもしれない。
勿論村上隆のようなスケールとは大違いなんですが、最近SNSなどを見ていてすごく違和感を感じるのが、みんな自分の作品の評価軸を作品が売れたかどうかでしか測ろうとしてないのかな?と思うことです。
僕も作家なので気持ちはわかります。単純に作品が売れることは嬉しいし、売れないよりは全然売れた方が気持ちいいもんです。
勿論レンタルギャラリーではない企画ギャラリー、プライマリーギャラリーという運営形態では作品が売れないと成り立ちません。
ただ作品を売るのはギャラリーの仕事、作品を作るのがアーティスト、作家、画家の役割です。
極論、作家の作品が売れないのはギャラリーのせいであって、それを制作してくれた作家にはなんの罪もない。
(これは客観的に見たらそう思うという話で実際僕が作家として作品を制作してギャラリーで展示して作品が売れなかったらとても申し訳ない気持ちにはなります。)
作家はコンセプトやステイトメントを掲げて作品を制作することに注力すればいい。ギャラリーはその作品たちに価値を与えて多くの人に見て頂き、あわよくば購入していただくところまでもっていく。
ただこの記事の前にも書いた話ですがギャラリーは作家本人1人では引き出せないものを引き出すこともできるわけで、これは作品の売買が成立したかどうかという結果だけでは測れません。
で、ここからは個人的な話ですが現在アトリエ三月の2階で開催している新村さんの個展について。
彼女はもうかれこれ7年ほど前に出会った作家でギャラリーの中でも一番古株になってしまいました。今回で4度目の個展になるし、ギャラリー以外の展示の機会などでも発表を繰り返してくれています。
もう友達みたいな感覚なので(いいかどうかは別として)、たまに一緒に飲んだりしては色んな話をさせてもらってる中で、4月に開催された神戸のアートマルシェというアートフェアでも作品を制作して頂き、今回の展示でも飾らせてもらっています。
新村さんは都市の壁や風景の中に潜む痕跡などをモチーフにして作品を制作しているのですが、神戸のアートフェアに際して僕から「神戸をモチーフにした作品を制作してほしい」と依頼しました。
その中で神戸の中でも以前から取り壊しが決まっている元町高架下(通称モトコー)をテーマにした作品を制作。具体的にはモトコーの実際の壁に貼ってある張り紙やステッカーなどを素材にしてコラージュ作品を制作されたり、その場所の壁面のカラーなどをモチーフに制作してくださいました。
僕自身そこまで細かい指示は勿論していなかったのですが新村さんの新たな一面が垣間見れたと思ったし、他にも一緒にはじめた熱視線というイベントなどを通して人間的にすごく成長してるな〜〜、と割と近くで見てて感じます。
決して、僕いいこと言いました!!と言いたいわけではなく(ちょっとくらいは褒めてほしいが) 作品の価値を作っていくのって決して簡単なことではなく、作家に寄り添って、たまに言いたくないこともいいながら、目先の売買だけでなく、長く付き合っていきながら価値を作っていくもんじゃないかと思います。
村上隆とかはすごいよ、僕の何千倍も努力してると思うけど、僕と彼は勿論違うので、僕は僕で、ローカルで微力でも、何かしら後世に伝えれるべきモノを残せていけたらいいなと思います。
勿論ギャラリーとしても、作家としてもね。
大阪で絵画制作や美術活動をしつつ、ARTspace&BARアトリエ三月を運営しています。サポート頂いた分は活動費やスペース運営費として使用させて頂きます。全ての人がより良く生きていける為に 美術や表現活動を発信し続けます。