恋する惑星となんちゃってルーローハン
ここ北海道に梅雨はなし、なんて話はいつの間にやらスルーされ、本州のようにシトシトと雨が降り続く時期がある近年。
夏に変わり切る前、雨が続くと決まって見たくなる映画『恋する惑星』。ウォン・カーウァイ監督、返還前の香港を舞台に2組の男女が織りなす2部構成の恋愛映画のあれです。
オシャレ映画と評されることが多く、確かにそうだと思いつつも、この映画、随所に出てくるごはんがまぁ美味しそうなこと。
山盛りのフライドポテト、紙コップで販売されるコカ・コーラ、ケバブのようなお肉を挟んだサンドイッチ。そして、お肉が乗ったごはん!
物語は後半、トニー・レオン演じる警官が屋台でちょいちょい食べている様子が映し出されては気になっていた。
調べてみると、これはもしや魯肉飯(ルーローハン)もしくは焼味飯(シウメイハン)ではなかろうか。。
(このごはん、とにかく3回ほど本当に一瞬だけの出演なので、どちらかは判別怪しげ)
昨年の香港旅行では味わっていなかったので、豚の角煮的な味わいなのだろうかととりあえず作ってみた。なんちゃってルーローハン、ここに爆誕。
花椒(ホアジョー)をたっぷりかけて、なんとなく東南アジアに寄せ。ちょっと豚肉をしっかり焼きすぎて焦げ気味だけど、甘辛なタレと相まって美味しかった。
ちなみにお手本ルーローハンはこんな感じらしい。
…あれ、なんか違うかな。でもなんちゃってでも舌の上で香港旅ができた気がして嬉しかった。自分で作ることに意義がある(と思いたい)。
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なぜ『恋する惑星』は自分の中でこの時期の映画なのか、というと雨に始まり雨に終わるから。
それでいて観賞後は梅雨の晴れ間のような爽快感、飛行機が雲の上を突き抜けていくかのような気持ちになるからとてもおすすめです。
この予告で胸が高鳴る人は、見てまず間違い無いかと思う。
乱立する高層ビルと行き交う人々、その狭間にそっと息づく市場や商店などエネルギッシュな香港がギュッとパッキングされている。
残念ながら返還前の香港を知らない私でも、訪れた時のあのムワンと湿気で重たい熱気、色と人に溢れた街並みを容易に思い起こせる。
そんなカオスな空間で出会ってしまった2組の男女による恋以上愛未満・ほんの戯れのような、でも忘れ難い2編から成るかけがえのない物語です。
「この映画はすれ違いから生まれる恋を描いている」なんてコラムを以前に読んだけど、まさにそれ。
忙しなく人々が行き交う街で、奇跡のような一瞬を切り取ったエバーグリーンな作品。
ぜひ、作中のごはんにも注目してご観賞を。
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