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100点満点のアボカドに関するシュレディンガー的考察。

アボカドが、大好きである。

もちろん、スシローに行ったら海老アボカドを欠かさず食べる。多いときは3皿は注文する。スシローは他の回転寿司がケチって使いがちな業務用のアボカドペーストじゃなくて、きちんと生のアボカドをスライスして使い続けていて、アボカド好きとしてはその姿勢まじリスペクト。今後も堅持していってほしいと願っている。大きくて形の整ったカケラがキレイに並んでいる皿に巡り会えたときには、壁の向こうの厨房にいる、顔も名前もわからない担当スタッフさんに向かって心の中でそっとサムアップする。グッジョブ、と。

何の話やったっけ? ああそう、アボカドが、大好きである。初めて知った子どもの頃は「森のバター」というどう評価していいかわからないキャッチコピーで、野菜なのかフルーツなのかわからないシロモノで、味も食感も斬新すぎて「うえー何これ」だった気がする。初対面の印象は正直よくなかった。でもいつの間にか「ん? 案外悪くないかも」となって、今では好物のひとつだとはっきり言いきれる。おいしいよねー。

100点アボカド16

大好きゆえに常日頃から頭を悩ませ続けているのが食べ頃の見極めだ。買って帰ってから何日置けばいいのかは当然個体差が大きい。焦ってまだ熟れきっていないのを切ってしまうともう絶望しかない。固くて青臭くて、無理してレンチンなど試みたところでとうてい完熟の味わいには届かない。かといって熟れすぎると中は黒い斑点が一面に拡がり、ベチャベチャして始末に負えない。「食べるなら今、もう今じゃない? ねえ今だって、今!」ってときをしかと判断するのが未だに難しい。

もうシュレディンガーなのかもしれないと思ったときさえある。ビックリマンチョコの中身のように、アボカドの熟れ具合は切る直前まで確定していなくて、切った瞬間に「青臭い」「完璧」「ぐずぐず」のどれかに決まるんじゃないかと。

もちろんそんなわけないんだけど。

しかし今回「もう食べた方がいいかも」という妻の助言を得て、それでも食卓のスケジュールもあってその翌日に意を決して切ったところ、それはそれは100点満点のアボカドを得たのでここにご報告したくキーボードに向かった次第である。

刮目して見よ! 100点満点のアボカド。

ばばーん。これ見て見て! 完璧じゃない? 

100点アボカド01

いやっほーおう! いいいやっほーおおおう! 快哉の瞬間である。嬉しくて相好が崩れる。あひー。嬉しいから写真をバンバン載せる。

100点アボカド02

断面がキレイってことはもちろん、皮もすんなりペロンと剥ける。美しい。

100点アボカド04

賽の目に切ってもエッジがシャープ。それでいて包丁の入り具合は程よくねっとりとしていて、全てが完璧なタイミングであることを静かに告げている。胸が高鳴る。

ニンニク醤油ドレッシングでトマトと和えて。

100点アボカド05

この100点満点のアボカド、どう味わうべきかしばし迷ったけど、トマトとともにニンニク醤油ドレッシングで和えることにした。オレンジページのサイトに載っていたレシピで、作ったことはないけど「へえ〜ニンニク醤油の発想はなかったなあ」と試すことに。具材がトマトとアボカドのみ、というシンプルさも好感。だいたいこういう二種類の材料ですぱんっと決まるレシピには当たりが多い気がする。シンプルであればあるほどごまかしが効かないからね。

100点アボカド13

結論。これ、よき、です。レモン汁とお酢と両方使っていてさぞ酸っぱいかと思いきや、そこまでツンツンしてなくて、ニンニクと醤油の風味で味わいにパンチもあってぐいぐい箸が進む。うまい!

いやーよかったー、レシピのチョイスもばっちりだった。せっかくの100点アボカド、台無しにしたくはないもの。妻からは「アボカド本来の味わいを楽しみたいならワサビ醤油は?」とも提案されたが、それって何か芸がないと思っちゃったのよね。

場末のアボカドには手を出すな。

この今回の成功を踏まえて、どういうアボカドを買えばいいかという手がかりのようなものを得た気がするのでここに記しておく。

見出しにあるとおりである。「場末のアボカドには手を出すな」。

というのも、今回はあまり足を運ばないちょっとお高めのスーパーで、1個128円だったけど大ぶりでお値打ちっぽかったのを思いきって買ったのだった。今までは特売の1個100円を切ったアボカドばかりせっせと買っていたが、それがよくなかったのかもしれない。やっぱり特売のアボカドはお客さんが皆吟味のために熱心に触るから傷みが早い傾向があるのは否めないと思う。一つひとつが大事にされていない。その点お高めのスーパーのほうがお客さんもそんなにガツガツ品定めをしないから、アボカドもその分安らかな気持ちとコンディションのままレジに向かっていけてる気がする。

そんなふうにお金持ちと庶民とを分けて考えるのはいささか哀しい考え方だと指摘されるかもしれないけど、この人情とお笑いとヤタケタの町ではそれが実情なのである。関西弁で書くならば「そんなんしゃーないやん、ほんまにそうやねんもん」である。

これからはことアボカドに関してはお高めのスーパーで奮発しようっと。高いといっても結局数十円しか変わらないし、その分のお値打ちはあるなあ。

100点アボカド12

あと食べ頃サインとしては、やっぱりありきたりになっちゃうけど、全体がまんべんなく黒くなること。そして「指で押して凹むのは熟れすぎ」。皮の1、2ミリ下までほんのり柔らかさを感じるようになったらもうGO! でいいと思う。これからも今回の経験を活かして熟れ具合を見誤ることなく生きていきたい。

余談だけど、アボカド栽培は環境負荷がすごくて、仮想水の輸出量も半端ない厄介な作物だと何かで見聞きした。アボカド好きとしてはすごく複雑な気持ち。でもだからこそ、おいしいタイミングを見逃さずにその真価を味わわなければとも思うのです。

おまけ。回鍋肉もうまくできたし妻のおかずもよかった話。

ちなみにこの晩のメインのおかずも贅沢で、ふだん豚肉と言えば切り落とししか買わない倹しい暮らしの我が家だが、たまたま出先で立ち寄ったスーパーで国産(たしか鹿児島産)豚のバラスライスが半額セールになっていたので飛びついた。家にあったキャベツとピーマン、玉ねぎで回鍋肉ふうに。

100点アボカド17

厳密には水煮にした肉塊をスライスして使うのが本来の「回鍋肉」だけど、まあこの場合の回鍋肉は現地のそれじゃなくて、日本でレトルト化されている「豚肉、キャベツ、ピーマンの甜麺醤(と豆板醤)炒め」のほう。いつ作っても簡単で手っ取り早く、そんなに失敗しないからいいなあ。

100点アボカド14

妻が作り置きしていてくれたのが、オクラと枝豆を茹でて、輪切りの一味唐辛子+だしの素(と水)+醤油に漬けたやつ。これ、地味にうまし。夏野菜だいたいいける気がする。

おかず三品ともおいしくて、思いがけないごちそうになった夜でした。


今年もお盆は帰省を諦め、このボケツッコミの町で静かに過ごす予定。ばあちゃんの初盆に線香も上げてあげられないのはちょっと悲しいけど、毎日おいしいものをせっせと食べて、暑さを乗りきっていこうと思う。

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