見出し画像

お客様から「よかったよ」も響かない。転職の先に見つけた大事なものとは?

私は外資系広告代理店での人事アシスタント職に転職しました。私は仕事が好きで、気づけばついつい一生懸命になってしまうタイプ。仕事に対するやりがいや喜びを感じる一方で、自分をおざなりにする場面も多々ありました。

転職を経て「仕事のために生きる」のではなく「私自身の一部に仕事がある」というワークライフバランスにシフトしました。楽しく仕事をしながら自分の時間もきちんと確保できる、そんな私の転職体験をご紹介します。

夢中で働いたホテルでのベルサービス

前々職では、ホテルでベルサービスを担当していました。

ホテルに訪れるお客様は、多種多様。いろいろな国籍、職業の方との出会いがあります。ときには弁護士や海外の医療機関に携わる方、来日された国王のファミリーと接することもありました。私がこの仕事で一番魅力を感じたのは、それぞれのバックグラウンドを持った方々とパーソナルなお話ができることでした。

例えば、海外のお客様は日本を目的地に選んだ理由や、今回の滞在中日本で何をしたいか、どんなことを楽しみにしているかなどをうれしそうに話してくれたり、お仕事の話や母国にいるご家族の話、これまで行った旅のことまでお話してくださることもあります。そういったお話を聞けることが喜びでした。

ベルサービスは、お客様がホテルに到着してから部屋までの案内、滞在中の各種サポートなどを行ないます。部屋への案内時には、1対1でお客様と室内に入りますが、その際にいろんなお話をお聞きしました。国や人種の違い、また同じ日本人であっても年齢や好みによって、ベルサービスに求められるものもさまざまです。それぞれのニーズをどう見つけていくかという点に面白さを感じていました

仕事を通して気づいた「自分を大切にすること」

接客を楽しく思う一方で、シフトで夜勤が入るのもよくあることで、体力的にはハードでした。

シフトによっては、1週間の中で夜勤と日勤が両方とも入っていることがあり、生活リズムの管理が大変でした。また、重い荷物カートを引いてパンプスで一日中動き回らなければいけないのも辛かった。

特に20代後半など、年齢を重ねるとともに「やりたいと思っていても体力的に力を発揮できない」という場面も増えていきました。30代に入って今後のライフイベントを考えたとき、長く続けていけるか不安を感じはじめました

昇給がなかったこともあり、モチベーションの維持に苦労しました。

昇給査定は半年に1回あったので、勤務期間中に6回チャンスがあったのですが、昇給したのはたったの1度。金額もほんの少し上がっただけでした。私は時間帯責任者やベルキャプテンのサポートなど、多くの業務を任されるようになっていたのでこの査定には納得がいきませんでした。

昇給はないけど忙しさは増えていくという状況で、仕事の大変さと給与が伴わず、気力が失われていきました。

たとえ、お客様から「よかったよ」といわれても、アンケートに名前を書かれて評価されたとしても、それが直接給与に反映されないのはつらいものです。入社当初はお客様からのお褒めの言葉でモチベーションを保てていましたが、3年目になる頃からは変わらない現状に不安を拭えずにいました。

もし、余裕ある暮らしができるくらいお給料をもらっていたら、それほど感じなかったかもしれません。私はまだそれほど勤務年数が長くなかったこともあって、ぎりぎりの生活をしていました。

そんな毎日の中で、「自分の生活・基盤がしっかりしていること」が大事だと感じ、ギャップに悩むようになりました。そして、ホテル業務での臨機応変な対応、接客スキルなどを活かし、秘書やアシスタント系、受付などの仕事ができればと考え始めました。

一貫して求めた「グローバルな環境」

これまでのスキルを活かしつつ、自分の生活も確保できる仕事を求め、バックオフィスへ転職しました。業種・職種ともに大きく変化のある転職でしたが、一貫して求めていたのは「グローバルな企業で働くこと」

ホテルのお仕事を通じて海外のお客様とお話を重ね、日本人とは違った考え方やバックグラウンドを知ったことで、あらゆる人種、考え方、様々なバックグラウンドを持った方々と共に働き、もっと自分の視野を広げていきたいと思うようになりました。

ホテルのベルサービスから外資系金融機関の秘書部門でアシスタントに、派遣会社は変えず転身しました。

拠点には約100人ほどがおり、秘書は10名いました。役員は約8割が外国人という職場環境の中で、役員ひとりに対し、日本人秘書がひとりずつ配属されています。私はその秘書すべてをサポートする秘書アシスタントというポジションでした。秘書アシスタントは私1名のみだったので、秘書グループ全体を把握しながら仕事をこなしていました。

外資系金融機関で得たもの

前職では外資系金融機関の秘書グループで、秘書アシスタントとして従事。ホスピタリティ産業からの転身が実現し、体力的にも安定した働き方ができました。それまでのスキルを活かしつつ、新たな経験やスキルが身につき、やりがいも感じるようになったのです。

たとえば、私がアシスタントを務める複数の秘書から、いくつか仕事を依頼されたときに、1日の就業時間の中にどのように入れ込んでうまく処理するかが重要なため、時間管理能力が磨かれました。また、「マルチタスク」への対応も面白さがあり、評価による定期的な昇給があり、高いモチベーションを維持できました。

「即判断」能力やマルチタスクの難しさも実感

その一方で、大変さもありました。電話対応では、代表電話にはさまざまな相手から電話がかかってきます。金融機関でお金・資産に関わることもあり、お客様がヒートアップすることも。

秘書がいったんブロックする役目を担い、他部署や関係者に回していい電話かどうか「即判断する」必要があるシーンも多々ありました。また、電話を取ってから英語か日本語かを瞬時に使いわける必要があり、就業開始当初は、必要に応じ即判断する「柔軟性」をもつことが大変に感じました。

加えて、秘書それぞれの特徴や性格もあるので、頼まれる仕事の種類もさまざまですし、臨機応変な対応が求められました。

ホテル勤務よりよい環境だったものの想定外の転職へ

外資系金融機関では、8時~17時の就業時間。外資ということもあり、早めの時間や遅めの時間にミーティングが入ることもありました。しかし、ホテル時代に比べるとシフトや夜勤もなく、きちんと時間通りに終業。そういう意味で、仕事的には前職でのモヤモヤは払しょくされましたが、自分の意志とは関係ないことがきっかけで転職することになりました。

外資系金融機関の仕事は、派遣会社から派遣される形で就業していたのですが、派遣元会社と派遣先の外資系金融機関契約が突然打ち切りになったのですが、代わりに入る企業に私ともう1人のパートナーがそのまま移籍する形で、人員、仕事内容、条件もほとんど変わらず、そのまま仕事をしていく話でした。

しかし、1か月くらい前になって突然、「やっぱり変えます」とこれまでの話が白紙にされたのです。

これまでとはまったく条件の違う会社に異動させられ、仕事内容も企業のカラーもまったく違う企業を提示されました。たとえば、月曜から~金曜までの仕事だったのがシフト制になるといったことも。また企業と話し合いをしていくなかで、話が二転三転することに不安・不誠実さを覚えたのです。

「会社というものは利益や条件や都合によって、たとえ長く働いていたとしても簡単に人材を入れ替えたり切ったりするのだ」とこのとき感じました。

そして派遣会社から会社が変わるタイミングで離職、転職を決めました。

私が約3週間で今の仕事に転職できた方法

急きょ転職せざるを得なかったものの、約3週間で次の転職先を見つけました。しかも、結果的に非常に好条件でした。

約3週間で転職先を決定!上手くいった要因は「自分からのアクション」

会社が変わるという1ヵ月前くらいから話がゴタゴタしはじめ、約3週間前から転職先を探しはじめました。まずはいくつかのサービスを登録したり、知人に声かけをしたりしました。

・エージェント会社 3か所
(doda、リクルートエージェント、パソナキャリア)
・派遣会社 2か所
・前職の金融機関で知り合った先輩からの紹介 1社

全部で6つのルートを使い、実際にお話をしたり、お会いしたのは4社です。最終的には派遣会社からの紹介を受けた会社を選び、面談ののち採用が決定しました。紹介予定派遣で、就業3ヵ月目から正社員になる条件で就業スタート。その後正社員へ採用されています。

転職に際し選んだ派遣会社では、以前に8ヵ月ほどの就業経験がありました。ただしずいぶん以前の話で登録内容が古かったため、語学(英語)スキルの申告やパソコンスキルを申告するためオンラインテストも受けました。

今回スムーズに転職先が決まった背景には、自らも積極的にアクションを起こしたことがあります。派遣会社やエージェントなどでは、担当者は多くの登録者とやりとりしています。待っているだけではなかなか連絡がないことも少なくありません。

私の場合、派遣会社にも自分から積極的に連絡をしたことで、結果的にタイミングよく好条件の会社を紹介してもらえました。好条件のところほど、採用人数は少ないものです。のんびりと待っていたらチャンスを逃す可能性も高いので、積極的に自分から動いてみてよかったです。

今の仕事を選んだ決め手

私は仕事が好きです。仕事をはじめると、ついつい没頭してしまいます。気づけば仕事が人生の中心になってしまっていましたが、これまでの経験で感じたのは、本当は逆だなということです。イメージとしては、私の人生の中にひとつのピースとして仕事がある、という感覚です。

たとえば、自宅から会社まで近いとか、時間ぴったりに仕事を終われるということは大切だなと思います。今回の転職でこの仕事を選んだ理由は、きちんと仕事をやりながらも自分の時間を持てる、また仕事のなかから親しい人ができる環境があったからです。

自分の人生にとっての優先順位をはっきりさせた上で仕事を選んだことで、とても有意義な日々を過ごせるようになりました。

自分がやりたいことを我慢してないか

いまの職場に就業して、約5ヵ月が経過。転職して本当によかったと思います。就業時間は9時半~18時半ですが、時間通りにきちんと終業します。家からとても近く、心理的・体力的にも楽に働けるようになりました。

仕事内容は、外資系広告代理店の日本オフィスで人事アシスタント兼受付と代表電話の応対です。全体の規模は50人ほどで、フロアが異なる方もいますが、同じ拠点に在籍しています。前職では約100人だったので、コンパクトになりました。

人事部門に在籍していることもあり、社員ひとりひとりの顔が見えやすく、身近な存在であることを求められます。個人間の関係や距離が近いので把握しやすく、ときにはプライベートな相談や日本の生活に関してサポートすることもあります。

仕事の内容的にも前職と大きく変わり、もっとパーソナルになりました。前職では「秘書チームのなかの私」という感覚でしたが、今は「私個人」と「ほかの社員」という関係で仕事ができています。

いま思うと、前職では常に会社全体がピリピリした雰囲気でした。「金融」という業界的な部分も関係しています。仕事自体も、社員個人でやっているところが大きかったです。

現職ではチームを組んで仕事をしており、皆さんが楽しく仕事しています。オフィスの雰囲気やつくりも違いますし、オフィス内に音楽が流れているのです。とてもカジュアルで、就業当初「もしかしてこういう雰囲気って、自分に合っているのかもしれないな」と思いました。終始楽しく働ける環境です。

また、定時で仕事を終えられるようになったことで、いろいろなことに挑戦できるようになりました。例えば、仕事後に日本企業で働く外国人の方に日本語でコミュニケーションをとり、語学を学んでもらうボランティアなどに定期的に時間を使うことができています。

仕事にすべての時間を投資するのも選択の一つです。でも、家・仕事の往復ではなく、もう一つ居場所を持つことも大切だと考えています。

実際に私は今の仕事以外にボランティアという居場所を持つことができました。そこでの経験を仕事にも活かすことができていて、人生を豊かにしてくれると感じています。

日々の仕事に追われて、自分がやりたいことを我慢してないか。やりたくて始めたはずの仕事が、やらなきゃいけない仕事になってないか。時々立ち止まって、そういったことを自分に問いかけて見ることも大切だと思います。

取材・執筆:Tomomi Sugimoto
編集:chewy編集部 はら 

その他の転職エピソードも紹介しています。よかったらご覧ください。


この記事が参加している募集

退職エントリ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?