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大切なものはいつだって手の中にあって、消えてしまいそうなほど淡く、もろい。【かそけきサンカヨウ】

 両親が離婚という境遇の陽。学生のうちから家事を担当し、父親を当たり前のように支える彼女は、同級生の子達よりも自然と大人びていて、そして我慢をすることが増えていったのだろうか。友達といても、家族といても複雑そうに笑う子供に、大人はどんな言葉をかけてあげるべきなのだろうか。

 父親の再婚相手の連れ子として年の離れた妹ができたときに「うまく言えないけど、嬉しいと思った」と言っていて、そういうのいいなと思った。

 「自分には何もなくて、輝いている人を見ると距離を感じてしまう」って陸くんの気持ち、本当に共感した。それが好きな人にさえも抱いてしまうほどに、”やりたいことが何もない”ことへの劣等感。将来を考えさせられる高校生ならなおさらだよね。部活や予備校、バイトだっていい、なにかひとつでもがんばれることがある人とそうでない自分、比べ始めたらますます何も手につかなくなってくるしい、どうしよう、助けてほしい、そんな気分になるんだ。

 「大人は自分の産んだ子供の顔も忘れちゃうの?」「愛していた子供を置いて出ていけるの?」この言葉を聞いて胸が痛んだ。もちろんいろんな親がいるわけで。でも必ずしも”出ていった”=”愛していない”ではないことだけは知っていてほしいなって。
 そのあと陽が実母と再会できて、連絡を取れるようになっていて嬉しかった。そしてそれを見守る継母にすごく感情移入してしまった。(わたしは継母ではないヨ)実の親と会うことは子供の権利だから、子供がそれを望んでいるならば、それが叶うことは喜ばしいことだよね。
 ステップファミリーってはじめから上手に家族になれる人は少ないと思う。だからこそ一緒に暮らしていくために時間をかけて、お互いを思いやって、一緒にいることが当たり前なのではなく、お互いの歩み寄りと意識の上で成り立つことで、深い絆が生まれていくんじゃないかな。それってとても素敵なことだし、血のつながりとか、生まれた時から知っているってことよりも強い愛になるうると思う。


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