【61日目 note千日回峰行】雲水と家族愛
雲水・・・禅宗の修行僧を指します。
「永平寺」
福井県にある曹洞宗の大本山のお寺です。
曹洞宗の一人前の僧侶になる為には
ここで3年間の修行をする必要があります。
その期間、携帯電話は一切使えず
家族との連絡は基本的に手紙でやり取りとするそうです。
これは、私の知り合いの方丈様から聞いたお話です。
田舎では
家族で代々、その寺を継ぐというのが決まりとなっており
方丈様の息子様も大学を卒業し
僧侶となる為、永平寺に修行僧として入られました。
まだ、大学時代には定期的に帰省し
家族との時間を過ごしていましたが
普通とは、普通で無くなって初めて尊さに気付くものです。
雲水となる3年間は、寺以外の者との一切の関わりが断たれる決まり
方丈様も職務として永平寺へ赴く事もあるそうです。
ある日、敷地内を歩いていると
遠くの方から雲水がこちらに歩いきました。
方丈様も、過去に経験された
その修行とその雲水の面影を懐かしんでおられたそうです。
しかし、近づくにつれ
その雲水が息子様だと気づきました。
その雲水も、父だと分かった様子。
しかし、一切の関りも許されない状況に
方丈様も分かってはいつつも
「頑張れよ」
と一声を掛けました。
雲水は声を発する事なく、一瞬だけ父の目を見て
分かるか分からないかの微かな頷きを残し擦れ違って行ってしまいました。
父は、寂しくも
一方で、息子の成長を感じ、涙が出たそうです。
このお話を聞いた時の
情景はとてもエモーショナルで
日本文化を感じる事が出来ました。
金に囚われた都会での暮らしに長くいると
こんなにも人との繋がりを感じられるお話と出会う事も少ない気がします。
2020年8月3日 24:50
1人では何もできないからこそ、人の助けが身に沁みます。