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ねえ、ハグしていい?

短編小説です
女性:なみ 男性:たかのり

私たちは保育園からの幼なじみ
大学は離れてしまったけど
高校までずっと一緒

大学生になった今も
送り迎えしてもらったり
二人で海に行ったり

ずっと仲良しだ

お互い恋人ができたこともある
その恋人にも紹介するほど
私にとって彼は親友

彼にとっても私はそんな存在
だと思う

パートナーができたり
お互いフリーだったり

状況に関わらず
お互い支え合ってきた

ある日
いつも通りドライブに行こうと

LINEが来た

私もちょうど暇だったから
行くことになった

たかのりが迎えに来てくれるから
私は準備して

いつも通り
たかのりが好きなガムを持って

17:00 迎えに来てもらい車に乗った

お互いの地元にある海に向かう
車の中ではお互いに好きな音楽を熱唱
カラオケ状態

そんな中
海に着いた

なんだかたかのりの横顔が
真面目で

「どうしたの?」
と尋ねると

「なにもないよ」

いつもなんでも話してくれるのに
違和感を感じた

いつもの堤防に座った

「何かあった顔してる。大丈夫かい。」
「ハハ、バレたか、、(笑
 彼女に浮気されたんだ。しかも見てしまった。
 だから彼女の家から飛び出してきた。」

「そうだったんだ。今は落ち着いた?
 大丈夫?」
「なんかわからない。
 衝撃すぎて、感情が追いつかない。
 合鍵で入った瞬間から、男の靴を見て。
 そこからもう映画のワンシーンのようにスローに見えたんだよね。」

「そうなんだ」
「だから、どうしていいのかわからなくて。
 そう思ったらなみしかいなくて(笑 」

「いつでも呼んで。親友でしょ!!!(笑 」
「ありがとう。
 あーあ、大好きだったんだけどな。
 さすがにもう無理だわ、」

「そうだよね、なかなかね」
「実は浮気してるの2回目なんだよね。
 前はLINEの通知で知ったんだよね。」

「え?そうなの?」
「その時は謝られて俺も大好きだから別れられなかった。
 許す選択をした。浮気されてるって言いづらくてなみに言えなかった。
 でも、また浮気された。」

「辛いね。」
「なんだったんだろう。この2年間、大切にしてたんだけどな。
 もう会う気力もない。このままLINEで別れを伝えるわ。」

「冷静になってからにしたら?いいの?」
「むしろ勢いで伝えないと大好きだから、別れられない。
 また浮気されるのも目に見えているのかも、、

「そうかそうか、ならLINEしちゃいな、大丈夫よ」
「ありがとう。ちょっとLINE打つわ」

「なみ、打ってきた。」
「大丈夫?」

「大丈夫や。一緒にいてくれてありがとう。」
「いいえ、こちらこそ呼んでくれてありがとう」

二人でぼーっと海を眺めた
時間が過ぎ、夕日が落ちた

「日が沈んだね。たか大丈夫?」
「大丈夫、なんかやっと実感が湧いてきたかも」

「そうかそうか。今日1日がんばったね。たか」
「あーー、なんか涙が出そうだわ、」

「今日くらい泣いたらすっきりするさ」
「あーーちょっとハグさせて」

「なにそれ(笑
 今日だけね。」

ハグをした
いつもならノリで1秒ハグするくらい
だから変な感じがした

「あーなんか安心するかも(笑
 もう少しハグさせて」
「しょうがないなあ。今日限定だもんね(笑」

たかのりの心臓の音が
よく聞こえる

心地いいな

そう思ったら
たかのりが私から離れ
見つめてきた

距離が近い
私の顔が熱いのかも

そのままキスされた

びっくりしたけど
彼の瞳に吸い込まれそうで

二人とも顔が真っ赤に

「なみ、ごめん」
「びっくりした(笑」

手に何かが触れた
たかのりの手だ

ちょっとだけ触れているくらい

なんだか変な感じ
でも守ってあげたくなる

そのまま二人で海を眺め
気づいた時には手を繋いでいた

そしてまたキスをした

「ねえ、なみ、今日は帰らせたくない。
 一人になりたくないんだ。」

急なたかのりの真剣な眼差しと言葉
心臓の音がうるさい

「いいよ。今日だけなら」

彼氏も好きな人もいない私
気づいたらそう口にしていた

そのままたかのりのアパートへ

いつも2人でゲームをしているアパート
でも気持ちはいつもとは違う
なんだか緊張

「なみ、」

彼の言葉
いつもより愛らしく
お互いがお互いを求めた

一線を超えてしまったのだ

だけど、この運命が決まっていたみたいに
違和感も嫌な感じも
なにもしなかった 

お互いが好きであるように
感じた

目を覚ますと
隣でたかのりが寝ている

顔を見ていると目があった

「ねえ、付き合おうか」

たかのりも同じような気持ちだったのだ

昨日の失恋が私達の背中を押したのだ

「うん。付き合おうか。」








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