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幼児教育は、意味なし!

前回は、「三つ子の魂百までは、ウソ!」であることが実証されました。では、3歳以降、いわゆる幼児はどうなのでしょう?3,4歳の幼児教育は、効果は続くのでしょうか?これも、研究で実証されています。

ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンで有名になった。ペリー研究所(ヘックマン、2015)。ここでは米国ミシガン州の低所得者層の親子を対象としたプログラムが行われ、3、4歳児の8ヶ月間の教育の効果が40歳になるまで維持されるかを、7歳から40歳まで5回にわたって測定して追跡しています。

プログラムの内容は、週5日毎日150分の教育的働きかけと、週1回90分の家庭訪問による母子への指導の2つです。

このプログラムを体験した幼児、同じ生活環境でプログラムに参加しなかった幼児、それぞれ60人が40歳まで追跡調査されました。

その結果、子供への8ヶ月の教育プログラムの効果は、知的発達については7歳あるいは14歳でほとんど消えてしまいました。

ただし、職に就いたか、高校を卒業したか、就職したか、非行や犯罪に関わっていないか、大学・大学院を卒業したか、結婚したか、になどついては、プログラムに参加した子供は、参加しなかった子供に比べて、望ましい結果が報告されました。

この結果から、3,4歳時の「知的領域」への教育効果はないが、社会関係や人間関係「社会でうまく行きていけるか」への働きかけは長く続く、という結論を導き出しました。これで幼児ビジネスに携わる人たちは幼児期の教育効果を主張するのですね。

でも、あれ?と思った人もいますよね。たった8ヶ月間の教育効果が、40歳まで続くんですよ?

8ヶ月のプログラム終了後も、家庭訪問による指導で得た学習効果は、母親によって続けられていた、と考えるのが普通ですよね。母親が「8ヶ月で我が子のために環境を整えることをやめる!」とは考え難いです。

家庭訪問によって訓練された母親は、間違いなく望ましい変化をしています。終了後も引き続き、子供の生活環境を改善し続け、その影響が子供の望ましい発達を支えたんじゃないか、と考えられます。

この「幼児教育が最強説」は幼児ビジネスに携わる人たちが好んで使いますが、これを聞いた時は慎重に、その根拠とされている研究を見てみてくださいね。少なくとも、知的領域への教育効果はありません。「社会でうまくいきていけるか」も、これはその時々で母親が環境を整えることが重要なので、3,4歳の幼児教育で一生が決まることは、ありません!だから、息抜きしつつ、無理しない育児、ママもパパもハッピーでいられる育児を続けてくださいね。親の機嫌がいいことが、子供にとっては幸せなので。


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