現役歯科医師が教える!歯周病が不妊の原因に?!
みなさん、こんにちは。
歯科医師の矢野です。
今日は子供の口と呼吸について書いてみたいと思います!
意外と歯周病が不妊の原因の可能性があるということについて、まだ知らない方が多いのではないでしょうか。
歯周病はお口の中だけでおこる病気ではなく、
全身の病気とも深く関わっています。
この記事では歯周病が妊娠に及ぼす影響について取り上げたいと思います。
日本では、毎年約100万人の赤ちゃんが生まれています。
妊娠するちからがある正常なカップルでは、3ヶ月で約50%、6ヶ月で70~80パーセント、1年で約90%が妊娠するそうです。
そんな中、なかなか妊娠にいたらず、悩まれているカップルも多くいます。
1年以上避妊せずに性交渉を行なっているにも関わらず、妊娠に至らない状態を不妊といいます。
赤ちゃんを希望するカップルの15%が不妊で悩んでおり、
何らかの不妊治療を受けている人は50万人にも及ぶと言われています。
不妊の原因はいくつかあります。
女性の因子としては
卵巣から卵子が排出されづらくなっていたり、
卵管や子宮の形態や機能によるもの、ホルモン分泌がうまくいっていない場合などが挙げられます。
男性の因子としては
精子を作り排出する機能に問題があったり、
遺伝的な問題などが挙げられます。
妊娠のメカニズムが非常に複雑なものであるため、
女性側と男性側のいずれのステップで問題が起きたとしても
妊娠しづらくなる可能性があるということです。
さて、
数多くの要因の中で、歯周病もまた妊娠のリスクになり得るかもしれません。
フィンランドにあるヘルシンキ大学は、歯周病の病原菌が女性の妊娠を邪魔している可能性があるという研究発表をしました。
いままで歯周病と全身疾患の関連に関しては多くの研究がなされてきました。
歯周病は、心血管疾患や糖尿病、肺炎、低体重時出産などの全身の病気とつながっています。
歯周病の病原菌や、その病原菌が出す毒素が、全身に悪影響を及ぼすことが知られています。
この研究では、妊娠していない女性256名を対象に、
まず唾液の中にいる歯周病病原菌と、唾液と血清中の歯周病病原菌に対する抗体の分析をし、その次に、被験者が12ヶ月間に渡り妊娠したかどうかを観察しました。
その結果は驚くべきもので、妊娠した女性に比べて、妊娠しなかった女性からは歯周病病原菌が明らかに多く検出され、唾液と血清中の歯周病病原菌に対する抗体も明らかに高い数値を示しました。
また、明確な歯周病がある場合は、不妊率が4倍になるという結果が出ました。
いままで、歯周病と全身の病気の関係に関する数多くの研究がなされてきましたが、この研究は、歯周病と不妊との関連についての初めての研究となりました。
まだ明確なメカニズムが明らかにされたわけではありませんが、
今後も歯周病と妊娠の関係について多くの研究がなされていくと思います。
お口の中には細菌がたくさんいます。
いい菌もいれば、増えすぎると悪さをする菌もいます。
歯周病の病原菌は、歯ぐきを腫らしたり、顎の骨をとかしたりするだけではなく、血液を通して全身にまわり悪さをします。
お口の健康と体の健康がつながっているということです。
無事に妊娠をするために、
そして赤ちゃんが健康的に育ってくれるように、
少しでも健康的な体になるよう
いろんなことに気を使っていると思います。
お口と全身はつながっているので、
ぜひお口のケアもしっかり行っていきましょう。
参照
Porphyromonas gingivalis may interfere with conception in women
Journal of Oral Microbiology, 2017
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