恋人えらびはコーヒーえらび

恋人えらびはコーヒーえらび、甘い香りと苦みと酸味。
どちらも私を夢中にさせる。

今私の家にあるコーヒー豆は、コロンビア産。
家から３分ほどの場所にあるコーヒースタンドで買った、ちょっとお高い質のいい豆だ。
私はコーヒーを入れる時、少し濃いめに出して、ミルクをたっぷりと入れる。
この豆は風味がしっかりとあるので、ミルクに負けることがない。
苦すぎず、酸味は少し足りないが、豊かな香りが補ってくれる。
安定感抜群の優秀な豆だ。
でも次に買う時は、別の豆を選ぶだろう。

自宅近くでコーヒー豆を買える場所はいくつもあるが、私はもっぱら、このコーヒースタンドか、KALDIでお世話になっている。
コーヒースタンドの豆は美味しいのだが、割高なのだ。
かといって、KALDIが決して悪いわけでもない。
KALDIではそれこそ、選べる豆の種類も豊富で、次は何にしよう？と迷う楽しみがある。
またコーヒー以外にも沢山の輸入食材を売っているので、いるだけでとにかく楽しいのだ。

ただ、最近おかしな事が起きている。
ある程度自分のコーヒーの好みが分かり、またそれがブレることも少なくなった今、選ぶのが反って億劫になってきたのだ。

マンデリンは苦すぎるのでNG、酸味は少し強めが好きだが、キリマンジャロは違う。
モカはまあ、基本OK。
でもそれ以外で、酸味はありつつもコクもしっかりと感じられ、苦みは少なく、優しい甘さの香りの高い、バランスの良い豆がベストだ。
しかし未だそれをKALDIで見つけられていない。

恋人探しもそれに似ている。
色々試してみて、だんだんと自分の好みや、これはNG！というものが分かってくる。
初めて出会ったとき「違うな」と思っても、話をするうちに好奇心が湧いて試すことになり、あれ意外と相性いいじゃん！と楽しくなってきたところで、やっぱり違った、とお別れする。
そして、次はこのタイプ、こういった癖のある人は選ばない、と自分ルールをまた一つ増やしていく。

若い頃はそれでも、次は全く新しい属性の人と出会ってみよう！まだ見ぬ世界を見てみよう！というPassionもエネルギーも好奇心もあった。
だがそれも、年とともに面倒になり、「新しい」というだけでは私の心に響かなくなってきている。
新しい男性に出会って３分ほどお話をすると、「いい人なのは分かった。私の知らない世界を知っていて面白い。昔ならお付き合いできただろう。けれども３カ月ほどで終わりそうだな、もって半年だな。」と先が読めてきてしまうので、わざわざスタートする気になれないのだ。
そう、非常に億劫なのである。


私はかなりのコーヒー好きなのだが、時たま、コーヒーを断つ時期がある。
健康のため、とかではなく、単純に気分が変わるのだ。
しばらく紅茶党になってみたり、ハーブティーへ移行したり、お白湯モードの時もあったりする。
もちろん日本茶も好む。
お抹茶もたてる。

でも、しばらくフラフラと放浪した後には、必ずコーヒーに戻ってくる。
やっぱり私にはコーヒーがなくては、と思えるので、コーヒーグッズは何の迷いもなく購入できる。

はじめは手動で挽いていたコーヒー豆だが、電動式を購入して、飲む回数も飛躍的に増えた。
と同時に、粉をはくコーヒーブラシも揃えて、それで丁寧にコーヒー粉をはくのが私の楽しみになった。
愛するコーヒーを楽しむためには、いくらでも改良の余地があり、たとえコーヒー豆の種類で挑戦しなくなったとしても、嗜み方を極めることで飽きが来るのを防ぎ、上質な時間を堪能できる。

コーヒータイムを更に楽しむために、ずっと考えてきたことがある。
エスプレッソマシンを買って、家でカフェラテを作れるようにしようかと考えている。
これまでも、どうしてもカフェオレではなくカフェラテが恋しくて、よく外のお店でカフェラテを購入し、在宅ワークのお供にしていた。
せっかく家に豆があるので、これは是非とも家にマシンがなくてはならない。
だが、一度に入れられるエスプレッソが１つの小型のものにするか、２つの大型のものにするかで迷い、ずっと買えずにいた。
お客様が来たときは２つ同時に淹れたいし、私もダブルエスプレッソのカフェラテを時々飲む。
でも、そんなに大きいものを使いこなせるだろうか？

どうせ買うなら、現実的で、長く親しめるものがいい。


久しぶりに私のコーヒータイムの質がまた一つ上がりそうなので、なんだかとてもウキウキしている。
愛しいカフェラテのためなら、エスプレッソマシンのお掃除くらいなんともない。
日常生活が少しずつ、より自分らしく、心地の良いものへと整えられていく。
無理のない、地に足の着いた、小さな幸せ。

さて、久しぶりに昔の恋人に、電話でもしてみようか？


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