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心理療法を受けるということ~田房永子著「呪詛抜きダイエット」「キレる私をやめたい」~

前回に引き続き、田房永子さんの本である。


Amazonよりお借りしました。



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「呪詛抜きダイエット」は、ダイエットをやろうとしても何度もうまくいかない中で、本人が何か別の原因があるのではと気づいて、自分自身と向き合う過程を描いている。

また「キレる私をやめたい」も、同様に、自分の怒りをコントロールできず、夫を殴ってしまう自分が嫌で、それを止める方法を探す過程である。

おそらく、この二つは同時並行的に行われており、それぞれダイエットやDVの観点から見直して本を描かれたと思われる。

ご本人が一番しっくりと来たというゲシュタルト療法を始めとして、催眠療法、箱庭療法など様々な心理療法を試す姿が描かれているのだけれど、そもそも希望する療法を受けられなかったり、受けてみても期待と違ったり、良かったけれど、場所が遠くて通いづらかったりと、様々な経過が描かれる。

探し方もインターネットで探したり、知人の紹介だったりと様々だが、何もつてがない状況で探すとしたら、こんな感じだよね、とてもリアルな感じがする。

そして、ちょっとずつ、ちょっとずつ自分自身の奥に向かっていく様子は、田房さんの生きづらさ、大変さをなんとかしたいという、なんとかしないといられない、助けてほしい、という想いがすごく伝わってくる。

心理療法は魔法ではないのだけれど、本人自身が自分の問題に向き合って進んで行くときには、時に、魔法のような力を発揮することがあると思っている。

それは本人自身の自分と向き合うエネルギーがどんどんどんどんたまっていって、その人の中に大きな大きなかたまりになった時に、こっちだよと出口を示し、扉を開けるようなものになった時だ。

たまっていたエネルギーは渦を巻いて出口に向かい、その人の中で、それまでばらばらだったピースがつながっていき、忘れていた記憶と感情がよみがえり、魔法のように大きな気付きが生まれる。

心理療法そのものが魔法なのではなく、本人の準備があり、その上で、タイミングを含めて行ったときに、その魔法のような事象が起きると思っている。

なので、人によって、効果は差があり、一方的にやってもらうだけの気持ちで受けると、全然ではないけれど、そんな魔法のような状態にはならないことも多い。

本当に、いまここ、の瞬間にセラピストとクライアントの間で交わされる魔法だと思う。

田房さんが味わったゲシュタルト療法はまさにそんな感じではなかったかと想像している。

彼女はその後ゲシュタルト療法を続け、今ではトレーナーの資格取得を目指しているとの記載もあり、ゲシュタルト療法の本のイラストを描いたりもされている。

それもあり、ゲシュタルト療法については、一つの事例として、とてもわかりやすい記載になっていると思う。

ゲシュタルト療法に興味のある方、またそれ以外でもなんらかの心理療法を受けたいけれど、不安を持っている人は一読の価値があると思う。

不安や心配を超えて、一歩を踏み出した先に何があるのか。

自分自身を受け止め、なりたい自分に近づく田房さんの姿は、読む人に勇気をくれるとともに、こちらからも「よかったね、がんばったね」と声をかけたくなる。

悩みはそれぞれだけれど、そこから先へ進みたいという気持ちは共通するのだと思う。

以前の自分と同じ不安を持つあなたへ

これからの自分と同じ希望を持つあなたへ

ぜひ読んでもらいたい本である。

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