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わからないなら直接、本人に訊く

「採用予定の方から『LGBT』とのカミングアウトがありましたが、気をつけることはありますか?」とのご相談がありました。答えはずばり「ご本人に直接お尋ねになることが一番よいと思います」。いろいろと気遣いが必要な部分は多いですが、わからないなら訊く、いやむしろ、わからないから訊くということで、綴ってまいります。

訊いてはいけないは暗黙のルール?


事業主には、採用にあたって応募者の基本的人権を尊重すること、偏見による就職差別を行わないことが法律で義務付けられています。そのため、最近の履歴書には本籍地や性別の欄はありませんし、ましてや配偶者の有無のチェック項目もありません。

そのため、採用面接時に、本籍地や家族の職業、思想や宗教、結婚の有無など何気なく聞いてしまうことは一般的にはNGとされています。これは、

応募者には、誰でも自由に自分の適正や能力に応じて職業を選べる就職の機会均等の権利があり、応募者の権利が守られるために雇用者公正な採用選考をすることが求められているからです。

そのため、偏見や予断で採否結果に影響を与えてしまうような質問はNGとなるのです。ここでのポイントは、採否結果に影響を与えるかどうかということですが、私はその際でも必要に応じて相手に敬意を払い、配慮して訊くことは大事だと感じます。

しかし実際は、それは採用後も続き、プライベートに関することは何一つ質問することも「セクハラやパワハラととられないか?」という心配ばかりが先立ち、全く触れずにというのもあたり前な職場環境も。

その結果、採用されて何年も経つのに仕事以外の部下のことを全く知らずにいる上司や関係性という職場はザラにあります。日常のコミュニケーション不足は関係の質を悪化させるだけでなく、仕事の質にも影響を与え、ハラスメントを引き起こすきっかけにも。

いずれにしても職場内では「訊いてはいけない」が暗黙のルールになりつつあり、直接訊くことができない、というのは働きにくさや生きづらさにも繋がることだと思います。

根底にあるのは「基本的人権の尊重」


とはいえ、ここでは単に自分の興味本位に訊く、ということではなく、必要に応じて、また互いの関係性を深めることを目的として訊くということが大事だということです。

そのため根底にあるのは「基本的人権の尊重」
わたし的に訳するならば

「尊い存在のあなたと、人として対等な関係を保ち、相手に敬意ある言動を選択する」

人の命に、存在に、上も下もないということが前提にあり、大事に扱われるということ。環境によってある役割があったのしても、人としての敬意をはらう言動に配慮することは当然のこと。ここを抑えた対応であることを大事にしてほしいなあと思います。

わからないなら、直接訊く


今回のご相談では、「LGBTとカミングアウトされた方に採用するにあたって配慮すべきことが何か?」ということでした。

一つはそもそも「LGBT」と一括で解釈すべきではないということ、本人の申し出がなくとも、仮にLGBTとは関係なくとも、今後の採用において企業として配慮すべきことではないか、ということをお伝えしました。

そして企業の今後の方向性を確認した上で、基本的人権を尊重して訊くための具体的な手順として

1.企業の現状を伝える
まずは、その方の採用を予定していること。
今回初の受け入れで、知らないことが多く戸惑いはあること。
◯◯さんが働く上で、具体的に必要なことや配慮すべきことがまだ整っていない現状があること。

2.今後の対応を伝える
企業としては、今後LGBTはじめ様々な特性も含めた採用や雇用について積極的に取り組み、そのための改善や提案を必要としていること。

3.必要な配慮を直接訊く
◯◯さんにとって働きやすい職場になるよう、具体的な改善に向けて、配慮が必要なことが具体的に何かを教えてほしい。

ということをお伝えしました。
ポイントは、わからないこと、理解したいという姿勢を誠実に示し伝えることでしょうか。そうすれば一緒に改善し成長しあえる関係性も同時に築かれると信じています。

わからないなら、直接訊く。日常の関係でも大事なことですね。

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