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鳥曇り 花見おさめて 雁かへる

「鳥曇り」は、雁や鴨が北国に帰るころの曇りがちの空のこと。
伊勢 〔古今和歌集 巻1-0031 春歌上〕の本歌取りの句です。

 春霞 たつを見すてて ゆく雁は
  花なき里に 住みやならへる

せっかく花の咲く季節なのに。北国に帰る雁は、花のない里に住みなれているのだろうか。

七十二候の【鴻雁北】に入ります。
「がんきたへかえる」と読みます。七十二候の14番目で、二十四節気「清明」の次候です。4月14日まで。

燕と入れかわりに、冬をすごした雁が北に渡っていく季節です。「鴻」は大型、「雁」は小型の雁のこと。昨年の「寒露」の初候(10月8日)に〔鴻雁来(こうがんきたる)〕で飛来した帰りです。

鴻雁北 Kōgan kaeru「Wild geese fly north」 April 10-14
〔wild;野性の geese;goose・雁の複数 north;北〕


「雁風呂」YouTubu 13年前のサントリーのCM 1分。
https://www.youtube.com/watch?v=pFQAtFYzlhg

暗く青い空に、満月が白く浮かんでいます。浜辺では、山口瞳(元サンリー社員で直木賞作家)と漁師が、焚火にあたりながら角(ウイスキー)を酌み交わしています。さいごの心のつぶやきは山口瞳のもの。

~月の夜、雁は木の枝を口にくわえて北国から渡ってくる。飛び疲れると波間に枝を浮かべ、その上に止まって羽根を休めるという。そうやって津軽の浜までたどりつくと、いらなくなった枝を浜辺に落として、さらに南の空へと飛んでいく。
日本で冬をすごした雁は、早春のころふたたび津軽にもどってきて、自分の枝をひろって北国へ去っていく。
あとには生きて帰れなかった雁の数だけ枝が残る。浜の人たちはその枝を集めて風呂を焚き、不運な雁たちの供養をしたのだという。「哀れな話だなぁ。日本人って不思議だなぁ」~

あなたが幸せでありますように 
琵琶湖を望む草庵にて
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