#110 手段と目的を履き違えると大変 〜授業時間5分短縮報道から〜
皆さんこんにちは。
サッカー、旅行、読書、Voicy好きのコウチャンマンです。
今回も記事に辿り着いていただき、ありがとうございます。
日々の気付きから、私の学校現場での経験や教育行政という立場から学校を見てきた経験を皆さんのお役に立てたらと思い、記事にしております。
今回は、報道から考えたことを記事にしました。
表題にもある通り、授業時間を5分短縮することを中央教育審議会で検討を始めるということです。
このこと自体は文部科学省の研究指定校や各自治体で研究のために実施されているところです。
その成果が見えてきたということなのでしょう。
今の指定校等に訪問したことがないので、確実なことは言えません。
私の調べた限りでは、授業時間を短縮して、授業時間数を増やすことをしていました。
ということは、その時間で探究なり何らかのやりたいことを実施していたということでしょう。
が、今回の報道内容から短縮する目的は何でしょうか。
文部科学省のホームページも見ましたが、詳細が掲載されているところがなく、分からないのです。
(掲載されているページがわかる方はコメントしてくれると嬉しいです)
私が一番最初に感じたことは、『子供』の話がほとんど出てこなかったことです。
上記リンクの讀賣新聞の記事には次のように掲載されています。
これでは、5分短縮してどうしたいのかということが不明確です。
根拠をもとにして、日本の教育の課題は〇〇であり、だからこのような教育が必要だ。というようなものが見えてこないと思いませんか。
確かに、学校によって実態も異なるため一律には課題というものはないのかもしれません。
でも、そんなこと言ったら調査ものの多くは意味のないものになってしまいます。
学校現場だけに任せるというのならば、学習指導内容も任せていいのではないでしょうか。
しかし、この辺りのことにについては、言及されていません。
もし、今の学習内容の量のまま、探究的な学習やドリル学習となると、教員からすると意義は理解はできますが、負担感を感じてしまいます。
そして、負担感が出てくるのは教員から、『なぜ?』が出てくるからです。
なぜ授業時間短縮なのかの回答がないからなのです。
この内容が出てきたのには、例えば『子供に自律的に学習する力を身に付けさせたい』であったり、『子供に時間的余裕を与えて、体験的な活動や思考する時間を生み出したい』など、何かあるはずなのです。
しかし、報道からはそこが見えてきません。
授業時間というものはあくまで『手段』であり、『目的』ではありません。
『子供に自律的に学習する力を身に付けさせたい』のであれば、それをもっと明確にする必要があります。
例えば、自律的に学習するという点にPisa調査2022で課題がわかりました。
#91でも記事にしたので 、詳細はそちらを見てください。
子供が『自律的に学習する力』を身に付けるために、自分自身で選択する機会を作り出すことが必要です。
だから、授業時間を5分短縮し、自分で選択して学ぶ時間を確保する。
自分で「何を学ぶのか、なぜ学ぶのか、目指しているものは何か」を考えることを日頃からしていかないと難しいでしょう。
これを日常の授業で展開していかないといけないので、授業改善を進めていかないといけないのです。
つまり、「なぜ」を問い続けるのです。
そのためには、まずは教員が「なぜ」を問い続ける必要があります。
「なぜ、数学では証明の授業が必要なのか」というようなことを考えたことはありますか。
私は「逆算して考えたことを、テキストで伝える練習」と証明の授業は考えています。
このような力をつければ、自分で選択する力が少しずつ身に付き、自律的に学習する力もついてくるでしょう。
ただ、小学校低学年など発達段階によっては全てを選択することが難しいため、何かを選択する練習することから始める必要があります。
このあたりの議論は今後必要でしょう。
そして、授業時間を短くするので学習内容も一部削減する。
これも小中学校だけにとどまらず、高等学校や大学教育にも影響が出てくるので、簡単には決められないでしょう。
このように、文部科学省でも(私より高次元で)議論されてきた内容を世間に広めなければなりません。
このあたりを広めずに、授業時間短縮という言葉が一人歩きしてしまうと、よからぬ流れになり、本当に必要な子供ために考えたことが進められません。
2027年に学習指導要領が改定される見通しとのこと。
恐らくこれは告示される日と考えています。
ということは2025年待つにはそのための中央教育審議会答申も出るでしょう。
これを教員だけでなく、世間にも広めていき、理解をしてもらう必要があります。
そこまでの審議等をこれからも注目していきたいと思います。
そして、私も発信を続け、一人でも多くの方に関心を持ってもらえるようにしていきます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さんにとって何か気づきがあれば嬉しいです。
それではまた次の記事で!