星と鳥と風2

家に来て何があったかは知らないが、じいちゃんがずっと話をしていた事。
帰る頃には僕におもちゃを沢山買ってくれた事。
短い小指のゴツい手と金ピカに光る指輪を覚えている。

父の「ネタ」は無限すぎるので、このくらいで。
と、言いながら避けては通れない父だが。。

そんな幼少期だったが、僕が3歳になる頃、父は再婚し、僕には新しい母親ができた。
初めて合った瞬間に(この人は僕の本当のお母さんではない)とすぐに理解はできた。

宝石屋の店長をしていた新母はいつも甘く鋭く匂う香水と、ジュエリーを身に纏っていた。
そんな新母と父の間に子供が出来て、妹が誕生した。
晴れて僕は兄になった。
とても嬉しかった。
妹はとても可愛かったが、それと同時に僕の心は曇っていった。

母は初めての実の子供の妹をそれはそれは、よく可愛がっていた。
だが、妹が生まれて間も無くすると母は、僕の目を見て話さなくなった。

【僕は子供ながらにゾクっとする感覚を感じていた。】

僕が小学校に入学した日は午前中で入学式が終わり、午後はバザーで、カレーや色んなものを母子で食べる時間が設けられていた。
ふと母が、「仕事に戻るから、あんたこれで何か買っときなさい」と言われ500円玉を1枚渡されて、母はスタスタ帰っていった。
周りで母が居ないのは僕1人で、まだ小学校1年でお金の使い道も知らない、家までの道も分からない僕はその時、とてつもない悲しさを感じて、500円玉を校庭の林に投げ捨てた。
そしてワンワン泣きながら家にやっとこさ帰った事を覚えている。

そしてそれからは祖母が参観日に来るようになった。

家に居ても、母が目を見て話さない事や、1人でいる時間が長くなっていった。
そんな時間が僕の何かを呼び覚ましたんだと思う。
この頃から僕の目は何か変わった  【アレ】 を見るようになった。


「大人は時に見誤るが、子供は大人が思っている以上に繊細な部分を理解している。全ての部分とは思ってはいないが、、波長は全ての人間が持ち合わせている特徴で、子供の周波数や放っている電波はよりピュアだ。」

そして家族写真は、いつも父と母と妹の写真で埋まっていった。

中学に上がる頃には幼馴染で悪友の、近くのスーパーの息子と益々よく遊ぶようになって、夜遅くまで一緒にいる事が多くなっていて、まるで兄弟のようだった。

そんな母の態度もその頃にはどうでもよくなり、僕は悪友と遊びまくっていた。

友達と一緒にいる時間は天国にいるような気分だった。

その悪友(S)としよう。
Sは家が近所で1番大きいスーパーの長男で、いつもスーパーは沢山の人で賑わっていた。
正月にはくじ引き大会があって、僕はそこで一等のクジを当てた事があった。
一等は何故か、Iメートル以上ある鮭、丸々I本と、ビールIダースだった。
商品よりも一等をとれた事に興奮していたと思う。
家に帰って祖母に渡したら、ビール以外は嫌な顔をされたのも覚えている。

話が大分ズレたが、Sとの小学生時代の話。
Sとは悪友で、いつも彼は実家で親公認の万引き、通称【神の恵み】を遂行していた。
店の棚から、カツ丼やお好み焼き、スナック菓子やアイス、そして小学生の大好物、ファンタetc.を華麗にパクる。いかに華麗にパクるか、、そんな馬鹿げた事をSは本気で追求していた。
そして大きな彼の家にはめちゃくちゃデカいテレビ「ブラウン管」があって、当時まだ出たばかりのスーパーファミコンも持っていて、よくそれで遊んでいた。

そんなSと小学校生活を送っていたある日「おい!星!(僕)こっち来てみろよ!」と言って、Sの親がいつも寝ている寝室に僕を呼んでアタッシュケースらしき物を僕に見せてきた。

「ジャッジャジャーン!!!」
Sはポケットから小さな鍵を出して、アタッシュケースを開け始めた。そこには、、、




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