見出し画像

【資格勉強】悲壮の覚悟で目指せ簿記1級!Part2

前回に引き続き簿記について書きたいと思います。

④ なぜ簿記1級を目指したか

2級合格後、私はすぐに1級の勉強を始めました。
日商簿記1級は「極めて高度な会計知識を有し、経営管理や分析を行う能力を持ち合わせた会計に関するスペシャリストとして扱われる」と位置づけられます。合格率は10%程度。必要な勉強時間は800~2,000時間程度と言われています。(国家資格である社労士や中小企業診断士は800~1,000時間程度らしい)

実は簿記1級は、そのコスパに対して賛否両論があります。
難易度が高いわりには、その難しさは知られておらず、「簿記は2級までで十分」と言われることもあるのです。

でも私はチャレンジすることにしました。それはなぜか。

簿記1級は税理士試験を受けるための資格要件になっているからです。

2級を合格する頃には派遣社員としての仕事も半年程度続いていました。その頃から徐々に「正社員になりたい」という欲が出てきて、その方法を模索していました。

私は一縷の望みを税理士試験に見いだそうとしていました。
税理士になれば、どこかの会社が拾ってくれるに違いないと思ったのです。

会計関連の最難関資格は公認会計士と税理士の2つだと言われています。
どちらも数千時間の勉強時間が必要ですが、税理士試験には科目合格制が設けられているという特徴があります。科目合格制とは簿記論・財務諸表論・法人税法など、いくつかの科目を段階的に合格していってもいい、という制度です。この制度はひとつひとつの勉強範囲は狭くなり、長期的に向き合えることから社会人向きです。一方で、公認会計士はいわゆる1発勝負です。広大は試験範囲を短時間で頭に詰め込む必要があることから、社会人が働きながら取得することは非常に困難なのです。

でも、税理士試験には「受験資格」というものがあり、それを満たさない人間はそもそも受けることすら許されません。その受験資格は「社会科学に属する科目を1科目以上履修した者」「司法試験合格者」「税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者」などいくつかありますが、当時の私はいずれにもひっかかりません。ただ、唯一満たせる可能性があるのが「日商簿記検定1級合格者」という受験資格でした。

そう、税理士試験を受けるためには簿記1級に合格する必要があったのです

⑤ 簿記1級の難しさ

私は半年後の試験に向けて勉強を始めました。おそらく、「半年後」という準備期間は簿記1級を取るにしては短いと思います。ただ、当時は3級、2級と1発合格していったことで自信が付いており、「いけるだろ」と思いました。
勉強を始めた当初もさほど難しさは感じませんでした。試験範囲が広いことは確かですが、理解ができないほど内容が複雑ということはなかったと思います。

しかし、受験する1ヶ月前になり、自分で模擬試験をしてからその認識はガラっと変わりました。

ウロ覚えですが、最初にやった模擬試験では制限時間内に回答することもできず、正答率は半分にも満たなかったと思います。試験まで残り1ヶ月の状態です。
(そもそもその勉強方法はどうなんだ・・・)

参考書では取引種類ごとにどういった仕分けを入れるかを勉強するわけですが、それが応用(問題)になった途端、なにをどうしていいか、さっぱりわからなかったのです。また、さらに難儀したのは計算量の多さです。一つの問題を解くのに電卓を何百回も打たないといけないほど、計算、計算、計算、、、
簿記1級の恐ろしさは、序盤で電卓打ちをひとつでも間違えると、その後の数問も全部間違えになることです。しかも1問5点とか7点という配分なので、3問連続で間違えでもしたら、不合格まっしぐらです。

「これはヤバいぞ・・・」

私は半年で合格を目指すという目標設定がそもそも無茶だったのではと思い始めました。でももう引き返せません。

いやいや、落ちても勉強し直してもう一度受ければいいじゃないか?

と思うかもしれません。
理屈としては確かにそうです。でもそんな簡単なものではないのです。

前回も書いたように、私は簿記の勉強に1日4時間と、かなり力を投入して勉強していました。この集中力をさらに半年持たせることは極めて難しいのです。一度落ちてしまったら、とてもではないですが、もう一度エンジンがかかる自信がありませんでした。

つまり、この1回でなんとか合格するしかありません。


⑥ 雪とマクドナルド

簿記1級を受ける直前の1か月間は、人生で最も追い込まれて勉強をしていた期間だったと思います。TOEICには合格・不合格という概念がありませんし、簿記も3級、2級と1発合格していました。

初めての「敗北」が目の前に迫っていたのです。

一方で、仕事にも変化がありました。それまで英語にも簿記にも無関係な職場だったのが、派遣先を替えたことで、海外にグループを持つ広告代理店の経理部門に派遣されることになりました。英語も簿記も両方活かすことができます。

ある時、大雪で電車が止まる可能性があるということで、会社から社員に警告が発せられました。要は「電車が止まるから早く帰りたい人は帰っていいよ」という主旨です。社会人の人たちはわかると思いますが、こういう連絡があったとしても、多くの会社員は帰りません。目の前の仕事にヒートアップしていたり、周りの目を気にして仕事を続けます。

でも、私は違いました。

「しめた!」

まだ14時。ここで変えれば勉強時間がたっぷりとれるぞ。

私は上長に「帰らせてください」と伝えて帰宅することにしました。
上長は「お、おう、、、」とびっくりした顔をしていました。

一度帰宅し、そこから徒歩でマクドナルドへ。
通常は会社のフリースペースで勉強していますが、「帰った」という建前なので、会社に残るわけにはいきません。
外は大雪。マクドナルドに到着しても平日15時では客も少なく、暖房も入っていませんでした。私は手袋をしながら、身体を震わせてペンを走らせました。


⑦ 不良少年にも気を遣わせる

試験前の勉強をする様は特に異様でした。

まるでスポーツのように、一心不乱に電卓を打ち込んで、電卓から手を離したかと思えば、紙に回答を書き込む。脇にはストップウォッチが置かれており、横眼でそれをチラ見したかと思えば、また電卓を打ち込む。

私は平日にはオフィスで勉強していましたが、休日はマクドナルドで勉強していました。以前にも書きましたが、当時、地元のマクドナルドには不良中学生がタムロしていました。彼らは通常、大音量で曲をかけたり、迷惑行為っぽいことをしています。

ある時、猛烈な勢いで勉強をしていたら、横にいる不良中学生らが

「おい、静かにしてやろうぜ」

と言って、私のために静かに会話をし始めたのです。
面識もない不良中学生がこっちに気を遣うほど、目を血走らせていたのでしょう。

続きは↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?