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2024年5月読了本・ポスト備忘録

※注意※

 この記事は5月に私がX(旧Twitter)に投稿した読了ポストに加筆・修正を加えたものとなります。ご了承ください。

はじめに

 さて先月の振り返りタイムと参りましょう! 先月はあまり読めてなかったのでいつものように長くはならないハズ! (★が付いてる作品は当記事初出の感想です)


『精選女性随筆集 幸田 文』

著者:幸田 文
選出:川上 弘美
出版社・レーベル:文春文庫
読了ポスト日:5月1日

 成程、パワフルなお方だ。解説でそういう文言があって「ですよね」って共感しちゃえるほどにエネルギッシュな文章の数々だった。日常をありのままに映し出してるからよりしみじみと染みてくる。過去の追想と些細な日常の2つの話題に分けられるけどそのどちらにも共通性のある文体が印象的。昔を感じさせられたりどこか今っぽかったりが交錯していてこれも時が流れてるってことなのかなぁと思った。

『レンタルマギカ 滅びし竜と魔法使い』

著者:三田 誠
イラスト:pako
出版社・レーベル:角川スニーカー文庫
読了ポスト日:5月4日

 前回の「どうなるんだこれ⁈」という衝撃、からダイレクトに始まりその顛末まで。スケールの大きさもあって全てが大団円とはいかないのは仕方のないことかもしれないけれど、各々が「こうしたい」と動いた結末ということもあって寂しくも丸く収まったという印象が強い。ずっと張り詰めた空気だったから時々顔を見せる日常と善性がいつも以上に身に染みてきた回だった。

★『帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline ⑤』

著者:平野 稜二
原作:経験値・TYPE-MOON
出版社・レーベル:角川コミックス・エース
読了ポスト日:5月5日

 今回もバトル作画と狂気がやべーぞ。陣営もそろってきて混沌として参りました。ある意味英雄になるとはどういうことなのかって言うのが人の信仰という角度でフューチャーされたのかなって思った。令和とそれより前じゃなくてその間に戦時の人間という層もハッキリ出てきたような気もしてきた。新たな謎もたっぷりお出しされて、それらが今後どう関わっていくのかが楽しみ。どっから見ても不穏な空気しかしないんだけど、まぁそれはそれ。

 詳細感想はこちらになります! ネタバレ注意!

『レンタルマギカ 銀の騎士と魔法使い』

著者:三田 誠
イラスト:pako
出版社・レーベル:角川スニーカー文庫
読了ポスト日:5月5日

 あれから少し時が流れて……展開って良いよねと再認識。そんなに時間は空いてないはずなのにもう随分と時が経ったよう。今までぼんやりと見えていた縁が急速に明瞭になってまた違った面白さがあった。それにしても魔法関係の引き出しの多さには脱帽せざるを得ない。あと錬金術の詠唱がハチャメチャにかっこいい。リアルタイムで「そうきたか!」とリアクションできる視点でいられる戦闘シーンも楽しかった。

『わたしの幸せな結婚 八』

著者:顎木 あくみ
イラスト:月岡 月穂
出版社・レーベル:富士見L文庫
読了ポスト日:5月7日

 アニメに続いてこっちも読了! 根幹に関わってくるどっしりとした回想からほっこりニヤニヤが止まらない日常まで。本当に色々詰まった短編集だった。アニメ見た直後ということもあり皆さんが和気藹々と喋ってる姿も想像つきやすくて今までのシリーズとは少し違った楽しみ方ができたのではないかな~と。もう「掌編の玉手箱」というタイトルのセンスが良すぎるし掌編のタイトルもクスッとくるしお話自体も面白い。短編集と侮ってはならぬ。皆さん読みましょう。

 シリーズが気になった方はこちらもご参考に……。

『Babel Ⅲ 鳥籠より出ずる妖姫』

著者:古宮 九時
イラスト:森沢 晴行
出版社・レーベル:電撃の新文芸
読了ポスト日:5月8日

 4クールのアニメ1本分ほどの熱量と壮大さがあった。このエピソードがたった1冊なの⁈ 前回までとは違った形の綱渡り生活。でもその中でも貫き通したい意思があって、それを積み重ねた末のラストのカタルシスといったら尋常じゃない。長い旅路も残り1冊。はてさてここからどのように着地するのかも想像つきにくいからとても楽しみ。あと今回地味~に好きなシーンは「ギッタギタ」のところです。

『八犬伝 上』

著者:山田 風太郎
出版社・レーベル:角川文庫
読了ポスト日:5月10日

 語られる物語とその周囲。ある意味ではメタい構造なんだけど何をどのようにして物語に挑んでいるのかという思考回路が見えてくるスタイルなのが作家を書くタイプの歴史ものとしてジャストフィットしているスタイルだなと感じた。現実での話に割かれるページはそう多くも無いけども、ちょっとした描写で時の流れというものが表現されていたのがとても興味深かった。

★『不終の怪談 文豪とアルケミストノベライズ:cace 小泉八雲』

著者:矢野 隆
イラスト・原作:DMM GAMES
出版社・レーベル:新潮文庫nex
読了ポスト日:5月10日

 タイトルにもある『怪談』、その作品をギミックに仕込んだイレギュラー。『怪談』を読んだことは無いけど知識としてちょっとだけ知ってる身としては予想を立てつつどうなっているのかを見届けられる塩梅だったなと感じた。それにしても序盤の飯テロシーンがさぁ……言いたいことは確かに分かるしそういわれてみればと不意を突かれたけどもうなんか色々とズルいよあれは。あと敵の名前のネーミングセンスがどれも洒落てるなぁと思った。

『バケモノのきみに告ぐ、』

著者:柳之助
イラスト:ゲソきんぐ
出版社・レーベル:電撃文庫
読了ポスト日:5月11日

 読み終わって真っ先に思ったのがタイトルのセンスが滅茶苦茶に良い。主人公が抱く理から外れてしまった少女達との関係性や思う所が綺麗に昇華されている。癖が強くそれぞれのスタンスが分かりやすい少女達の魅力はもちろんのこと、主人公もそれに負けないレベルの爪痕を残してくる。そういうの嫌いじゃない、むしろ好き。あと某世界的ミステリのオマージュが良い感じにあったりもしてちょっとニヤニヤしてたりもしたし、そこから面白い方向性に繋げていったのも凄かった。

 紹介Ver.もございます。

『八犬伝 下』

著者:山田 風太郎
出版社・レーベル:角川文庫
読了ポスト日:5月15日

 なぜ勧善懲悪は物語の筋として受け入れられるのか? 突き詰めるとその最大手である『南総里見八犬伝』を滝沢馬琴がそれを書くに至るまでの物語だった。周囲の近しい人間関係にもどう感じていたかが詳細に書かれていたり実の世界で経過した時間の長さもあったせいか、そういう意味では伝奇と伝記のダブルミーニングのような作品だなと感じた。ラストの盛り上がりは虚実共々込み上げてくるものがあった。

『BISビブリオバトル部2 幽霊なんて怖くない』

著者:山本 弘
イラスト:pomodorosa
出版社・レーベル:創元SF文庫
読了ポスト日:5月15日

 今回もまた重くアンサーを出すのが難しいテーマが突き出される。でもオタクとしては胸が刺さる観点も出しながらの論争は「あぁ~そういうのもあるよなぁ」となって取っつきやすかったかも。それでもどんな本を選ぶかにそれぞれの個性が出ていて流石本好き達となった。前半の幽霊の話も加味すると、現実では信じていないものでもフィクションでは信じていたい、そういうのが今回全体を通してのテーマだったのかな?

『三酔人経綸問答』

著者:中江 兆民
訳・校注:桑原 武夫・島田 虔次
出版社・レーベル:岩波文庫
読了ポスト日:5月18日

 一応思想の話になるのかな? でも数人での会話形式だったり授業で詳しくやった近代日本辺りに書かれたこともあって事前に知っておきたい前提はある程度頭の中に入っていたから想像よりかはとっつきやすかったのかもしれない。章のタイトル? そもそも章という概念があるのか? もかなり分かりやすく状況を説明されていたと思う。それはそれとして、最後の章題(?)のネーミングはそれでよかったのか……?

『はじめてのゾンビ生活』

著者:不破 有紀
イラスト:雪下 まゆ
出版社・レーベル:電撃文庫
読了ポスト日:5月20日

 どうしても気になるから触りだけ読もう、連作SSみたいなものらしいし大丈夫でしょと思ったら結局最後まで読んでた。1,2本目の導線が巧妙すぎた。時代ごとに少しずつ変わってくる奇妙な生活の数々は時には笑い、時には辛い。作品内の出来事は勿論の事、膨大な時間の一瞬を切り取っていくスタイルだからこそ入りきらなかった部分にも想像が広がる。もっととんでもないことになってたんだろうな、と。最初から未来の設定だからこそ出てくるガジェットも恐ろしいほどに溶け込んでいるのが面白かった。

 詳しい話はコチラでも。

『あなたに語る日本文学史』

著者:大岡 信
出版社・レーベル:角川ソフィア文庫
読了ポスト日:5月22日

 重大なポイントを踏んだオーソドックスな歴史を学ぶことも勿論大切だけれども、独自の視点で紐解いて、時には普段の歴史の話では触れないような箇所にガッツリ触れる。そんな散歩のような歴史のお話も良いよねって思える1冊。和歌や歌謡の話がとても濃く、ざっくりとした文学史を知った上でも新たな発見が多かった。個人的に好きなのは詩を並べてストーリーを作ってる『古今和歌集六帖』のおはなし。

『博多豚骨ラーメンズ 13』

著者:木崎 ちあき
イラスト:一色 箱
出版社・レーベル:メディアワークス文庫
読了ポスト日:5月23日

 ありがとう連続刊行。それはそれとして次の巻が出る直前に読んで良かった。下手すればすんごいメンタルで何日も過ごさないといけなかっただろうし。そっか、もう最後なのかって読みながらずっと考えてた。私の中でもかなり思いれのあるシリーズだからいつも以上に寂しいよ。またみんなでワイワイガヤガヤして欲しい。それはさて置いて、あの会社、マジで闇の世界に存在するトンデモカンパニーだったな。ヤバい要素しかない。辛い展開でも色んなものが繋がっていくのは爽快感がある。はやく続きを……。

『ほうかごがかり 3』

著者:甲田 学人
イラスト:potg
出版社・レーベル:電撃文庫
読了ポスト日:5月23日

 最初から最後まで脳汁ドバドバクライマックス祭りだった。ずっと心の中でザワザワとか絶叫が止まらない。色々な布石が一気に開通! だからテンションが下がる間もない。けど救いがあるようでないのはいつも通りだった。でも辛いんだけど今回はどこか爽やかさもあって不思議な気分。意外な人物の意外な一面もあったからかな? あと前にあった謎のシーンはどう回収してくるのだろうと思ってたら……そう来たか~。見事に掌の上で転がされた。

 以前私が書いた関連記事になります。

『Babel Ⅳ 言葉を乱せし旅の終わり』

著者:古宮 九時
イラスト:森沢 晴行
出版社・レーベル:電撃の新文芸
読了ポスト日:5月25日

 超絶怒涛な衝撃の伏線回収祭りからのオタクの好きな展開ラッシュ。嫌いになれという方が無茶だよこれ……。最後のおまけ噺でもう容量オーバーで泣き出しそうになった。クライマックスも予想外の流れと見せかけて恐ろしいほどにしっくりと来ている。人間の可能性を信じる物語って最高だよね。あとタイトル回収も記憶に残るレベルの秀逸さ。何はともあれ帯の文言に相応しいほどの完結っぷり。本当に、良かった。

『勇者殺しの花嫁 Ⅱ ──盲目の聖女──』

著者:葵依 幸
イラスト:Enji
出版社・レーベル:HJ文庫
読了ポスト日:5月25日

 あらやだこの勇者、可愛すぎる⁈ 前回のゴタゴタから一段落してこの巻ではコンビ力がマシマシになってきた。凸凹に見せかけたナイスコンビ! 特有の地の文も健在。寧ろキレが上がってて頭の中で文字を音声に変換しながら読むのが楽しかった。独特だけどなれると没入感が増す。明るい話が多くなったように見えてダークな本質ブッ込んでくるのも良き。皆人間なんだよなぁってのがヒシヒシと伝わってくる回だった。あと最後の1ページを読んで思った。日頃の行いって大事。

 1巻刊行時のレビューになります。ネタバレはないです。

『博多豚骨ラーメンズ 14』

著者:木崎 ちあき
イラスト:一色 箱
出版社・レーベル:メディアワークス文庫
読了ポスト日:5月26日

 何はともあれ完結おめでとうございます! まるッと1冊使ったエピローグ、これは嬉しいやつ……に見せかけてゴリゴリの本編だコレ! 岐路を過ぎて新たに始まる生活。でもその中で引っかかる部分もあって……キャラのその後も示されながらもいつも通りの裏社会群像劇も健在。最初で最後のスペシャルセッションのはずなのに実家のような安定感。最後の結末も群像劇らしい。本当に此処まで追いかけられてよかったです。ご馳走様でした!

★『無敵な聖女騎士の気ままに辺境開拓 1 聖術と錬金術を組み合わせて楽しい開拓ライフ』

著者:榮 三一
イラスト:なたーしゃ
出版社・レーベル:HJ文庫
読了ポスト日:5月27日

 タイトルに要素もりもりでびっくりしちゃうけど読んでみると腑に落ちるというマジック。ファンタジー農業楽しそうだなぁ~。のどかで暖かい田舎の雰囲気も味わえてとてもほっこりした。でも根幹となる疑問にもきっちり繋がっていって最後はずっと「良かったね~」としか言えなかった。最初から最後までやりたいことに一直線な主人公の姿は見ていて気持ちよかった。畑見て目キラキラさせてたが特に印象深い。それでもって癒される。最強かな?

 レビュー記事はコチラになります。

★『まきなさん、遊びましょう 1』

著者:田花 七夕
イラスト:bachi
出版社・レーベル:HJ文庫
読了ポスト日:5月28日

 ホラーだけど全体としてはライトな仕上がりだからホラー苦手な人にも進めやすくて、でもここぞという所で演出がしっかりしてるからホラーとしても充分楽しめる、そんな話。ちょっとした日常パートも上質。ギミックの捻りも上手で、謎解きも意外なところに伏線があったり、でも目の前の恐怖で失念しててだったりととにかく癖になる。ジャンルがごっちゃにならずにバランスよく調整されてるって感じなのかな? 盛り上げ方が上手すぎて今後も読みたいと本気で思ってる。

 レビューはこちらです。

『探偵に推理をさせないでください。最悪の場合、世界が滅びる可能性がございますので。 2』

著者:夜方 宵
イラスト:美和野 らぐ
出版社・レーベル:MF文庫J
読了ポスト日:5月30日

 ミステリもやって異能バトルもやんなきゃなんない。それでこそ『すいほろ』なんだ。どっちもありました、ヤッター! 特に異能周辺の設定がここまでボロボロ出てくると思って無くて異能バトル好きの私としてはテンションの高鳴りが止まらん。勿論昔を彷彿とさせるミステリの導入、そしてサービスシーンもいっぱい。これでGWなんだって⁈ じゃあ夏休みは一体どうなっちまうんだ……! 異能バトルからのオチの付け方もこれ以上ないレベルで完璧。

 1巻の話はこちらで行ってます。

さいごに

 なんだかんだ、先月も冊数多かった。22冊だからまあまあかな? でもここ数か月がバカみたいに読みまくってただけなんだろうけど。普段買ってる本の量と積読の数を考えたら月20冊の基準は保ちたいな~とは思ってる。でもぶっちゃけた話、積読がゼロになりそうにない。今でこそ125とかだけど最近全然買えてないだけなんでね。多分この記事が出てる頃にはまた増えてる。

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