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HJ文庫レビュー 『無敵な聖女騎士の気ままに辺境開拓 1 聖術と錬金術を組み合わせて楽しい開拓ライフ』

はじめに

 どうしよう……今月分の本が全然届かない。何ならいつも来るメールも全然来ない。もしかして5月刊行分のレビューを書いたはいいものの掲載箇所の報告するの忘れてた⁈ とかなりソワソワしておりましたが(SNSでもかなり焦ってた)無事に今月もレビューを書かせていただけました。今までの中で1番安心したメールでした。特に今月はどちらも興味深い内容だったんで仮に駄目だったとしても普通に買いに走ってたかもしれないですけど。今月懐事情はカツカツだけど切り詰めたら文庫2冊ぐらいなら何とかなるかな? ってかなり本気で考えてました。とにかく、ちゃんと報告できててよ方です。最近は届くのが凄く速すぎたってのもあるかもしれないのですが。以後逸りすぎないように善処します。最近サボりがちでしたが今回はキッチリと証拠を残しておきましょうか。

今月もキチンと受け取りました!

 という訳でお待たせしました6月の新作のレビューを行っていきましょう! まずは『無敵な聖女騎士の気ままに辺境開拓 1 聖術と錬金術を組み合わせて楽しい開拓ライフ』です。


あらすじ

 聖女騎士──それは祈りと戦闘、双方の力を使い魔物の脅威から人々を守る者。彼女らの務めは魔物の討伐から人々の支援まで多岐に渡る。その中でも新人の仕事は難易度の低いものからくじ引きによって選ぶのが慣例だった。

 しかし新人聖女騎士ジナイーダが引いたくじは危険な魔剣が封じられている辺境の村の駐在という新人の身の丈に合わないものだった。しかもその村では過疎化も深刻なため、土地の農業振興も仕事の1つとなる。

 そんな村の現状を知ったジナイーダは目を輝かせる。何故なら彼女は農業が大好きでそれにまつわる錬金術を学んだほどだったのだ! そんなこんなで新米聖女騎士の仕事の幕が開がるのだった。

レビュータイム

レビュー① ファンタジー濃度高めでお送りします

 それではもっと詳しく見ていきましょう。まずは大枠の世界観からです。たとえ主人公が辺境にいくからといってファンタジー要素が薄めだと断定してはいけない、そう強く感じましたね。色んな種類の魔法があったり魔族の存在もあったりして世界観のベースはかなり濃い目です。更に聖女騎士のコンセプトとその仕事も端的ながらも想像力を掻き立てられます。

 この作品はタイトルを通して読むと色んな属性が詰め込まれてちょっとびっくりするのですが、読んでいくとピースが埋まっていって違和感がなくしっくりくるのです。全体としてはほのぼのとしてますが、いざという時に発生するアクションシーンにもご注目です。

レビュー② これが別世界の農業か……

 聖女騎士ジナイーダ、彼女はただの聖女騎士ではない。色々と規格外の先達に師事し、農業をしたいがために別の学び舎にて農業に関連する錬金術、即ち農業錬金術を身に着けた聖女騎士なのだ! これだけでも特殊性が垣間見える主人公のプロフィールなのだがそもそも農業錬金術って初耳なんだけど! と突っ込みを入れたくなるのも分かります。私もでした。

 元々私達の現実にはないファンタジーな成分が隅々まで行き渡ってる世界というだけあってなのか、こういったものとは一切関りの無さそうな農業にもファンタジーがマシマシです。錬金術の中にも現実にあって欲しい技術があったり、錬金術だけじゃなくて現地の精霊にアドバイスをもらったりもするのです。時々「現実にもこれあったらなぁ……」と農業関係者じゃない私でも羨ましくなったりすることがあります。世界の常識が違えば農業1つとっても方式がここまで変化するのかと新たな知覚がありました。ありそうでなかった発想。

 かといって向こうの世界の専門用語だらけで頓珍漢という訳でもなく、現実でも聞くような単語で説明されてるので一定の分かりやすさもあるのもミソです。

レビュー③ 心温まるほのぼの田舎ストーリー

 このように通常以上に前面に押し出されたファンタジーなのですが、ただそれだけという事でもございません。先にも少し書いたようにほのぼのさを有しているのも特徴の1つです。キャラクターの性格も一因なのかもしれませんが、人の繋がりが持つ暖かさも感じられます。

 それがより分かってくるのはジナイーダの性格もあっての事でしょうか。本人も自認している通り彼女はふわふわした雰囲気を持ちながらも興味のある事に1人で突進しやすいタイプなのです。その見た目とのギャップ差も当然ながら魅力なのですが、その性分が如実に表れてるからこそ人の温もりを感じられやすいのかもしれません。

 ジナイーダがもたらす予想外の行動に驚かされながらもいざという時は頼りになって、途中で明かされる彼女の出自を経ても尚、心が温まる、そんなお話でした。本当に人の良さというのをじっくりと体験できました。

さいごに

 最初は主人公にアクシデントがあったけどめげずに頑張っていこうとする話だと思ってたんですけど彼女のパーソナリティもあっていい意味でひっくり返されましたね。普段直結するイメージとは違うけれど、人が織りなす癒し系ってこういう作品の事なのかなと思った1作でした。

 最後にふと帯のキャッチコピーを読み返したのですが、本当に太い幅のフォントが良く似合う。

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