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HJ文庫レビュー 『まきなさん、あそびましょう 1』

はじめに

 それでは今月も無事にお送りしますHJ文庫レビューのお時間でございます。今回もよろしくお願いします。そろそろ私がこの企画に参加し始めて半年が経とうとしてます。早いものですね。因みに家族には一切その話はしてません。だって言ったらめんどくさいことになりそうだし……。

 っと家の事情はさて置いて、ほとんどの場合1か月に2冊送られてくるのでいつの間にか今回で11本目、もうそんなに書いてたのか。毎度のことながら多様な作風の作品が送られてくるので毎回楽しみで仕方ありません。趣味全振りの選び方をしてるせいでジャンルバランス偏りがちになりますからね。

 そんな中、今月も初めて届いたタイプの本がありました。ズバリ『まきなさん、あそびましょう』です。最近、ホラー系ラノベが意外とイケるという事実に気づいたのあってかタイトルと表紙絵が出た時点でちょっと気になってたんですよ。という訳で、今回はこの作品について語っていきたいと思います。

唐突な証拠写真タイム。それはそれとして特典SSも気になってるんですよね〜。

あらすじ

 1人で暮らしているアパートに怪異が出る。親友からそう相談を受けた戸川諒介とがわりょうすけ。怪異が存在することも確かめた彼はその怪異の撃退方法を探し始める。そんな中、学校の中に「幽霊・妖怪・都市伝説などにお悩みの方、ご相談ください」と書かれた怪異研究会の張り紙を見つける。研究会の部屋にいた先輩、西島希那子にしじまきなこに相談を持ち掛ける諒介。彼は最後に謎のカードをもらう。曰く、使うと代償がある代わりに愛と正義美少女怨霊が助けてくれるとか。

 ────その代償が「ちらりと見たら風邪を引き、目が合ったら3日寝込む」と噂の怪異、魔忌名まきな様。彼女と共に怪異絡みの事件を解決することだとは諒介はまだ知らない。

レビュータイム

レビュー① ホラーというより怪異もの?

 いきなりなのですがさっきホラーとか書いてましたがやっぱりニュアンスが合ってないので訂正していいですか? 最初に書いてたのはどちらかというと読む前の印象ということで何卒。

 ホラーの話になると怖くて読めないと尻込みする方も多いと思われます。勿論この作品もヒヤリとさせられる場面も多いです。ですが現実にある怪異の伝承と日常の場面をギミックとして組み込んでいたり、アクションっぽい場面もあったりするんでガッツリホラーテイストという訳でもないかな? というのが個人的に思ったことです。でも怪異や超能力の存在がハッキリとあるタイプなのでその辺りはご安心を。怖さを感じる部分もあってどちらにも極端ということもございません。

 また、序盤に諒介が貰ったカードを始めとした日常の何気ないものに伝承を合わせたアイテムの発想が出てくるたびに「そうきたか!」と反応せざるを得ません。この部分も怪異方向で興味深いなと感じました。

レビュー② 不理条でも筋の通った謎

 というかこの作品かなりミステリ色が濃いです。これはタイトルの雰囲気だけ見てた私としては予想外。かなり調査パートありますし、バンバンヒントが撒かれてます。

 ですが相手は怪異、そう簡単にはいきません。中にはそんなバカな! と驚いてしまいそうな展開になりますが怪異絡みの事件ということもあって納得してしまうテイストなのもミソ。完全に相容れないバケモノ相手ではなく人間の行動がトリガーとなってるので思い返してみると意外なところにヒントらしきものが隠されてたり……なんてこともあります。最初は怯えていてもタネを明かされたら「あーそういうことか!」と取るに足らないと考えていた点と点が予想外の方向に繋がっていく感覚はあまり得られるものじゃないような気がします。

 普通のミステリとは雰囲気の違う、怪異も人も関わってくる事件ならではのテイスト、これは癖になりそうです。

レビュー③ もちろん日常も忘れずに

 帯に掲載されているキャッチコピーは「怪異×青春×謎解き」。怪異と謎解きの話はしたので最後は青春部分に触れていきましょう。ど真ん中に挟まってるだけあって青春或いは日常の部分の印象も見過ごせません。

 キャラの特徴が限りなく奇抜! と言い切るのも違和感がある。ですがキャラの1人1人がどこかフックがあるというか些細な仕草や言動で記憶に残りやすかったのです。そういった意味合いもあって私達の日常に近しい方向性での青春なのかなと感じました。特に希那子さんは第一印象以上に愉快なお方でした。全体を通してサービス(?)シーンも多くてニヤケが止まりません。

 でもそれだけではありません。どこか気になる部分もあってそこが明かされた時の驚愕ぶりといったら……おっとネタバレになりそうなのでここまでにしておきましょう。

さいごに

 なんというか……あくまで勝手に思ったことなんですけど、この作品、伏線の貼り方がすんごくワクワクするんですよ。さっきも書いたような後から分かってくるタイプのもの(謎解きなので伏線とは言い難いかもしれませんが)や想定外の情報が飛び出たりします。まだ回収しきれてない謎もどうなるんだこれ⁈ と非常に気になって仕方がありません。

 複数の事件の背後で大きいストーリーが展開されていくタイプのお話ってやっぱり楽しいぁ。投げっぱなしにならないかと不安な方、ご安心を。続刊の企画は動いてるそうです。あとはキチンと決定するまで念を送り続けるだけ!

 1冊では収まりきらない大きなストーリーですが1巻の時点でもとても面白いので大枠の話が丸く収まるまで見届けたいです。新情報で悲鳴が上がるのを覚悟のうえで。

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