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隣の柴田理恵は青い。

 時は21XX年。クローン人間の製造が合法化された世界。その発端は東側某国であった。半世紀前、某国は秘密裏に兵士として機能するクローン人間の開発にしていた。ことが発覚すると、西側諸国もこれに対処するという名目で軍用クローン人間を量産することとなった。目には目を、クローンにはクローンをである。その結果、アメリカでは大統領府からの圧力によって、クローン人間たちは「人間ならざるもの」として基本的人権が保護されないものと議会で定められた。その結果、市民の新しいペットであるクローン人間

    • 瀕死

       医師として働いている私は、今年で七年目である。それなりに医師という職も板についてきた気がする。ある日、緊急病棟で宿直をしていると、そこに救急救命専用の入口から一人の患者が運ばれてきた。廊下を滑るように走る患者の乗ったストレッチャーと、それを囲むように並走する緊急隊員たち。ただごとではないようだ。今夜も長くなるだろうか。 「主訴は?」 小走りで近づきながらそばにいた看護師に尋ねた。 「患者自身が意識不明で、救命士の確認したところ、銃創、刺創、強い衝撃による打撲傷、手足肋骨の骨

      • ウォーターサーバーサーバーコントローラーサーバーセーバー

         ある日、家のテレビでニュースを見ていると玄関のチャイムが鳴った。私は、飲んでいたマグカップをテレビの前の机において立ち上がると、通る声を出してそれに応えた。 「はーい。今行きまーす。」 玄関ドアについている魚眼から外を覗くと、何やら青っぽい帽子と制服を着た穏やかそうな男が笑顔で立っていた。宅配だろうか。そう考えながら、ドアチェーンを外してドアを開ける。 「こんにちは!ウォーターサーバーを設置して毎日富士山のおいしい水を飲んでみませんか?」 しまった。迂闊だった。この手の勧誘

        • MVP

           小学校でサッカーを始めたころ、最初の大会で監督から「この大会にはMVPがあるよ」と教えてもらった。どうもMVPとは、大会で最も優れている選手に送られる賞らしい。欲しい、と私は純粋に思った。  しかし、不運なことに(必然でもあったが)、チームに入ったばかりの私はその大会で一度もフィールドに出ていなかった。当然MVPは試合で一番活躍した選手に贈られるので、私には縁のないものだったが、当時の私にはそれが解っていなかった。  そこで、自分の目覚ましいプレイを披露できないなら「人格が

        隣の柴田理恵は青い。

          眠れない夜の個人的お気に入りネットミーム

          その1 その2 その3 https://www.instagram.com/reel/CzmAMIAMhgQ/?igshid=ZDE1MWVjZGVmZQ== その4 その5 その6 その7 その8 その9https://www.instagram.com/reel/CvXFTQHv2lk/?igshid=ZDE1MWVjZGVmZQ= その10

          眠れない夜の個人的お気に入りネットミーム

          「降る雪が全部」

          11月某日、富士山がチョコレート色に染まっていた。 発見当初は噴出物と思われていた富士山を覆うその物質は、政府の派遣した臨時の調査チームにより綿密な調査によりチョコレートであると断定された。また、奇妙なことに、富士山一帯の積雪がこつ然と消え去っていた。まるで、降る雪が全部チョコレートになったかのように…。 この結果を受け、チームは2回目の調査に先立ち、政府官邸に日本のチョコレート製造の大部分を担う3社「明治」「ロッテ」「森永」の商品開発担当者が招集された。 毒性検

          「降る雪が全部」

          添加物たっぷりジャンクフードなプロット

          キャプテン握力、渥美力也が主人公。リンゴを握りつぶせる握力と並々ならぬ正義感の持ち主。他はふつう。 悪の天才科学者ピザメッチャキラインシュタイン3世が世の中からピザを抹消してから10年、彼はピザを守る最後の要塞バチカン市国への核ミサイル攻撃を企んでいた。 世の中はピザに飢え、イタリアは崩壊、アメリカでは暴動が絶えない このままでは世界が壊れてしまう 「この頭脳で世界をピザのない完璧な世界に作り変えるのだフハハハハハ」 自分の頭脳に絶対的な自信があるピザメッ

          添加物たっぷりジャンクフードなプロット

          魚の目は泪

          ハル、、、女性。就活中の大学生。 レイラ、、、男性。上半身にフィッシングベストを着た人魚。 エリ、、、ハルの孫娘。50年後、ハルと同い年 夕方の三宮 リクルートスーツに身を包んだハルが街中を歩いていると、スマホに通知が来る。タップして就活の合否メールを開く。 肩を落とし、再び歩き出す。 夜の砂浜。 ハル、到着。月明かりの照らす海に対面して深呼吸をする。 バッグを打ち捨て、ビニール袋からビールを取り出して缶を開け、一気飲み。その後、砂浜に寝転ぶ。 ハル「あーあ

          魚の目は泪

          SF映画っぽい物語

          新人:傭兵団に入ったばかりの新人。まだ10代 サルバドール:20代後半の男性。近接戦担当。棒術に精通。 ピグマリオン:30代の男性。火器担当。先の戦いで右手右足を失う。 カペラ:若い女性。旧世代の文化に詳しい。古文書の解読担当。 法師:傭兵団団長。年齢不詳。 舞台は西暦7600年文明荒廃後の地球型惑星の砂漠。4人の傭兵たちが炎天下、陽炎ただよう砂の大地を歩いてゆく。彼らは依頼主から旧世代の技術が詰まった遺物の探索を任されている。 くたびれた傭兵たちの前にバザールが現れる。砂を

          SF映画っぽい物語

          変な映画の脚本

          『Subject』主人公を含めた自主制作映画サークルの製作陣で脚本の読み合わせ。円卓。主人公があいさつの後、脚本を読み進める。 主人公:主人公役が結局見つからなかったので、脚本と兼任で自分が担当させていただくことになりました。一生懸命頑張ります。自分の納得いっていないところがあるので、完全な脚本が出来上がるまでもう少し時間がかかります。すみません。どうぞよろしくお願いいたします。(周りから軽い拍手)それでは、登場人物設定を読み始めます。 カッコ、ここに主人公の名前が入

          変な映画の脚本

          ホラー映画になるはずだったもの

          『忘却』ある住宅街の廃墟のアパートの前で呆然と血まみれの若者が立っていた。近所の人がそれを発見するが、彼はすでに発狂してしまっていた。彼は「お前は知らない…お前は知らない」とぶつぶつ繰り返していた。 ある大学のオカルト部の部室。ラジオでは人口減少を嘆き少子高齢化対策の新法案が可決したことを伝えるニュースが流れている。 この都市伝説に興味を持った部長の主人公は原因を明らかにするべく、記録係や祈祷師の仲間を集めて4人で噂の廃墟に向かう。4人の詳しいキャラはまだ決まっていない。主人

          ホラー映画になるはずだったもの

          没物語供養

          墓参りの仕方脚本にして自主制作映画にしようかなと思っていたけど製作費とか様々な理由で世に送り出せなかった物語をここに供養します。メモ書き程度なので脚本としての体裁や内容は保証できません。 没になった物語の供養~安らかに眠れ~貸した本返せ 「ここにもない。ないなー」 シーンは主人公Aが部屋でなにかを探してるところから始まる。見つからず途方に暮れる そのとき、友人らしき人物(顔は見えない)に探し物の本を貸したことを思い出す。 「あいつかぁ」 そう言いながら、Aは電話をかけてみ

          没物語供養

          『ファイアパンチ』を語りたい

           『ファイアパンチ』を語ります。『ファイアパンチ』は週刊少年ジャンプ+で2016年4月18日から2018年1月1日まで連載されていた藤本タツキの漫画です。とても面白いです。 (注)この文章は漫画『ファイアパンチ』と漫画『チェンソーマン』あともろもろの映画のネタバレを含みます。 『ファイアパンチ』の中に出てくる名前 『ファイアパンチ』には様々なキャラクターが登場します。主人公であるアグニや、アグニの妹ルナ、アグニを神と慕うサン、常に冷静なネネト、復讐のターゲットのドマ、べヘム

          『ファイアパンチ』を語りたい