「降る雪が全部」

11月某日、富士山がチョコレート色に染まっていた。

発見当初は噴出物と思われていた富士山を覆うその物質は、政府の派遣した臨時の調査チームにより綿密な調査によりチョコレートであると断定された。また、奇妙なことに、富士山一帯の積雪がこつ然と消え去っていた。まるで、降る雪が全部チョコレートになったかのように…。

この結果を受け、チームは2回目の調査に先立ち、政府官邸に日本のチョコレート製造の大部分を担う3社「明治」「ロッテ」「森永」の商品開発担当者が招集された。

毒性検査などをクリアした例のサンプルを試食する担当者ら、官邸の大会議室に異様な緊張感が漂う。

そんな中、一人が声を発した。

「これ、うちの商品そっくりですね。このくちどけ、ほとんどメルティーキッス、いや完全にメルティーキッスだ!!!」

それは明治の担当者であった。

これに対し政府関係者が声を荒らげる。

「馬鹿なことを言わないでください。だとしたら、これはあのコマーシャルの…」

「その通りだ…」

首相の言葉が遮る。全員が固唾をのむ。

「全国に緊急事態宣言を発令する!!!」

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