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滅びよ……何度でも!!新テニスの王子様最高の瞬間、ドイツ戦を振り返ろう!【後編】

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第四戦 種ヶ島修二&切原赤也 VS M・ビスマルク&E・ジークフリート


1勝2敗で後がない日本代表。そこで召喚されたのは日本No.2の男、種ヶ島修二。

口癖は「ちゃい☆」

『無』を司る能力に長けた彼は、あらゆる敵の攻撃を無にして必ず返すことの出来る技『已滅無(いめつむ)』を得意としている。テニプリ初の能力無効化能力者である。

その相棒として選ばれたのは立海大付属中学の二年生、切原赤也。無印ではただの短気ワカメであったが世界編を経て成長。『天使と悪魔』を司る能力者へと昇華する。


いよいよ試合開始。立ち合いは強く当たって、後は流れで戦っていく日本ペアとドイツペア。

このまま互角の勝負が繰り広げられるのか。
そう思われたのも束の間、ドイツペアの一人、ジークフリートの体が突如として光を放ちだす。

あっ、終わった……。

さすがは世界大会準決勝。無印では百年に一人の逸材であるかのように語られた『天衣無縫の極み』持ちが、ここでは毎試合のように現れる。

天衣無縫の極みは天衣無縫の極みでしか倒せない。

日本No.2とはいえ種ヶ島修二は天衣無縫が使えないし、『天使と悪魔』を司る切原赤也もさすがに天衣無縫は司っていない。

あーあ、日本代表は、ここで敗退か……。
そう思われたのも束の間、切原赤也の体が突如としてブレ始める。

疲れ目が限界に達して切原がブレて見えているのかと思ったが、違った。

その後ダブルスであるにも関わらず相方をガン無視して、二人だけで打ち合い始める切原とジークフリート。

ブレ始めた切原は天衣無縫になったジークフリート相手に互角に打ち合っていた。

どうやら切原赤也の真の強みは『天使と悪魔』を司る能力ではなく、その驚異的な集中力にあると言うのだ。

その集中力が臨界点に達した時、彼は何故かブレ始め、限界を超えた身体能力を発揮し始めるのだった。

その名も——『集中爆発(バースト)』。

ただしその強力にも思える能力には制限があり、極限の集中力を必要とするからか、連続使用時間は10秒が限界とのことだった。

つまり切原赤也が天衣無縫に勝つためには、全ポイントを10秒以内に決めなくてはならないのだった。

それでも序盤はその圧倒的な爆発力でポイントを重ねる切原。しかし感動的な過去回想を挟んだジークフリートが持ち直し、徐々に形勢はジークフリートの方へと傾いてゆく。

疲れが見え始め序盤の爆発力が見る影もなくなった切原に対して、ジークフリートはこう言い放つのだった。

「そんな簡単に終わるんじゃねーぞ……」

そのジークフリートの取った行動に、日本チーム全員が困惑した。

ワカメという切原に取ってのNGワードを言われ、怒りで内なる『悪魔』が暴れ出す切原。俗に言う『悪魔化』である。

この状態になった切原は身体能力の向上と共に凶暴性が増し、集中バーストとの併用によってジークフリートはほぼ一方的に虐殺され始めてしまった。

どうして彼は、その切原の悪魔的側面を知りつつわざと彼を怒らせるようなことを言ったのか。

それは序盤から切原を逆上させ体力を削り、早々にリタイアさせることによって、試合の後半に2対1の状況を作り出すためであった。

まんまと策に乗せられ暴れまわる切原。反面、ジークフリートは防御に徹し致命傷を避け続けている。そしてとうとう体力が底をつき地に倒れ伏す切原。

これって……

ああ、ジークフリートの勝ちだ。

勝ちを確信したジークフリートであったが、切原は『悪魔化』で理性を失い暴れまわるふりをしながら実は冷静で、暴力的な攻撃の中にこっそりと13の処刑法を混ぜていたのだった。

どっちにしろ暴力的じゃんと思われるかもしれないが、木を隠すなら森の中である。賢い。

13の処刑法。それは日本の処刑人、遠野篤京(高校生のテニス選手)が得意とする戦術であり、13個ある処刑の技全てを受けた者は、その零『介錯』を首に受けることによって再起不能に陥るというものだった。

そうして切原とジークフリート、二人の中学生は共にリタイア。
今度は種ヶ島修二とビスマルクの高校生対決となる。

本来ダブルスであるのに両者相方がコート上にいない日本とドイツ。思い出したかのように説明されたテニスのルール上、こうなると最終的にタイブレークに突入するとのことだった。

しかし皮肉にも、ドイツのビスマルクは『Mr.タイブレーク』と呼ばれる、『絶対にタイブレークで勝つ』能力の持ち主。

全てを無にするはずの種ヶ島をあざ笑うかのように次々とポイントを重ねていくビスマルク。

だが種ヶ島は日本No.2の男。空中で一瞬ボールの動きを無にする新技『未生無』を披露し、互角の戦いを繰り広げる。

だがだが相手はMr.タイブレーク。絶対に落としてはいけないはずのサービスゲームを、ついに種ヶ島は落としてしまう。

そして本来切原赤也がいるべき無人のコートに、最後のサーブが放たれる。

唯一それを打ち返すことの出来る切原は体力を使い果たし、そこにいない。

これって……

ああ、ビスマルクの勝ちだ。

赤也いたァ!!!!

ギリッギリのギリで体力が戻りコートに戻ってきた切原がボールを打ち返す。

このボール、決して無駄には出来ない!

走る種ヶ島。その隙を狙おうとビスマルクが相手のコートを見るが……

おいおい。勘弁しろし。
いくら『無』を司る能力者だからって。。。


このポイントを奪ったことによって、2セット目は日本の勝利で終わる。勝負の結末は3セット目に委ねられた。

と同時に、処刑されたはずのジークフリートも復活。どうやら切原の不完全な処刑では、首を落としきれなかった様だ……

こうしてこの試合初めて四人の選手がコートに出揃う。ここからが本当のダブルスだ!

その後は暴走ぎみだが驚異的な攻撃力を持つ切原を、種ヶ島が自分の存在を無にする不会無で透明人間になりつつサポートする形で、日本の有利な展開で試合が進む。

最強の攻撃力と最強の守備力。彼らこそ、最強のダブルスパートナーだった。

これって……

ああ

いやああじゃない。

なんとここに来て、ドイツペアが『能力共鳴(ハウリング)』を発動。

しかもそれだけじゃない。

テニスの王子様世界におけるダブルスの究極奥義。『同調(シンクロ)』

そうして発動された『存在境界』という謎能力によって、切原・種ヶ島はお互いの気配・存在を感知できない、つまり完全に分断され、ダブルスをシングルスとして戦うことを余儀なくされたのだった。

ボルク「言うなれば……4対2のダブルスだ!!」

よく分からないが、そういうことらしい。

そして当然のように宙に浮いている。
『同調(シンクロ)』を発動した二人が宙に浮かび上がるのは当然のことなので、ここに関しては何の疑問もない。

こうして苦境に立たされた日本ペア。二人のドイツペアを相手に、孤独な闘いを続ける切原。

そんな彼の耳に、何者かの声が届く。


!!?!?!?!?!?!??!?!?!???!?!!??!??!?!?!!?!!?!



すみません、これは何ですか???

突如として切原の耳に届いた『悪魔』の囁き。そして——


!!?!?!?!?!?!??!?!?!???!?!!??!??!?!?!!?!!?!



己の内に眠る『天使と悪魔』。その両者の声に対して、切原は「うるせーんだよ」と言い放つ。

悪魔の力を借りるか、天使の忠告に耳を傾けるか。

切原赤也が選んだのは、そのどちらでもなかった。


すげえ。最強のダブルスが誕生しちまった……。

その後分断されている種ヶ島のダブルス世界にも侵入し、分断された世界を再び一つに戻す切原。

やがて『悪魔』と『天使』が一つに融合し……

悪魔+天使って、=青い瞳なん???
どういう計算式???

とにかく、悪魔と天使を飼いならし青い瞳に覚醒した切原は、10秒しか持続しなかった『集中爆発』をずっと持続させられるように進化した。

やがて勝負は終盤に。意地を見せるドイツの粘りにさすがの青い瞳の切原赤也も体力切れか、動きにキレがなくなってきていた。

強力な打球を何とか打ち返すも、その場に倒れてしまう種ヶ島。

勝つのは俺たちだと言わんばかりに繰り出されたドイツペアの打球は、日本コートの、誰もいない場所へ……。

種ヶ島も、切原も、そこにはいない。

打ち返せる者は、誰も……


いや、誰もいないはずのコートに——



『更互無』。それは自身の存在を無にする不会無の効果を、パートナーに付与する技。それによって無になっていた切原が、誰もいないはずのコートで待ち構えていたのである。




第四戦  勝者  種ヶ島・切原ペア


異能バトルすぎてもうわけわかんねーよ



最終戦 平等院鳳凰 VS ユルゲン・バリーサヴィチ・ボルク


日本最強の男。平等院鳳凰がコートに立つ。

仁王雅治のイリュージョンじゃない、正真正銘の平等院が。

しかし平等院鳳凰が日本最強だとするのなら、ボルクは世界最強の男だ。

高校生にしてプロテニスプレイヤー。そしてプロになってから無敗。

テニスの王子様世界、最強の男が今コートという名の戦場に降り立つ。

ジャパン! ドイツ!

立ち合いは強く当たって、後は流れで戦っていく二人。ラリーのあまりの激しさにコート上では土煙が舞い上がり、もう観客席からではコートで何が起こっているのかすら分からない始末。

ボルクはまずは様子見とでも言うかのように、己を象徴する必殺技を放つ。

『渦巻の洗礼』。ヴィルベルタオフェ。

それは人間の腕の構造上、絶対に打ち返せない強力な回転をかけた打球を放つことによって、相手の手首をねじ切る技である。

しかし平等院、それを難なく返球。

そう、平等院の腕はもはや、人間の腕とは程遠いものになっていた。

握力は300kg、ゴリラ並みである。

ジャパン!


エキゾチックオブ ジャペエエエエンを始め、様々な世界の技を繰り出す平等院。あの世界最強のボルクと互角に渡り合う。

ポイントの奪い合いが続く中、平等院が必殺技の構えに入った。


ジャパン!


エキゾチックオブ ジャペエエエエンを始め、様々な世界の技を繰り出す平等院。あの世界最強のボルクと互角に渡り合う。

ポイントの奪い合いが続く中、平等院が必殺技の構えに入った。




……ん?




同じ言葉を繰り返しているだけじゃない。平等院が、一度返されたはずの、効かないと分かったはずの技までも、何度も繰り返している。

「人はあまりの衝撃的事実を提示されると自らを守る為脳が記憶をシャットアウトする」

「ボルクの強さは『タイムループ』を引き起こす」

「この『螺旋の洗礼(シュピラーレタオフェ)』からは絶対に抜け出せない」


こ、これが世界最強の男……

ついに『タイムループ』を引き起こす能力者まで現れてしまった。

この漫画は、いったいどこまで……

日本の技、挨拶代わりにしたすぎている。

日本最強の男がこうも完膚なきまでにやられるだなんて、いったい誰が予想していただろうか。

相手のあまりの強さに対して無意識に記憶の上書きを拒否している平等院。

タイムループは終わらない。


平等院過去編。二年前。

当時の平等院は既に完成された強さを持っていたが、完成されすぎているが故に勝負に負けた際に『悔しい』と感じ負けを引きずる心を持たずにいた。

だがより強くなるためには、負けた時の『悔しさ』をバネにすることも時には必要なのである。

「平等院よ。強くなりたければ弱さを知ってこい!!」

そのアドバイスに従い平等院が向かったのは山奥の神社。そこで精神レベルを自在に操れるようになるため、瞑想の日々を送った。


そして現在。

完全に心が折れてしまっている平等院。

ほとんどやけくそで世界の技を放つも、ボルクに軽く打ち返されてしまう。

燃える打球が心臓に直撃し、

死にゆく平等院。


再び過去回想。


平等院が瞑想の果てに辿り着いた極地。

彼はひたすら、自分の精神力を信じていた。

あえて精神レベルを下げてボルクに完膚なきまで心を折られることによって一度命を落とし、そしてその『悔しさ』をバネにより強くなって蘇る。

一度命を落とした平等院が再び立ち上がる。

そして再びラケットを手にした彼は前よりも数段パワーアップしていた。

これまで剣での攻撃しか出来なかった海賊ガイコツが進化し、銃弾でボルクの左肩を撃ち抜く。

致命傷は避けられたが、これは大きなダメージになるだろう。

タイムループしている間に1セット取られた平等院は、しかし2セット目を精神世界の最奥で手に入れた力『阿頼耶識』を使い奪い取る。

『阿頼耶識』とは、かつてスイスのアマデウス相手に阿久津仁が見せた『無没識』の更に先にある力であり、瞬時に無数の攻撃法の選択肢を見せることで相手の対応を難しくするものだ。

だがその反動は激しく、全身から血を吹き出しつつ戦う平等院。これまで決して汗をかいてこなかったボルクの額にも大量の汗が浮かび、この戦いの激しさを物語っていた。

世界最強の男、ボルクがついに本気を出し始める。


その場にいないはずの、手塚国光の能力『ゾーン』。それと本来ボルクが持つ『渦巻』の能力が能力共鳴し——



なんかコート上にいくつもの竜巻を発生させていた。

世界最強の男の奥義は、設置型らしい。

捨て身でその竜巻の中に突っ込みながら、平等院はボールを相手のコートへと打ち返す。しかしそうして吹き飛ばされた平等院の心臓は鼓動を停止し、死に至ってしまう。。。

だが、何度死んでも蘇るのが平等院の能力!

再び蘇りなおも続くラリー。ボルクは手塚の『ゾーン』と能力共鳴しただけではなく、苦労の末に本人が編み出した『至高のゾーン』すらも更に進化させ使いこなしていた。

嵐の海を航海する海賊船。行く手には巨大な竜巻。

だが船に乗っていたのは平等院一人ではなかった。同じ日本の世界大会優勝を夢見て来た仲間たちも船に乗っていて——



この海の果てに、すんげェ宝があるって知ってるか!?

それを手に入れた奴が、海賊王になれるんだ!ワクワクしねェか!?

聞いたこともねェ冒険が、待ってるっていうんだぜ!?


『BON VOYAGE!』 歌:Bon-Bon Blanco
作詞:佐々木美和 作曲・編曲:大島こうすけ

最初はみんなバラバラに描いていた地平線

今なら一つの望遠鏡で覗ける

君のココロ惑わす運命のしょっぱいコンパス

逆手に舵取るよ

BON VOYAGE! シガラミも過去も捨てて

僕らならそれでも笑えてるはず

夢を叶えるための涙ならば

惜しくはない

Precious in my life , oh……






世界大会準決勝、日本 VS ドイツは、こうして幕を閉じた。


仲間のため足掻いた者。『勝ちたい』と心から願った者。その手で未来を掴み取ろうとした者。天使と悪魔を飼い慣らした者。心臓が鼓動を止めようと、何度でも蘇った者。

負けた者。勝った者。挫けた者。笑った者。泣いた者。叫んだ者。

各々の思いが交錯し、人々の記憶に深く刻まれる名勝負がここに誕生した。


全試合、ベストバウト。

彼らが見せたこの輝きを、私は一生忘れない。






第四戦 種ヶ島修二&切原赤也 VS M・ビスマルク&E・ジークフリート


1勝2敗で後がない日本代表。そこで召喚されたのは日本No.2の男、種ヶ島修二。

口癖は「ちゃい☆」

『無』を司る能力に長けた彼は、あらゆる敵の攻撃を無にして必ず返すことの出来る技『已滅無(いめつむ)』を得意としている。テニプリ初の能力無効化能力者である。

その相棒として選ばれたのは立海大付属中学の二年生、切原赤也。無印ではただの短気ワカメであったが世界編を経て成長。『天使と悪魔』を司る能力者へと昇華する。


いよいよ試合開始。立ち合いは強く当たって、後は流れで戦っていく日本ペアとドイツペア。

このまま互角の勝負が繰り広げられるのか。
そう思われたのも束の間、ドイツペアの一人、ジークフリートの体が突如として光を放ちだ——

え? タイムループしてる???


くそっ、ならば挨拶代わりに我が日本の技を——





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