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民主党政権下では、研究機関の予算が削られ、日本人の優秀な博士号取得者を雇用できなくなった

2019-01-31に発信した章である。
以下は前章の続きである。
8年間の戦い
和田 
やはり“本丸”はファーウェイですね。
深田 
しかも、ファーウェイは元M16のスパイを技術者として雇っていました。
普通の企業なら、元M16の人材なんて必要ないですから(笑)。
和田 
本にも書かれていますが、深田さんの会社も、相当な被害を受けているようで。
深田 
8年前にさかのぼります。
F35のチップソリューションを開発した米国人技術者と起業準備をしていると、突然ファーウェイの社員からライセンス契約をしたい」と連絡があった。
まだウェブサイトすら立ち上げていない段階です。
和田 
一体全体、どこで察知したのやら……。
深田 
いざ事業を始めると、身の回りで奇妙な出来事が起こり始めます。例えば、ある大学と共同研究をする話が進んでいましたが、契約直前に全て断られてしまった。
すると直後、ファーウェイがその大学と共同研究することに決まる。こんなことが何度も続いたので、情報が漏れていると確信しました。
和田 
その体験をもとに、メディアで発信されてきたわけですか。
深田 
ファーウェイについての執筆は、六年前に始めました。
ですが、出版社に原稿を持ち込んでも雑誌に一度掲載されて終わり。
出版社は圧力をかけられたようで、二度目は載せてくれないんです。 
それからは、ファーウェイの影響下にある中国系企業や朝鮮系企業から直接脅迫を受けたり、新商品や通帳、印鑑まで盗まれたりすることもありました。
和田 
壮絶ですね(笑)。
深田 
絶望的なまでにファーウェイの政治力の強さを思い知らされてきたので、ファーウェイ排除をやってのけたトランプ政権の凄さがわかります。
和田 
でもようやく、深田さんの長年の主張が証明されつつあるわけですね。
即座に軍事転用
深田 
私の会社ですら色々と仕掛けられているんだから、大企業ではどれだけ酷い工作が行われていることか。
案の定、シャープは財務で追い込まれ、買収され、最終的にブランドごと奪われてしまいました。
和田 
深田さんは、鴻海によるシャープの買収に猛反対されていましたね。
深田 
鴻海会長のテリー・ゴウは、中国共産党とつなかっていますから。
共産党から工場用地を破格の値段で提供してもらい、鴻海側は人民解放軍に技術や軍用品を提供していることもわかっています。
和田 
でも結局、シャープは鴻海の傘下に入ってしまいました。
深田 
国産技術を守るため、本来であれば政府がしっかりチェックすべきです。 
中国共産党の息がかかった企業が、シャープのブランドを利用して日本製の通信スパイ製品を作ることも十分にあり得るわけです。
日本政府は、そんなケースを想定していなかったんでしょうか。
和田 
耳の痛い話です。
ただ東芝メモリ売却では、政策投資銀行に三千億円を出資させて日米韓連合で守ることができました。
今後も、日本政府が機動的に動かなければなりません。 
中国が次に狙っている日本企業はどこでしょうか。
深田 
東芝本体でしょう。
なぜなら、米国が原子力関係の技術を中国に提供することを禁止したから。
そうなると、原子力技術の“狩場”は日本しか残されていません。
*朝日新聞やNHKが執拗に原発反対報道を行い続けているのは原子力産業を廃れさせ技術者を中国企業に就職させる様に仕向けているのだと言っても全く過言ではないだろう。*
和田 
原子力は、軍事と直結する分野です。
たとえ民生技術でも、中国は即座に軍事転用しますね。
深田 
人民解放軍だけでなく、日本から盗んだ技術は中国を経由して、北朝鮮軍にも使われています。
そんな衝撃事実を知れば、中国の技術盗用に関心が薄い人でも目を覚ましてくれるんじゃないかと思います。
和田 
そう考えると、ジャパンディスプレイは危ない。
もし買収されてしまうと、自衛隊と米軍は軍艦のディスプレイを中国から買わざるを得ない、なんて事態すら招きかねません。
深田 
有機ELディスプレイを開発するパイオニアも狙われているでしょう。
しかも、パイオニアはカーナビも作っている。
中国は、カーナビ技術や地図情報も喉から手が出るほどほしいはずです。
*つい先日、パイオニアは香港系企業に買収された*
身元確認を徹底しろ
深田 
中国は最近、太陽光発電に力を入れています。
なぜなら、「宇宙強国」を目指しているから。
和田 
習近平は、2030年までに宇宙開発の分野で米国に並ぶと宣言していましたね。
さらに2045年には、原子力宇宙船を飛ばすという目標を掲げている。
中国人は、我々が想像するより大きなスケールで、長期的戦略を立てています。
深田 
JAXA(宇宙航空研究開発機構)の職員から聞きましたが、経産省がJAXAに民間との共同研究、技術提携を勧めてきたそうです。
提携先を見ると、中国につながっていそうな会社があった。
ロケット技術は、まさしくミサイル技術です。
日本人の危機管理の甘さに、情けなくなってしまいます。
和田 
北朝鮮も、ミサイル発射実験を「ロケット発射実験」と言っていますからね。
深田 
高度な技術を扱う研究機関が民間企業、特にベンチャー企業と提携する際は、セキュリティクリアランスが重要です。
機密情報を共有する人たちが信頼できるかどうかかチェックするため、戸籍を登録・公開するようなルールがあってしかるべきです。
和田 
米国には安全保障上の理由から、政府が企業買収を監視する仕組みがあります。
昨年八月に成立したFIRRMA(外国投資リスク審査近代化法)によって、技術の売買やライセンスの譲渡について、政府がストップをかけられるようになりました。
深田 
米国の場合、共和党・民主党が超党派で「中国は米国産業を破壊する存在だ」という認識を共有しています。
オバマ政権下で、中国への技術流出に対する締め付けは若干緩くなりました。
それでも、共和党のジョン・マケインのようなモノ言う政治家がいたおかげもあって、CFIUS(対米外国投資委員会)はちゃんと機能していた。
和田 
日本の経産省も、外為法をはじめ既存の法令を駆使して企業買収を水際で防ごうとしていますが、これで対応できるかを考える必要があります。
深田 
それじゃあ限界があります。
悪意を持って技術を奪いにくる中国を想定して法整備をしていかないと、「時すでに遅し」になってしまう。
和田 
ほかにも、技術者や研究者の人材流出の問題は深刻ですね。
深田 
これは政府というより、日本企業の問題です。
大量の優秀な人材が、日本から去っている現状があります。
和田 
政府系研究機関に勤めていた知人から、こんな話を聞きました。 
民主党政権下では、研究機関の予算が削られ、日本人の優秀な博士号取得者を雇用できなくなった。
すると、その穴を中国人・韓国人研究者を採用することで埋めることになったそうです。
もちろん彼らに守秘義務は課しますが、守ってくれるかどうかはわからない。
「外国人研究者に日本の技術を根こそぎ持ち帰られてしまう」と思った知人は退職し、大学に移ってしまいました。
深田 
日本の大学に行っただけ、まだマシです。
日本企業は、たとえ優秀な技術者であっても報酬の額は知れているから、中国企業から破格のオファーを提示されて引き抜かれてしまう。
企業には、目先の利益だけじゃなく長期的な国益も考えてほしいと思います。

この稿続く。

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