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「船着き場。」(詩)

沈み、崩壊する島々から。 


手を引いて。


脱出したあの船着き場。


船に揺られて、沈む島を見つめる。


仕方のないことだったんだ。


だけど、それでも。


もう戻れないことが。


寂しいような気がして。


これからどうしようかなって、

明日に期待したりする。


睡蓮が浮かんでいる池まで向かおう。


気が済むまで眠ろう。


目が覚めたなら、朝日を浴びて。


小雨を浴びて。


立ち上がろう。


あの日食べたふわふわのパンは、

今もどこかにあるだろうか。


心だけが残った白紙の世界に

望んだ未来を描いて。


進んだ気になっていること。


手放さないように

握りしめたリンゴを齧る。


反省はいるけど、

後悔はしないように。 


夜、ひた走る船は

また、心地よく眠気を誘う。


目的地は人のいる島へ。


新月の夜。


星は辺りを照らし、

船から出る光は灯籠のように揺れる。


この心と、理性を手放さないように。


伝えたい思いと言葉に込めた。


小さな夢を、手放さないように。


船は、ゆっくりと。


でも、確実に進んでいく。


蜃気楼の先に

次の船着き場をみるまでは……

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