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四万十町の素敵な人々

私は、四万十町を訪れてすぐに、偶然ふらっと立ち寄った古本屋で素敵な店主と出会った。

↓古本屋の店主との出会いについてはこの記事で紹介


みんなともだち


依頼、その店主とはすっかり仲良くなり、私が本屋を訪れる度に、町のいろんな場所に連れて行って下さった。
そんなある日、彼が私に会わせたい素敵な女性がいると言って町のカフェに連れて行って下さったことがあった。
カフェは、煉瓦造りの外観から想像する内装とは異なり、元スナックの名残があるユニークなものだった。実際、夜には飲み屋として営業しているそう。しかし、朝にはモーニング、昼にはランチもしている。
面白いのは、時間帯によって客層がいろいろなこと。
朝は、ゆっくりと新聞を読んだり、コーヒーを楽しみに来ている年配の方や仕事前のサラリーマンがやってくる。一方、昼から夕方にかけては、地元の年配の常連さんたちが思い思いにカラオケで歌を歌いに集まる。歌がひと段落したと思えば、学校帰りの小学生たちが宿題をしにやってくる。
まさしく、町民の憩いの場と化した素敵なカフェだった。
そんなカフェのオーナーはもちろん素敵な人で、町内の老若男女から慕われているのがよくわかった。
彼女について、とても印象的だったのは、初めてあったその日に、とても自然にまるで子ども同士の約束かのような口調で私に、
「また一緒に遊ぼ」
と言ってくれたことだった。更に驚いたことは、彼女だけじゃなくて、周りにいた古本屋の店主や他の年齢層様々な人々も
「うんうん遊ぼ」
と口々に言ってくれたことだった。

この「遊ぼ」のニュアンスが上手く伝わるかはわからないけれど、私には、彼女たちが年齢もバックグランドも関係なく、とても自然に私を仲間として迎え入れてくれているような親しみを感じたのだった。

他にも、偶然その時にカフェに遊びにきていた古本屋の友人である夫婦とも話す機会があった。

私は「本が好き」な人です

その夫婦の方とお互いの自己紹介をし合う自然な会話の流れで
「じぇりーさんは何をしているの?」
と聞かれた場面があった。

実は、この当時、私はカナダから帰国後も依然と仕事をしていない自分に嫌悪感を抱いていた。
だから、夫婦の質問にすぐに返答できず、しばらく言葉に詰まってしまった。
すると、横から古本屋の店主が、
「じぇりーさんは本が好きなんだよね」
と言い、
そしたら、その夫婦も店主と同じく、本による町おこしに奮闘している方々だったこともあって、
「本が好きなんだ!いいね!」
と、とてもいい反応をしてくれて、
続けて店主が、
「この子結構いい本選ぶんだよ」
と言ってくれた。それに対して
「そうなんだ!それは素晴らしい」
と、嬉しそうな反応をしてくれる夫婦。

とても些細なことだけど、自分には何もないと思っていた当時の私にとっては、ただ「本が好き」な私を肯定し、そのままそれを受け入れてくれるこの四万十町の人々との出会いは、とても新鮮で嬉しかった。

カラオケで一つになる

ある時は、古本屋の店主に招かれ、旦那さんと一緒に古本屋の店主と町おこし応援団のメンバーの一人の誕生日会に参加させていただいたこともあった。

飛び入り参加した私たちに、応援団の皆さんはとても親切に美味しいご飯と酒を振る舞って下さった。美味しいお酒に会話が弾み、お互い少しずつ心を開き始めたのだが、、、、どこかお互い完全に打ち溶け合っていないような感じがあった。

すると、突然、町おこし応援団のリーダー的お兄さんが行くぞっと周囲の男性陣に声をかけ、立ち上がった。
男2人がものすごい声量でTOKIOの「LOVE YOU ONLY」を大熱唱する。そこからみんなが勢いに乗ってそれぞれ好きな歌を年代、歌の上手い下手関係なく歌う。私と旦那さんにも順番が回ってきて二人でぐだぐだのジャスティンビーバーやエド・シーランの歌を歌わせてもらった。
仕舞いには、応援団団長でもある古本屋の店主と旦那さんが一緒に「上を向いて歩こう」、「明日があるさ」を熱唱した。そして、締めは「世界に一つの花」をみんなで熱唱。

カラオケの魔法にかかれば、みんなはもう「トモダチ」だった。

誕生日会の帰り道、旦那さんと一緒に楽しい余韻に浸り、こんなにカラオケが楽しいなんてと感動した
「あー幸せだね。四万十町は本当にいいところだね。」
と、私たちは終始、幸せのため息とにやにやが止まらなかった。
また面白いことに、帰りの道中、町のあちこちからスナックで大熱唱している人たちの歌声が聞こえてきた。

その後も、何度か集まりに参加させていただいたが、その度にみんなでカラオケをし、盛り上がった。

「いつでも俺の町に帰ってこい」

またある時の集まりでは、リーダー的お兄さんが、歌を熱唱しながら、間奏の部分で私と旦那さんに向けて「ジェリーさん!ロバートさん(夫の仮名)!いつでも俺の町に帰ってこいよーーーーーー!!!!」と叫んでくれたこともあった。
面白おかしく叫んで下さったが、彼が心から愛を込めて言ってくれているのが伝わってすごく嬉しかった。

素敵な四万十町の皆さんは、四万十町を出るその日の朝も、仕事があるのにも関わらず、モーニングでカフェに集まって下さった。
そして、別れの際には、リーダー的お兄さん、古本屋の店主、カフェのオーナーさん等みんな口を揃えて、
「四万十町にいつでも帰っておいで。それはもちろん四万十町を移住先として選んで帰ってきてくれのが一番嬉しいけど、そうじゃなくてもいいんだよ。たとえ違う町を選んだとしても、旅の道中で寄ってくれるだけでも嬉しいから。私たちはいつでもここにいて二人が帰ってくるのを待っているよ。ここはもう二人の町だから」
と言って下さった。

こうして、「いつでも帰っておいで」と言ってくれる人たち、町に出会えたことを心から幸せに思う。四万十町は私たちのもう一つのふるさとになった。


今日もここまで読んで下さってありがとうございます。
次回は、四万十町の後の旅について書いていきたいと思います。


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