見出し画像

助詞の前に形容詞だけでなく「形容動詞の概要」も扱います。短歌を中心に用例を提示します。古文単語 その49 形容動詞は外国にはないので、日本語学校では「イ形容詞」「ナ形容詞」などとして扱うようです。★いかめしく ふとく 長やかなるを 上のかたに 下のかたに 浅く深く突きなど 練じたまへば 死にかへり よよとぞ泣く。 (ながやかなり)


ロドリゲスという学者が形容詞に似ていて活用が動詞と同じものがあるということを「日本大文典」という本で紹介して以来、議論が始まり、

明治37年

の 『中等教科明治文典』に芳賀矢一 と言う人が「よかり・詳なる・整然たり」等の 「カリ・チリ・タリ活用」の語を「性質が形容詞と等しく、活用が動詞と等しい」ということから命名したのが最初だそうです。それまでは、「文法構造的には動詞で、表現する内容は形容詞」として扱われていたようです。何だかよくわからないと思いますが、形容詞は外国語にも当然、存在します。ただ形容動詞はありません。外国の方に対する日本語教育文法では、連体形語尾に基づいて、それぞれ「イ形容詞」「ナ形容詞」として分類し、教えられています。

諸君は(名詞+助詞「に」+動詞「あり」)から出来たと理解出来れば十分かと思います。


「静かなり」という形容動詞は、「静かにあり=静か+に+あり」と言う語が短縮化されたと考えるわけです。

形容動詞の見分け方もわかるといいですね。

① パターン1  あはれ・ ~か・~げ  プラス に・なり

                あはれ なり・しづ か なり・たのし げ なり

②  パターン2  優いう・艶えん・貴あて・黄き・徒いたづら・懇ねんごろ 


漢字 プラス に・なり    いたづら に・いたづらなり

③  パターン3  同じ漢字の並び プラス と・なり

              堂々 と・堂々たり・漫漫と・漫漫たり

○ 朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木

       千載集四一九

網代・あじろ → 琵琶湖から流れる瀬田川は京都に入り「宇治川」と呼ばれる。鮎の稚魚(ひお・氷魚)をとる仕掛けが網代である。
朝ぼらけ (朝びらき・朝おぼろあけ・朝がおぼろに明けるころ・ほのぼの夜が明けるころ・曙より少し明るくなったころ)
宇治の川霧 (宇治川→京都南部を流れる川・冬の早朝や雨の夕暮れには霜がたちこめている景色が見られる・宇治川のあたり一面にたちこめていた朝霧が)
たえだえあらわれわたる (形容動詞たえだえなり連用形・とぎれとぎれである・途切れて隙間がある
~わたる →ずっと~する、一面に~する・四段あらはれわたる連体形・あらわれてずっと見えてくる)
瀬々の網代木 (瀬々の→多くの浅瀬の・網代木→網代(冬、川で魚を捕るため竹や草を編んだもの)木(網代を支える杭)

参考  清見が関うちすぎて、富士のすそ野になりぬれば、北には青山 峨々と して、松ふく(吹く)風 索々 たり 。南には蒼海 漫々と して、岸うつ浪も 茫々たり 。

    平家物語 海道下 

(形容動詞 峨々たり・索々たり・漫々たり・茫々たり)   
清見の関所を過ぎて、富士山の裾野になったので、北側には青々とした山が険しくそびえて、松の間を吹く風もさびしく響く。南には青い海が漫々と水をたたえて、岸を打つ波の音も激しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?