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話が苦手な人ほど、営業先で話しすぎる

介護職から管理職になって、はじめて「営業」をする人が、陥りがちなミスとその対策についてお話します。

「うまく話せないから営業には向いてない」は間違い

陥りがちなミスとは、タイトル通り「話しすぎる」です。
営業について、商品やサービスをうまいこと説明して売り込むというイメージを持っていませんか?
「営業に行きましょう」というと、ほとんどの人が「私は話すのが苦手だから」と言います。
たしかに、最終的には説明をして買ってもらうことが必要なのですが、最初から最後まで一方的にしゃべるということはありません。
というか、そんなことをしたらどんないいサービスも売れません

商品やサービスは何のためにあるのか

そもそも、あなたが”売ろう”としている商品やサービスは、何のためにあるのでしょうか?

老人ホームの入居者募集を例に考えてみましょう。
入居する本人にとって
・一人暮らしが不安(課題)⇒24時間誰かしらいるところで生活したい(解決策)
家族にとって
・家族の介護負担が増えて仕事を継続できない(課題)⇒介護を任せたい(解決策)

このように老人ホームへの入居は、現在の生活の課題を解決するための手段といえます。

実はすべての商品・サービスは同じように考えることができます。

コンビニ弁当
・食事を作るのが面倒だ(課題)⇒温めるだけで手早く食べられるおいしい食事(解決策)
音楽コンサート
・心が疲れている(課題)⇒好きなアーティストの曲を五感で感じて元気をもらいたい(解決策)

もうおわかりですね。すべての商品・サービスは顧客の課題や困りごとを解決するためにあるのです。

”困りごと”を解決しないサービスはいらない

課題や困りごとを解決するためにサービスを利用するということは、裏を返すと、困りごとが解決しないサービスは不要ともいえます。

家族に代わって”介護”をしてくれる老人ホームを探しているのに、「おいしい食事」「多彩なレクリエーション」は充実しているけれど、「介護はあまり力を入れていません」では、課題は解決しません。

「手早く食べたい」と思っている人に、高級フランス料理の素材セットはいりません。
「好きな音楽で心を癒したい」と思っている人に、カウンセラーはいりません。

営業で、自分ばかり話してはいけない理由

営業に行ったら何を話そう。ということばかり考えて、聞かれてもないのに、「うちの施設は食事が充実してて…」「うちには多彩なレクリエーションプログラムがあって…」と施設の特色を一方的に話してしまう人がいます。

その情報、本当に求められていますか?

顧客は自分の課題を解決するための情報を探しています。
それ以外の情報は求めていません。
もし、あなたの話す内容が、顧客にとって不要な情報ならば、あなたのひとり語りは、テレビCMのように「今のうちにトイレいっとこ」程度の関心でしか聞いてもらえません。

売れる営業は、まず聴く

サービスは顧客の課題を解決するためにあります。
営業は顧客の課題を解決する手段として、自社のサービスを提案します。
ここまでは大丈夫ですね。

では、顧客の課題とは何でしょうか?
老人ホームを検討しているひと全員が、家族介護で困っているわけではありません。一人ひとり抱えている課題や困りごとは違います。

一人ひとり違う困りごとを知るにはどうしたらよいでしょう?
答えは小学生でもわかります。
顧客に聞けばいいのです。
「何にお困りですか?」「どんな生活をしたいですか?」

相手の話に関心をもって耳を傾け質問をしながら、本当に困っていること、本当に求めていることがわかるまで聴きます。
商品・サービスの説明はそれからです。
顧客の課題がわかれば、その課題に対して自社のサービスがどのように解決できるかを説明・提案します。
相手が求めていることに対する明確な答えがあれば、全てを語りつくす必要はありません。

分かりやすく話す力を持っているほうが有利なのはたしかですが、顧客が求めてないことを上手に話すよりも、つたなくても求めている情報を提供する方がずっと価値があります

話すのが苦手な人は聴くのが苦手

「話すのが苦手」という人が、そのあとに続けて言うのが、「聞く方が得意」です。ただ、これはあり得ないと僕は思っています。
話し上手は聴き上手です。
話し下手は聴き下手です。
ただ、フンフンと相槌をうつことを聴き上手とは言いません。それはただ「言葉を聞いている」だけ。
聴き上手な人は、相手が本当に言いたいことを引き出します
話し上手ではない相手も、聴き上手な人の前では、本当に言いたかったことを話せます。

営業の基本は話すではなく、聴くです。
顧客が、自分の困りごとや本当に求めていることを話せるように、聴くスキルを身につけましょう。
”話し”はそれからだ。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

立崎直樹





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