『チームが自然に生まれ変わる』
特殊な資質や強力な牽引力のないリーダーでも、本書の考え方を取り入れ、チームに用いれば、メンバーそれぞれがいきいきとゴールに向かって進んでいくチームへと自然に生まれ変わる気がした。
生まれ変われる気がした…これこそ、本書で繰り返しその重要性を説く、エフィカシー(自己効力感)が与えられた証拠だ。
今回読んだ本は『チームが自然に生まれ変わる 「らしさ」を極めるリーダーシップ』(李英俊 著)
読書のきっかけ
リーダーシップに関する本の中で、ブクログでの評価が高かった。
何について書いてある本?
「メンバーが自主性をもって、目標に向かって継続的に動くチーム」はリーダーにとって理想的。
本書では認知科学の視点で、その理想のチームをつくりあげる方法をひも解く。
行動を変えてもすぐに元へ戻ってしまうのは、認知(物ごとの捉え方)が変わっていないからである。認知科学では、行動だけではなく認知を変えるようにアプローチする。
チームメンバーの認知を変えるリーダーは、「真のWant to」に基づいて「現実の外側」にゴールを設定し、「できる気しかしない」というセルフエフィカシー(自己効力感)を高めチームを推進する。
ハイライト
真のWant toとは「何としてもこれを実現したい」という強い衝動に似た欲求である。真のWant toを見つけることができたら、もう「そこへ向かうしかない」と、自然に自分の意識や行動が実現したい世界へと向かっていく。
日常はたくさんのHave to(やれなければいけないこと)であふれている。Want toはHave toに覆い隠され、なかなか見つけることができない。見つけるにはまずHave toを徹底的に取り除くことから始めよう。
認知科学の世界では、Have toは「やらなければいけないこと」ではなく、「やらなければいけないと”思いこんでいる”こと」である。つまり自身の認知(思い込み)を変えるのだ。
どうやって捨てるかは後で考えればよい。まず捨てる決断をする。捨てる方法から考えると、心理的ホメオスタシス(現状維持が心地よいという心理)によって、捨てない方がいいという考えに引き戻されてしまうからだ。
Want toは得意なこと・夢中になれること・繰り返していることの中にある。
現状の外側とは、少し手を伸ばせば届く目標ではなく、目標を一つ一つ達成した先に広がる”世界”のことである。
その世界は現状の延長戦上にはないと感じたならば、今あるHave toはすべて手放してもいい可能性もある。
大事なのは、どれだけ自分が本気でその世界にあこがれるか。現状の評価から「せいぜいこんなもんだろう」と妥協した未来を、本気で目指そうとは思えないだろう。
認知が変わり、自分のコンフォートゾーンが「これまでの日常」から「現実の外側のゴール」へと移ったら、心理的ホメオスタシスは、現実の外側のゴールへ”戻ろう”とする。これこそ認知科学に基づく動機付けである。
ぼくは、「誰もが”しあわせに暮らしましたとさ、めでたしめでたし”と生ききれる世界」をゴールとして描いている。それがどんな世界なのか、そこで人々は、自分は、どんな風に生きているのか。今後、より臨場感を高め、コンフォートゾーンのお引越しをしよう。
使い古された言葉だが、リーダーはチームの鏡である。リーダーの姿勢や態度が、チーム全体の姿勢や態度に反映する。
現状の外側のゴールに向かって、「できる気がする」と信じて進むチームをつくるには、まずリーダーが率先して認知を変えて、エフィカシー・ドリブンな姿勢を見せなければならない。
そのためにはまず、リーダー自身がHave toを捨てる。リーダーには責任感が強い人が多いため、捨ててはいけないと“思い込んでいる”Have toが大量にあるはずだ。その一つひとつに捨てる(代替する・委譲する)決断をする。
また、メンバーを助けるためという口実で、雑務こそ自分の仕事だと思っているリーダーは要注意。介護の現場では、見つけようと思えば無限に雑務を拾い集めることができる。
リーダーは率先して現状の外側に旗を立て、「あそこがゴールだ!」「私たちならいける」とメンバーにゴールとセルフエフィカシーを与えよう。
この本をどう活かす?
本にもあったように、まずは自分自身のゴールとそれに対するセルフエフィカシーを構築する。いま僕の頭の中にあるゴールはまだまだ抽象的で、ふわふわしている。より臨場感のあるゴールを描けたら、さらに強い情熱をもって進むことができるだろう。
リーダー育成の場面でもそのまま転用できる考え方だ。リーダー現状の外側のゴールを見つけられるよう導き、セルフエフィカシーを高められるような支援をしていきたい。
こういう人におすすめ
チームリーダー、管理職。
「メンバーが思うように動いてくれない」という他責思考ではなく、リーダー次第でメンバーの認知を変わり、みんなでゴールを目指し、それぞれが自主的に動くチームを作れることがわかる。
めでたしめでたし
立崎直樹
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