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最重要事項を優先するチームのリーダーが決める、たった1つのこと
重要なことと緊急なこと、どちらが重要ですか?
不思議な問いに困らせてしまってごめんなさい。
重要度と緊急度、二つの異なるベクトルは、比べられません。
緊急なことの中には重要なこともも含まれれば、そうでないことも含まれます。
では、少し問いを変えてみましょう。
重要なことと、緊急だけど重要ではないこと、どちらが重要ですか?
ひっかけ問題ではありません。安心してください。
(テストの問題の中に答えが出ていると、「何か裏があるのでは?」と勘繰ってしまうやつです)
正解はもちろん、重要なこと。
介護保険サービスで最も重要なこと
ケアマネジャーからよく聞く話。
「本当はその人に合わせたプランを作りたいけど、時間がないから、とりあえず監査向けに体裁を整えています。管理者なんて『内容にこだわりすぎだ。中身はどうでもいいから、とりあえず遅れなく帳票を揃えろ』って言うんです。」
ケアマネジャーなら、激しく同意する方が多いと思います。
管理者も激しく同意する方が少なくないでしょう。
日本の介護保険法では、ケアマネジメントに基づいた介護サービスにのみ、介護保険の給付対象となります。
簡単にいうと、介護保険制度では援助方針と支援目標に基づいて介護することが重要です。と。
その援助方針と支援目標を整理し、わかりやすく言語化するのがケアマネジャー。
しかし、多くのケアマネジャーは「帳票を整備する」ことで精一杯と言います。
では、誰が抽出した課題を整理し、援助方針と支援目標として、まとめているのでしょう?
まさかの………誰もやってない!?
ケアマネジャーの方、ご安心ください。
このnoteはマネジメント(管理者・リーダー)向けですので、ケアマネジャーの怠慢だ!と責めるたりはしません。
それでは続きをどうぞ。
最重要事項に取り組めない理由
ケアマネジャーがケアマネジメントをしていない。
ケアプランがないため、介護士が方針や目標のない介護サービスを提供している。
実態として、結構多いのではないかと推察します。
では一体、ケアマネジャーは何をしていたのでしょう。
「家族や介護士からの問い合わせに追われて、じっくり考える暇がない」
「急な受診に、1日振り回されてしまった」
「私たちは、制度の隙間の雑務をやらなきゃいけないんです」
そう、「雑務!=緊急だが重要ではないと思っていること」に多くの時間を費やし、「最も重要なこと=ケアマネジメントプロセスの展開」をしていないというのです。
ケアマネジャーはマネージャーという名前がついていますが、自身の仕事をマネジメントするプロではありません。
だから、管理者がケアマネジャーの仕事をマネジメントする必要があります。
冒頭に登場した「中身はどうでもいいから、とりあえず帳票」も管理者の言いたいことは分かります。今の介護保険では100点のケアプランが10枚より、10点のケアプランが100枚の方が、監査や保険請求の際の価値が10倍も大きいのだから。
ただし、これでは「ケアマネジャーがケアマネジメント(最重要事項)に取り組まない」という課題の解決には至りません。
「人を増やす」も解決方法の一つですが、収入が増えないのに経費だけ増えると、経営面で事業所の存続すら危うくなります。
最重要事項は何か
介護保険法上の最重要事項は、援助方針と支援目標を定めて介護をすることですが、事業所の管理者としてあなたがケアマネジャーに求める最重要事項は何でしょう?
「そりゃ理想を言えば、一番大事なのは、丁寧に生活機能や環境を評価した上で、本人と共にケアプランを作成することだよ。」
この言葉、ケアマネジャーに伝えたことありますか?
逆に「内容はどうでもいいから、まずは帳票を揃えてくれ」と伝えていませんか?
「帳票を揃えてくれ」といわれ続けたケアマネジャーは、「この事業所では援助方針や支援目標は最重要事項ではないのだ」と理解している可能性が大です。
一方、ケアマネジャーは何を最重要事項だと考えているのでしょう?
「そりゃ理想を言えば、一番大事なのは、丁寧に生活機能や環境を評価した上で、本人と共にケアプランを作成し、その後の評価をすることです。でも…」
そう、管理者とケアマネジャー、お互いの理想とする最重要事項は一致しているものの、それを伝えあっていない。これが現実ではないでしょうか。
最重要事項だって、言葉にして伝え合わなければ、分かり合えない。
まずは、事業所としての最重要事項について、共通認識をもとう。
それだけで、管理者とケアマネジャーの溝はかなり埋まります。
最重要事項=最優先事項
最重要事項とは最も大切なことです。(当たり前)
最重要事項は実行したほうがいいに決まっています。
というか、最重要事項を実行しないで何をやるんだ!?って話です。
しかし、ケアマネジメントプロセスの展開が最重要事項のだとわかっているのに、できない(やらない)のはなぜでしょう。
理由は、非常に簡単。
最初から「できない」「どうせ無理」「ただの理想」と決めつけているからです。
言い換えると最初から「私たちは最重要事項には手をつけません」と決めているからです。
では、どうしたらいいのか。
「私たちは最重要事項を最優先事項にします」と決めればいいのです。
そうは言っても、いろんな雑務が…
確かに、緊急かつ重要な雑務もあります。しかし、全ての雑務(あえて”雑務”と言います)が重要だとは限りません。
それなのに、全ての雑務を最優先にし、最重要事項に手をつけないのはいかがなものでしょう。
そこで、もう一度問い直してください。
先ほど確認した最重要事項は、本当に最重要事項なのだろうか、と。
「理想だよね」「できたらいいけど」程度の考えだとしたら、それは本当の最重要事項ではないかもしれません。
本当の最重要事項は、「何が何でも取り組むのだ」「これをやらなきゃ意味がない」と、心の底から本気で思うものです。
本当の最重要事項が定まると、考え方が変わります。優先順位が変わります。
「日々の雑務が片付いたら、最重要事項に手をつけよう」という考えでは、優先順位は雑務の方が高くなります。
一方、「最重要事項に取り組むために、日々の雑務をどう処理したら良いか」という発想に変わると、最重要事項の優先順位が高くなるわけです。
最重要事項を最優先事項にしようと決めると、仕事の進めかたや割り振りが変化します。そして徐々に最重要事項を実行するチームへと変化するのです。
管理者の役割の一つは、この事業所の最重要事項はこれだ!と指し示すこと、すなわちリーダーシップを発揮することです。もちろん一人で決めるのではなく、対話によって最重要事項を決めてもいいと思います。
しかし、最重要事項を決めたのならば、どれだけ「雑務が…」とか「忙しい…」とか「ただの理想だ…」と言われても、目的地を指し示しつづける強さを、リーダーには持ってほしいと思います。
どうやったらできるか(マネジメント)も大切ですが、まずはチームがどこへ向かうのかをはっきり示すことが重要です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
僕は、本気でいい事業所にしたいと考えているリーダー、マネージャーを応援しています。
何かお役に立てることがあれば個別相談にものっていますので、お気軽にメッセージをください。
梅雨ニモマケズ
立崎 直樹
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