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読書レポ|ブランディング・ファースト<メソッド編>
前作『ブランディング・ファースト ――広告費をかける前に「ブランド」をつくる』では、ブランディングとは何か?を理解した。
今作では、ブランディングを進めるための方法を学んだ。
ブランディング・ファースト〈メソッド編〉――ブランディングに失敗する会社は、どこでつまずいているのか?
ブランディングの成否を大きく左右するのは「準備段階」にある、と本書では説く。
準備段階で行うことは、経営者やボードメンバーが本気で絶対に投げ出さない覚悟を持つこと。
ブランディングは、単なる飾りや、ことば遊びではない。
企業の存在意義(パーパス)を掘り起こし、それを言葉にして社員の心に火を灯るまで浸透させる。
火が灯った社員は、企業理念の実現に向け、ブランドポリシーに沿って、一人ひとりが自分の役割や責任を果たしていく。
そして、その行動やサービス・商品を、ブランドとして社外に向けて発信していく過程である。
ブランディングには膨大な時間と労力、知恵や根気を要する。
その中心となるのが、経営者であり、そのすぐそばにいるボードメンバーなのだ。彼らが中心で情熱の火を燃やし続けなければ、ブランディングは成立しない。
準備ができたら、具体的な工程に入る
1,社内外からの徹底的な情報収集により「自社を知る」
2,集めた情報から、中心要素を抽出し、自社のセンターピンを立てる
3,ブランドマップを作成する
4,インナーブランディング
5,アウターブランディング
具体的な中身については本を読んでもらうとして。
ブランディングは、自社を客観的に見つめ、向き合い、絞り出す(本書ではドリップと表現しているが、ドリップコーヒーのように自然にポタポタ落ちてくるというより、僕は豆腐のようにギューッと絞り出す印象を持った)本質的で、修行のような作業である。
しかもブランディングに最終完成形はなく、一度できあがってもPDCAを回し続けることが重要である。
こののようにブランディングはとても手間がかかる。ただのことば遊びのために行うなら、時間の無駄だ。
パーパスやMVV、クレドなど、流行に乗っただけで、経営者による言葉遊びに付き合わされた経験のある人なら、よくわかるだろう。
しかし、社会のため、顧客のため、社員のために企業のブレない軸を作ること(ブランディング)には、きわめて大きな意義がある。
企業の認知度向上、売上向上だけでなく、顧客のファン化によって新規事業に参入しやすくなったり、社員にとっても愛社精神があがることによる生産性向上、求職者の増加など様々なメリットがある。
ここまでの話だと経営者に向けた内容に思えるかもしれないが、ブランディングは「会社」単位でなくとも、「部署」単位でも組織であれば策定する価値がある。
中間管理職やリーダーにも、自社の経営理念に合わせた自部門のブランディングに挑戦してもらいたい。
組織のブランディングは、メンバーの結束を固め、社内の他部門に対する「自組織の存在意義・価値」を示すセンターピンになるだろう。
めでたしめでたし
立崎直樹
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