[エストニアの小説] #4 クディシームの話 (全10回)
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朝方になってやっと、空に明かりが見えはじめると、男は歌うのをやめ、ほんの一瞬、目を閉じた。しかし眠りは短く、浅く、次の瞬間には立ち上がっていた。そして森へ走っていくと、木々の1本1本の前で足を止め、花々を一つ一つ点検し、目にした虫を一つまた一つと手に乗せて、もがくところを笑いながら観察した。それに飽きると、木の下にすわって、耳を澄ませ、陶酔したようにじっと遠くを見つめた。そして太陽が地平線の上に現れると、筏の方に戻っていった。ハバハンネスのフェ