[エストニアの小説] 第6話 #8 決闘(全17回・火金更新)
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「そうだ」 息子のヤーンが答える。「その通りだ、一つの嘘もない」
「で、俺たちは市で突っ立ってた」 農場主がつづける。「暗くなるまでそこに突っ立ってた、飲んで立ってた。恥をさらした思いだった。長いこと立ってたんで、具合が悪くなった。で、雄牛と自分らを呪った。息子のヤーンがこう言った。『この恥と不名誉には耐えられない。5セントしか出さないやつにでも、雄牛を売らねば。こいつを家まで連れ帰るわけにはいかない。350で売れたのに、欲をかいたからだ。からかわれるのを承知