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医師の働き方の良いところ -労働者としての立場をサラリーマンと比較

儲かっているなどは世間の妬みを買うので決して言うべきではないが、大学病院勤務は月給20万で大変!(外勤の給料は絶対に言わない)もいかがなものかなと思う。
筆者は他の医師と馴染むことができず、医療業界以外の知人の方が多い。医師の働き方は世間一般といい意味でも悪い意味でもずれているところがあると思うので今回はその中でもいい点を取り上げていく。
なお、病気を治療してやりがいがある!なんて言葉は一切出てこない。今回の記事では他の方があまり触れていないところを書いていこうと思う。

1.給料

給与が高いというのもあるが底堅い点が一番のメリットだと思う。イブリースさんのnoteに書かれている通り年収800万を切ることはまずない。イメージとしては800万から2000万超の中でバラつきがあり1500万あたりに山の頂点がある感じだろうか。

筆者自身も振り返ってみれば年収800万を切ったのは研修医1年目だけである。年収800万を切る医師は研修医や夫も医師であるため自分自身は稼ぐ必要のない大学病院勤務の女医、他のことをやるために週1しか働かないバイト医、すでに資産を形成しているためあえて年収を落としている医師くらいだろう。

初期研修医も都内では月給20万台前半と一般の院卒と同程度だ。しかし都心から1時間以内という条件で一都三県を探すと月給40万以上の病院も存在する。残業代月80時間を含む、などありがちな内容ではなく基本定時退勤でこの給与だ。これに月4-6回の当直代(研修医なら1回 1-2万円だろうか)が足されるためさらに給与は高くなる。そんな職場ならさぞや大人気で就職は難しいのかと思われそうだが全くそんなことはない。倍率が1倍を切っていることもあり、そういう職場は浪人や留年、再受験生で30代の人もウェルカムだ。

専攻医(医師3-5年目)の基本給は地方や東京都を除けば60万,70万,80万が相場ではないか。月給60万→70万と一年経つだけで全員が自動で昇給するのは企業勤めではまずありえないそうだ。

しかし給与が急上昇するのは初めのうちだけでありその後も続かないことには注意が必要だ。医師の給与に関して書くと止まらなくなってしまうので、いずれ具体的な画像や数字を示しまとめてnoteに記事にしたいと思っている。

2.働き方の多様性/自由度

能力が低くても、出世なんてしなくても生活苦にはならない。むしろ出世に興味がある人はいるのだろうか。大学で出世したところで激務薄給は変わらないし、大病院の部長でもその労力の割には稼げるようには見えない。

専門医を人質に取られている若手など一部を除けば比較的自由に労働強度を決められるのではないか。激務で24時間365日働くもよし、まったりゆるく働くのもよしだ。海外旅行が趣味という医者もおり普段はバイト医として稼ぎながら突発的に1ヶ月休んで海外を回っていたりする。これも普通のサラリーマンでは不可能だろう(常勤医でも不可能だろうが)。
他にも医局でYouTubeばかり見ていることからYouTuberと呼ばれている医者、常にiPadでパズドラをしているパズドラ専門医など多種多様だ。

僻地に飛ばされそうなら東京に拘って辞めてもよい、やめるとむしろ給料が上がるケースもある。疲れたりパワハラで病んだりしたらドロップアウトしてもOKだ。サラリーマンだと空白期間があるから採用されないと聞くが、医師はそこまで影響がないかもしれない。

3.ノルマ/自爆営業がない

これは医療業界のいいところだと思う。「今月入院少ないから親族入院させといて」とか「売上少ないから誰か心エコー受けて来いよ」なんて大赤字の病院であってもありえない。パワハラ医師であっても嘘はつかないし、不要な検査を押し付けて売り上げにするなどの文化はない。医師と患者には圧倒的な知識格差があるためそれを利用した商売、特に身体に不可逆的なことで稼ぐことは絶対にあってはならないことだ。

例外として美容外科があげられる。Tiktokで踊るなどのSNS運用は事実上必須だろう。また、一部美容クリニックは過度な営業をしているのではないかと勘繰ってしまう。美容のカウンセラーは基本給が低くカウンセリングにより手当を稼いでいるのが一因だろう。アップセル(同じ施術でも高い方を選択させる)、クロスセル(来院理由の施術の他に別の施術もさせる)などをしないとまともな給料にならないからだ。
某美容外科の追いヒアルなど最たるものであり、あの状況でヒアルロニダーゼではなくヒアルロン酸倍プッシュを勧めるのは常軌を逸している、医師やカウンセラーに相当なプレッシャーがかかっているのではないかと推察する。

4.業務委託できず雇用契約になる

法律で医師は派遣が禁止されている。このため業務委託はできず雇用契約となる。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000133886.pdfより引用

この例外は税務署すら捻じ曲げる謎の力が働いたコロナワクチンバイトなどごく一部に過ぎない。

日本の法律では病欠で仕事に穴をあけた程度では雇用主は文句は言えない。
医師一人は必ずいないと商売が成立しないという特殊性により、クリニックによっては休んだ場合代診を用意しろとか損害賠償するぞと募集要項に書かれていたりする、しかし労働基準法により急に休んだとしても急病などやむを得ない事情があれば問題ないし、ましてや損害賠償などは不可能だ。当然違法な文章はたとえ同意をしていても無効なため、これはとても心強い。
現実には多少体調が悪い程度なら出勤せざるを得ないが(次に仕事をもらえなくなるかもしれないので)交通事故や両親の不幸など急な事情を考えるとありがたい。

5.レバレッジをかけられる

用語の使い方として正確かどうかわからないが、思い切った挑戦がしやすい、成功した場合は爆益になるという意味でここでは使っている。

給料が底堅いが上限も決まっていたり全員一律のような(そうではないと言われそうだが勝手なイメージです)公務員と違ってリスクをとってもっと稼ぎたいという人にも医師免許は強い。
寿命を削って当直をぶん回し給料をさらに上げることだってできるし、リスクはあれど開業(起業)したり美容外科勤務も可能だ。

筆者は定期非常勤すら行わず全日程をスポットバイトとしたフルレバレッジ型バイト医をやっている。仕事を獲得できなければ給料は0となり路頭に迷うリスクはあるものの、上述のように最低限は稼げるだろうという安心感がどこかにあるのか正社員を辞める決断を迷うことはなかった。

今年の実際の給与は1月159万、2月99万、3月139万、4月208万だ。この数字を見て率直にどう感じただろうか。多いと思うかリスクの割に少ないと感じるかは人それぞれだろう。
4月は学生健診が始まり医師の需要が増えたことにより給与もその分上昇している。しかし閑散期の1-3月は御覧の通り低くなってしまう。前月の給料から半分以上減るリスクは常につきまとうがそれを許容できる人、いざとなった時のためにしっかり節約や貯金ができる人にはいい働き方だと思っている。

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