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毒の花、あるいは

「罌粟の花やわ」
「悦子その花気味悪いわ」
「何で」
「悦子それみたら、その花の中へ吸い込まれそうな気イするねん」

谷崎潤一郎
「細雪」



けしの花、仁川あたりの河川敷でよくみた気がする。友人に「アヘンの花や」と冗談で言われておどろいたことがあった。そのあとに、けしの花にも種類があることをきいた。笑える思い出ばなし。

花といえば、ワタシにとっては金木犀がいちばん身近だった。庭にめっちゃくっさい花の木があった。こども心にずっとそう思っていた。オレンジ色の小さな花びらは庭を越えて、道のアスファルトの目にはいりこみ、ほうきで掃いても掃いてもキリがない。しかもアタマにまでキーンとくるこの匂いはこどもにとって地獄だった。
くっさいわーこの木、花がつかんようにできひんの?
「きんもくせいか?なにゆうてんの、ええにおい。くさいて、鼻まがってんのちゃう」そう言っておばあちゃんはよく笑っていた。自分のシャレに酔っていたのかもしれない。

おかあさんからはよく草花の名前を教えてもらった。さむくなるまえくらいにはリンドウやポインセチアのことを教えてもらった。
こどものころのおもいで、
ワタシの部屋にポトスが置かれて水やりのしごとができた。気づいたら緑色のスポイトみたいなのが刺さっていて、あるとき空っぽになっていた。もちろん、こどものワタシは放置。おかあさんが気付いたときにはめっちゃ怒られた。栄養剤らしい。ほかにもキャラメルみたいなあぶらかすというものもあった。残念なことに、ワタシは草花の名前は覚えても(覚えさせられた感もある)いまだに育て方はからっきしだ、育てる気も育てたい気も、覚える気もないんだとおもう。同じ空間にいたポトスには悪いけれど。

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