【1児の父親になっていた】
いつものリハビリの久さんは、お休みで代わりの方が来た。
この方は、久さんをライバル視してるようで必要以上に何をやっているか聞いてくる。
申し送りは、していないのか?
面倒だと思った。
そんなに気になるなら本人に聞けばいいのにと思った。
僕は、いろんな人に携わって、いろんなやり方を経験して、実際に必要なものをチョイスし自宅に帰ってからもリハビリが継続できるようにと考えていた。
だから、「自由にお願いします。」と言った。
結構、気を遣う。
人は気にせず、自分なりで良いのにと思った。
身体より精神的に疲れたリハビリだった。
お昼過ぎにlineのビデオ通話がかかってきた。
なんと10年前に学生ボランティアをしてたKからだった。
彼とは沖縄の渡嘉敷島に一緒に行っていた。
その時のエピソードが忘れられない。
渡嘉敷島は、那覇から高速船で約40分の所にある島でとても綺麗な島だ。
午後の便で渡嘉敷島から高速船で戻り、下船してすぐだった。
Kが僕に携帯に出てと言った。
電話に出ると渡嘉敷島の乗船窓口からの電話だった。
何故、僕にかかってきたのか?
頭の中でフル回転して考えた。
何か忘れてきたか・・・
電話先で保険証がどうのこうの言っていた。
よくよく話を聞くと、Kの保険証が届いてるとのことだった。
乗船名簿を調べてかけたと言っていた。
「17時最終便で持って行くので窓口まで取りに来てください」と言われた。
Kに確認すると落としたと言っていた。
「Kにかかってきた電話を渡さないで、自分で処理しないと!」と言うと「保険証って簡単に再発行できるのですかね?できるなら父親に再発行してもらう」と言い出した。
本当に大学生なのか?呆れたのを覚えている。
話はそれで終わらず、「夕食をステーキ屋で食べるから18時にお店で合流ね。それまでに保険証取ってきてね。」と言って別れた。
しかし、18時を過ぎても店に来ない。
電話にも出ず、みんなで心配した。
30分ぐらい遅れて店に入って来た。
Kは酔っぱらっていた。
「何してたの?」と聞くと、「泡盛の店の前を通ったら客引きに呼び止められ、試飲をしていた」と言った。
呆れた。
しょうもないエピソードを持つ彼からの連絡だった。
大学卒業後は大学病院の整形外科に勤めていたが、腰を悪くして辞めたと聞いた。
その後、行方知れずだった。
現在は、どこぞの病院で主任ナースとして働いていて、結婚もして1歳児のパパになっていると言った。
保育園に送り迎えしていると聞いて驚いた。
ビデオ通話先では、少しぽっちゃりしてメガネをかけており、昔の面影はなかった。
「学生時代は、幼稚園児のようだったけど、ちゃんとやれてるの?」と聞くと「成長しました。」と言った。
思わず笑ってしまった。
で、Kの用事はと言うと、「学生時代のボランティア活動についてレポートを書いて、みんなの前で発表するのでどんな感じだったか教えてください。」
との事だった。
つづく