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【カーテン隔離のなぞと小学生のようなイジメ】

転院3日目になるとだいぶ慣れてくる。

病室内には、僕だけなのでテレビ、音楽は音垂れ流し。
そして、決まった時間に自分の電動車椅子に座り病室内をウロウロして窓の外を眺めたりしていた。

隔離といっても病室の扉が閉まってるわけでもないので、ちょろっと病室の外に顔を出して見たりもした。

掃除のおばちゃんが昼の1時ぐらいに清掃に入る。
ちょうど昼のデイサービス中で何処の病室も患者が少ないからだ。

毎日顔を合わせていると仲が良くなっていく。
僕の気晴らしにはちょうど良かった。

デイサービスの集まりが終わると、帰って来る人達で賑やかになる。

ナースのナミちゃんが部屋に来た。

「ボッチ部屋もそろそろ終わりですよー。夕方に入院患者が入るみたいだよ。」

僕は「え!コロナ患者来るの?」と聞くと

ナミちゃんは「違うよ。コロナではないよ。」

僕は「だってこの病室は、隔離部屋でしょ?」

ナミちゃんは「カーテン隔離にするんだってー」

僕は「何それ?」

ナミちゃんは「ぺーぺーの私にはわからない」

というわけで、ボッチ部屋からカーテン隔離ベッドとなった。

隣の入院患者は、僕よりちょっと上の年齢で巨漢の糖尿病だった。
マジで横にデカかった。
その人は病院のベッドを2つ並べて使っていた。

後にこの人に助けてもらうことになる。

その数日後の夜、夜勤ですと言って薄眉毛が入ってきた。

食事介助も薄眉毛だった。
こいつは、いちいちうるさい奴だった。

食べるのが遅いとか言う。
10分ぐらいしか、かかっていないのにだ。

薄眉毛は、「タイムキーパーが他にいて時間を測っていて、時間がかかると遅いと言われる」とぬかした。
そんなのがいる訳無いのにだ。

他のナースやフィリピンのケアさんは、「ゆっくり食べて大丈夫だよ。」と言うのに・・・

めんどくせー奴である。
こういう輩は、相手にしないに限る。
黙々と食べてると話しかけてくる。
めんどくせーなーと思いながら相槌を打った。

寝る時も寝る時で絡んでくる。
なんなんだこいつは、本当にめんどくせー

寝る体勢が取れてないのでナースコールを呼ぶことに。

また、薄眉毛か・・・

今夜はついていない。
グチグチ言われても我慢我慢。

ナースコールを何回鳴らしても来なくなった。

万が一ナースコールが押せない場合は、外線病棟直通にかかる携帯(通称黒電話)に掛ける様にと石井さんから教えてもらい登録していた。

黒電話にかけるも同様にでない。
4時から5時の間、1時間も放置された。

隣の患者が起きてくれ、ナースコールしてもらったところ、すぐに繋がった。

確信犯だと思った。

その後、薄眉毛に「不愉快だ」と暴言を吐かれた。
こちらこそ不愉快だと思いながら冷静を保った。

朝になり、薄眉毛と日本人のいかにも意地悪そうなババア・・・
違ったケアがつるんでやってきた。

薄眉毛は、いつも名札が付いてないので、貴方のお名前はと聞くと、「教えな〜い♪」

隣にいたケアの日本人も、「私も教えな〜い♪」と合唱して部屋から出て行った。

小学生のイジメのようで失笑した。

ナミちゃんに朝の出来事を話すと、いろんな人にやっていて薄眉毛のせいで接遇研修やらされると言っていた。
動けない患者を標的にしてやるそうだ。

ナミちゃんは、怪訝そうな顔で「動けないから手伝ってあげないといけないのにねー」と言った。

なんて良い子なんだ。

おじさんのすさんだ心が和らいだ瞬間だった。

つづく

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