【ボッチ部屋】
同室の市川さんも松葉杖で危なっかそうに歩けるようになると退院した。
隣のベッドのおじいちゃんは、最近リハビリを頑張るようになっていた。おじいちゃんの名前を思い出した。確か中村さんだったと思う。
市川さんと僕が必死になってリハビリをやってるのを見て頑張り始めた。
しかし、未だにベッド上で寝そべりながら食事を取っていた。
なんだかんだで、中村さんも僕のナースコールになっていた。
市川さんが退院し3人部屋が2人部屋となった。
中村さんは、すぐ弱音を吐く。
僕にも弱音を吐いた。
「年だから頑張んなくていい」とか「どうせやっても無駄だ」とか
いつも弱音を吐くと、僕は発破をかける。
「何言ってるんですか!自分でご飯も食べれるし歩くこともできるようになったじゃないですか~僕なんか何もできなくても生きてるんですよ!」
そうすると、頑張り始める。可愛いじいさんだった。
そのじいさんもリハビリ病院に急遽転院した。
部屋は僕だけとなった。
なんか静かだった。
誰もいなくなったので、音楽やラジオは音出しカーテンもフルオープン。
完全に自分の部屋になった。
1人も良いもんだ。
中村さんが退院して窓の外が良く見えるようになった。
10月なのに日差しが強く暑い。
空は、快晴のはずなのに窓の外は凄い雨音と共に滝のような水が降り注いできた。
青空なのにどうして・・・
その隣の窓からは、夏空が見えていた。
ちょうどその時にナースが入ってきた。
僕は、窓の外を見てどうなってるのか?と尋ねると「ちょっと前に5階に機械浴室ができて、それがこの部屋の上にあって、出来た当初は雨漏りで大変だったのよ。雨漏りを直したら外に流れ出るようになったのよ」とのこと。
さすが、ぼろい!
ボッチ生活は3日間で終了となった。
次の同居人は、同じ病棟から部屋移動して来たおじいさんだった。
名字は忘れたが名前は、「昭三」といった。
昭和3年生まれの三男坊で「昭三」だった。
つづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?