4月12日 ①

 妹の仕事が決まったらしい。来月から働くという。
 昨年出産した病がちの娘を保育園に預け、今のうちに貯金するのだと息巻いていた。待機児童だらけの世の中にあって、居住地区は保育に手厚く、待機児童は0だと聞いていた。仕事が決まる前に保育園が決まり、6月までに仕事を見つければ、娘はクビにならないと言って、派遣会社の求人に何十件も応募するが、慣らし保育が始まったばかりで面接の目途が立ちにくく、片っ端から落とされるのだと明るく嘆いていたのが先週の話だ。
 昨日受けた面接で合格が決まり、週三日のフルタイム、時給1,650円プラス交通費…という好条件で、仕事が決まったらしい。本社人事部の事務なんて、何とも羨ましい。
 直属の上司になる予定の面接官が、捲し立てるように質問するのに対し、同じ勢いで返した挙句、「だらだら仕事する人に、イライラするタイプですか?」と訊かれ、「どちらかと言えばそうです」と答えて笑われ、完全に落ちたと思ったらしい。私は逆に、質疑応答の素早さから、的確に仕事を熟す人間だという印象を与え、それが採用に繋がったのではないかと読んで、本人にそう伝えたのだが、「そういうことか!」と、本人は全く自覚していなかったので笑った。
 時給で働きたくないし、派遣などという先の見えない不安定な雇用形態を選択するのは同じことを繰り返すような気がしているので、私の中ではありえないのだが、娘を入れたい幼稚園があり、それまでにがっつり働いてお金を貯める!という目標をはっきり持っている妹は、確実に目的に向かって行動し、希望の職を手に入れた。幼稚園に行くようになったら、フルタイムで働くのは難しい…という考えはもっともだが、保育所保育士をしていた私に言わせれば、0歳児を預けてフルタイムで働くことの方がもっと無謀である。発熱や感染症でしょっちゅう迎えの電話を入れなければならず、正規で働く家庭にとって、親泣かせでしかない。唯でさえ娘が病がちなのに、妹の考えは甘いと、ずっと言い続けていたのだった。
 しかし、仕事が決まってみれば、頑張れば案外うまくいくような気もしている。週三日がどのような勤務になるのかは知らないが、病がちが再燃し、入院とかになりさえしなければ、夫婦分担で動くことも出来ないことはないのではないかと思った。
 保育料も無償化されているとはいえ、0歳児は対象ではなく、未確定だが費用はかかるとか。時給が良いので、全額保育料に持っていかれることはないとは思うが、有言実行を地で行く度量を持ち合わせているようなので、頑張りが形になると嬉しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?