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カナタナタ
2019年9月2日 20:21
「つまんないね」私の仕事は商品の陳列を微妙にずらすことである。丁寧に並べられ積み上げられた商品を少しずつずらし、崩壊する寸前のところで手を止める。そして平然と立ち去る。私が店を出る頃に、誰かの体が触れてそれは崩れてしまう。店員は不快な顔を隠してそれを並べ直す。崩した客は不運そうな顔をして居るだろう。「私の所為ではない、その運命と均衡が悪いのだ。」という風な面構えをしていやがる。そこに流れる瞬間
2019年12月11日 16:39
昨日と今日と明日は繋がっている。十二時に境目なんて無くて、ぼんやりと続いていく。朝は夜の続きでしかなく、夜もまた。同じ朝を同じ夜を繰り返しているだけで、何も変わらない。そこには違う人が立っていて、温度や湿度が違って、明るさが違う。でもいっしょだ。構成要素が違うだけで、印象は何も変わらない。それに場所の違いってのも無い。旅に出たことがある人ならわかるだろう。身近な場所にあの場所と重なる瞬間があること
2019年3月27日 01:32
昔、おばあちゃんのお見舞いに行った時のこと。僕は親戚が苦手だからひとりでお見舞いに行った。おばあちゃんはリハビリセンターという所に入院していた。部屋に入るとおばあちゃんは寝ている。知っているよりもずっと小さくなっていた。起こすのは嫌いだから、僕は静かに本を読んでいた。 ふと視線を感じて本を置くと、おばあちゃんが起きている。 「あら、どちら様?」 確かそんなようなことを聞かれた。僕のこ