見出し画像

最高のスパ銭「より道の湯」を推したい

 山梨県に都留市という市がある。富士吉田へと向かう道中に位置する山間の自治体で、まあ正直これと言って何もない場所である(失礼)。かろうじて関東では、都留文科大学がある市として有名かもしれない。

 この町に2年ほど前、突如爆誕したのが今回語りたい「より道の湯」である。僕は今まで、週末家に居場所のない父親の如く、ふらふらと色々なスーパー銭湯を巡って来た。その中でもはっきり言って、このより道の湯がダントツ一番のお気に入り。マイホームスパ銭と高らかに宣言したい。では、より道の湯の何がそんなに良いのか?勝手にプレゼンさせてください。

1、休憩スペースの充実ぶりが凄い

画像3

 2018年の4月にできたばかりのスーパー銭湯なので、言うまでもなくとにかく施設が綺麗である。見た目こそ無骨で何だか温泉らしからぬ様相(温泉マークがなかったらそれこそ何かの倉庫に見える)であるが、中に入ると木を基調とした内装の落ち着いた空間が広がっている。

画像1

画像2

 何よりもより道の湯の素晴らしさは、休憩スペースが充実しているところにある。例えばこの写真の場所は入館者が誰でも使える休憩スペース。ビーズクッションが置いてあるので昼寝には持ってこいだし、人工芝を敷き詰めた雛壇は、寝転がって読書なんかをすると最高に気持ちが良い(子どもが走り回っているのでぼけーっとしていると時々踏まれそうになる)。最近はハンモックまで設置されている。Wi-Fi完備の上、コンセントもそこら中にある。それから、ロビーには広々した食事処もあるので、風呂上りにはやっぱりビール!という方にはこちらで一杯やるのもおすすめ。嬉しいことにクラフトビールも色々と取り揃えています(いつも車なので飲めないのが悔しい)。

 おまけに中庭へと出て別館に渡ると、そこは一棟まるまる仮眠処となった建物(厳密には2階がリラクゼーション)。完全に寝ることに特化した空間なので、雑音に悩まされることなく身体を休めることができる。一般的なスーパー銭湯だと休憩スペースも限られていて、風呂上りにどこにも居場所がない……ということがありがちだけど、より道の湯ではどこかしらに収まることができる。思いっきり骨を休めるぞ!という気分の時にはもってこい。

2、風呂もサウナもレベルが高い

 広々とした浴室には炭酸泉、ジェット風呂と揃い踏みの上、屋外にも岩風呂、壺湯、寝転び湯、窯風呂とこれでもかというくらいの種類が用意されている。温泉の泉質もナトリウム・カルシウム・硫酸塩泉と素晴らしいもので、露天風呂にいたっては源泉掛け流し。キシキシとした湯触りのお湯からは、温泉の匂いもしっかりと感じられる。

 僕が特に推したいのはサウナである。サウナもまた最新型の設備で、割と広々としているし、定期的に自動ロウリュウで熱波を送り出すようになっている。この熱波が本当に熱い(サウナ室内の体感温度が一気に上がって、みんな逃げ出すように水風呂へと向かうのでちょっと面白い)。サウナマットも自由に使えるよう用意されていて、つい先日訪れた時には水分補給用に氷まで準備されていた。ちょっとした細かい気遣いが素晴らしい。

 そして、サウナ後に入る水風呂もまた格別。ここの水風呂は温泉水と地下水をミックスして使用している。それほど冷たいわけでもなく、温過ぎるわけでもない。絶妙にちょうど良い温度。更に屋外にはごろ寝用のプラスチック畳のスペースやデッキチェアまで用意されていて、外気浴も捗る(夏場はこの畳で寝転ぶのが本当に最高)。サウナ好きにはたまらない場所と言える。実際、このより道の湯はサウナー御用達サイト「サウナイキタイ」でも話題のようで、館内にはポスターが貼り出されていた。

 それから、細かいところでは脱衣所が清潔で、アメニティが充実していることも推せるポイント。ロッカーはリストバンドをかざして電子開錠をするタイプのもので、容量も大きい(裸のままインキーすると軽い詰み状態になるので注意。みんな一度はやる)。洗面所には、ワックスや乳液等の化粧品まで完備され、カミソリや歯ブラシまでもが無料配布。従業員の方がよく巡回して清掃しているので、汚れなども感じることがない。至れり尽くせりで、気持ち良く利用することができる。

3、岩盤浴も良いぞ

画像7

画像8

 通常の入場料金に550円追加すると、3階の岩盤浴スペースが利用できる。はっきり言って、より道の湯に来たからには岩盤浴も利用しないともったいない。ここでは3種類の異なる岩盤浴が用意されていて、どれも使い放題。おまけに岩盤浴利用者のみが使用できる休憩スペースまで用意されている。漫画もあるし、リクライニングチェアではテレビも見られる。マッサージ機も使い放題。これだけ揃っていて550円で良いのか?と心配にすらなる。

 更に定期的に岩盤浴内で開催されるのが、ロウリュウである。ここより道の湯では、きちんと資格を持った熱波師がいて、本格的にロウリュウを盛り上げる。サウナストーンにアロマ水を掛けると、笑っちゃうくらい岩盤浴室内の温度が急上昇して、これでもかと汗をかきまくれます。10分ほどの開催時間の中で丁寧に一人一人を何度も扇いでくれるし、ロウリュウ後に屋外で涼んでいると、そこまで熱波師の方がやってきてクールダウンを兼ねて更に扇いでくれるという最高の接客。このロウリュウを体験するためだけでも、550円を払う価値は十分にあると思う。

 個人的なおすすめの流れとしては、まず岩盤浴着に着替えたら3階へ向かい、漫画を読みながらダラダラと休憩。ロウリュウ開催時間になったら、岩盤浴へと向かい、汗をかく。テラスでクールダウンをしたら、汗を流すために温泉へ……。その後はまた岩盤浴に戻るなり、別館で昼寝をするなり、自由に過ごすと良い。

4、何だかんだアクセスも良い

画像9

(公式ホームページから)

 これは完全に東京とか神奈川とか首都圏目線の話になる。やっぱりスーパー銭湯に行くとしても、わざわざ何時間も掛かるような遠くまで出掛けるのは避けたいところ。

 山梨と聞くと遠いように感じるかもしれないけれど、例えば八王子インターからであれば大体40分もあれば都留インターまで着いてしまうので、思っている以上に近場です。都心から向かったとしてもそこまで負担にはならない程度の距離かと。さらにはより道の湯は都留インターを降りて本当に5分も掛からないくらいの距離にあるので、行きも帰りもほぼ高速直結で楽々。唯一欠点があるとしたら、中央道は土日に小仏トンネルでめちゃくちゃ混む危険があるところ……。これも大月か上野原、相模湖辺りで降りて下道に回ればある程度回避できるし、潔く諦めてなるべく渋滞のピークを避けて帰れば問題なし。

 車の足がない方には電車のアクセスも良好。より道の湯は富士急行の都留市駅前にあるので、駅を降りればすぐに施設へ到着。もちろん、あまり本数がある路線ではないけれど、大月まで出れば中央本線の特急「かいじ」「あずさ」もあるので東京方面まで素早く移動することもできる。電車賃を気にするのであれば大月、八王子間だけ特急に乗って、後は京王線や中央線の普通電車で帰れば節約もできます。

 更に裏ワザとして高速バスを利用する手もあり。バスタ新宿から都留バス停までは最安1600円程度の値段から利用できるので、場合によっては電車や車よりも安く移動ができるかも。こちらも嬉しいことに都留バス停は、より道の湯から歩いてすぐのところなので、アクセス抜群です。

 日帰りでなければ、より道の湯は「泊まれる温泉」を謳い文句にしているように、宿泊も可能。河口湖や山中湖方面に向かうレジャーの道中・帰り道で一泊……などと行った使い方もできるかと思います。僕も一度泊りがけで行ってみたいと思いつつも、なかなか実行には移せていない……。

5、何故か人がいない

画像5

 このより道の湯の客側にとっては最大の長所であり、施設側にとっては最大の短所とも言えるのが、全然混雑しないということ。それこそ以前は、土曜日の昼時に出掛けても、浴室には先客が2人ほど、気が付いたらその客もいなくなり1人で浴室を独占していた……なんてこともままあった。三階にある岩盤浴エリアも休憩スペースに数に限りはあるが、滅多なことがなければ全てが埋まることはない。

 もちろん、最近は施設の頑張りや口コミなどで客は増えているように感じる。でも、やっぱり一般的なスーパー銭湯と比べるとまだまだ利用客は少ない。これも都留市という場所柄のせいなのかもしれない(これだけ良い施設がもしも東京にあったら、それこそ大混雑しそうな気がする)。経営大丈夫なのかなあと心配になったり、でもこれくらいの客入りの方が贅沢に使えて嬉しいんだよなあとわがままなことを思ったりしている今日この頃。

 東京のスーパー銭湯であれば、どこへ行っても人だらけで、何だか疲れを取りに来たのか逆に疲れに来たのかよくわからないようなところがあるが、より道の湯なら混雑に煩わされることなく、思う存分羽を伸ばすことができます。わざわざここまで来る価値は十分にあり。

======

 以上、より道の湯が最高であることを語りました。ちなみに僕は以前、福引で見事1等を引き当て、ここの回数券を手に入れたので本当にめちゃくちゃ頻繁に通っております(あんまりお金を落とせないのが忍びないけど)。それ以前からずっと通い続けていたので、信仰心の賜物だと勝手に思っています。より道の湯を信じろ。

 また、より道の湯に来たら是非ついでに寄り道していただきたいのが、道の駅つる。こちらも比較的新しい道の駅なので、道中のトイレ休憩等にはもってこいだし、地元の野菜やほうとう麺など魅力的な商品が勢ぞろい。その中でも僕のイチオシがこの田家たむらのキムチ。

 厳密に言えば富士吉田で作られているキムチ。でも、今まで富士吉田の道の駅では買えたことがない(売っているのかも不明)。ここの道の駅つるでは大体いつ行っても買うことができます。ヤンニョムの効いた本格的なキムチでありながら割と日本人向けの味付けとなっていて、今まで食べていたキムチは何だったんだ?と思うほどに本当にうまい。少し高めの値段に見合うクオリティなので是非是非試してください。

画像6

 それから、この近辺に来たのであれば、折角なら名物の吉田のうどんを食べるのも良い。富士吉田まで足を延ばせばたくさんの名店があるけれど、都留市近辺で訪れるのであれば「うどんの駅」をお勧めします。食券制のうどん屋で、吉田のうどんを出すほかの店のようなアットホームな雰囲気はないけど、その分気軽に立ち寄ることができるし、遅くまで営業している。何よりうどんもしっかりとうまい。おまけに、ここのうどんは武蔵野うどんと吉田のうどんのちょうど真ん中くらいのハイブリッドうどんで、吉田のうどん初心者でも美味しく食べられる。

画像7

 店のウリは肉汁うどんらしい(店内に入ると自動音声でめちゃくちゃ推して来る)。しかし、豚肉とネギがたっぷり乗ったこちらのうどんは厳密に言えば吉田のうどんではないのであえてスルー。馬肉とキャベツの乗ったこれぞ吉田のうどん!と言えるきんぴら肉うどんがおすすめ。コシのある極太麺は、一度ハマるとやみつきになります。

 と、いうことでこの文章はより道の湯で寝ころびながら書きました。僕が本当に今切に思うのは、より道の湯つぶれないでくれー!!!ということに尽きるので、これからもどんどん推していきます(現実でも会う人会う人に喧伝している)。施設をもっと良くしていこうというお店側の創意工夫が随所に見られるし、アルバイトの多分都留文の学生さんたちも接客が気持ち良いし、本当に行って損することのないスパ銭なので、色々な人にどんどん足を運んで欲しい。でも、あんまり混雑もしないで欲しい……。

 それから、都留市はパッとしないとか何もないとか冒頭で書いたけれど、撤回します。都留市にはより道の湯があります。どうかこれからも末永くより道の湯が続いていきますように……。