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【現代詩】これから刻み始める日

青く澄んだ早春の空が
灰色の雲に染まったあの日
柔らかなその手のひらから
大切な宝物がすり抜けた

時の刻みをかすかに聞いて
心憂い月日を過ごしたあなた
ただひたすらに前だけ向いて
希望を探して重ねた歳月

そんなあなたを見つめながら
がむしゃらな後ろ姿に憧れていた
心に透けた凍える痛みは
あなたにしかわからないのね

ホットコーヒーをすすった朝も
あなたは遠い光を探していたね
ぬるま風が静かにそよぐ部屋
あなたを追いかけられずなわたし

彩の季節が今年もやってきて
「新しい道が見える」とあなた
それは転んでしまいそうな未舗装
けれどあなたとわたしが歩む道

ためいきまじりのページをめくる
ふたりで塗り重ねる真っ白なページ
あなたの月日を胸に抱きしめ
ふたりの月日を描いていこうね


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