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【現代詩】桜ゆらゆら

街は桜に彩られ
ぼくはきみにふりまわされ
心地いいはずの春のそよ風は
きみの手にかかれば嵐のよう

どうしようもないくらい
もうきみとは描けない未来
でもきみの芳香が忘れられない
いつもでも消えない残り香さ

心つながる永遠は
まばたきのような一瞬の輝き
桜の花が開く前に
きみは愛というつぼみを
摘み取ってしまったんだね

桜ゆらゆら微笑みながら
ぼくらはゆらゆら散っていく

ぼくは待っていたんだよ
きみとの桜を咲かせる時を
あの日囁いてくれた甘い言葉
ぼくを支えてくれていた

都会の渦はきみを激しくゆらして
きみから何かをさらっていった
あの日もらした冷たい言葉
心に闇が育っていたんだね

尊いきみのくちびるが
僕らを引き裂いていくなんて
春満開の桜の下で
まばゆい花びらを浴びていても
きみはそれを言えたのだろうか

桜ゆらゆら微笑みながら
ぼくらはゆらゆら散っていく


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