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彼とマインクラフトをした話

こんにちは

今日は数年前に当時の彼氏とマインクラフトをした時の話です。

私の話はノンフィクションでありフィクションでもあります。
エンタメ的に楽しんでもらえたら


彼とは居住地が離れていたので、何回も会わずにお付き合いをすることになった。

にも関わらず、彼は私に「2〜3年付き合ったら結婚かな」と言った。

2〜3年経てば遠距離恋愛でも人となりもある程度理解できるから妥当な線だろうと思って聞いていた。


3ヶ月たち


半年たち


彼のことは好きだったけれど、1~2ヶ月に1回のペースでしか会えない中で結婚するかどうかを判断するのは到底不可能に思えた。


このまま時だけが過ぎてしまう。
2〜3年の月日が経ったら否応なしに結婚の話が進んでしまう。
どうにかしてこのままの関係の中でもっと彼のことを知らないと・・



そんなことを考えていたある日、一緒にマインクラフトというゲームをすることになった。

私は初めてだった。

手練れの彼に教えてもらう形で進めるものと思い、ゲームにログインした。


マインクラフトのサバイバルモードは家を作ったり食べ物をとって食べたりゾンビと戦ったりしながら毎日を過ごしていくゲームで、ゾンビにやられて死ぬこともある。

右も左もわからない中困っていると

私をおいて彼はどこかに行ってしまった


一人で木を切って
一人で家を建てて
自分の分のりんごをポケットに入れて
一人でゾンビと戦っていた

私はというと、夜になりゾンビがウジャウジャやってくるため、明かりもない土を掘っただけの穴に身を潜めるしかなかった。

朝になり、彼は冒険に行きたいようで、そのための装備を準備し始めた。

そのための材料を集めていたので協力することにした。

木を切ったり石を砕いたりして材料を集めて彼の基地にいくと、すでに装備が出来上がった状態だった。

「あぁ、もうそれ使わないから、yukimiちゃん使いなよ」

私は使い方がわからない。
必要と言われたから取ってきただけだった。


次の日、食べ物がないというので私はりんごをとってきた。

基地に帰った頃には彼は一人でとってきた肉を炙りバーベキューをしていた。


「りんごとってきたよ」

「あー、うん」

一言も「お肉焼いたよ」「食べる?」などの言葉はなかった


その夜も冒険に行くというので、また暗闇コースかと思っていたら、一緒に行く?と誘われた

夜通し待っていても暇なので行くことにした。

でも私は何も身につけていない。丸腰である。不安すぎる。

すると彼が「じゃあこれ使う?」と言った


私は嬉しかった。彼が私の身がゾンビに傷つけられないように防具アイテムを貸してくれると言っている。

「はい」

と宙に置かれたのは鉄でできたブーツだった。

「これで多少は防御力上がると思うよ!」

と自慢げにいう彼の方を見ると、


全身を鎧のような防具アイテムで覆われ、丈夫そうなヘルメットをかぶって鋭い剣を手に持っていた。

私に貸してくれたものよりずっと丈夫そうなブーツのようなものも履いていた。

私は鉄のブーツを身につけ、木のツルハシを武器の代わりに持ってさっさと冒険に出かけた彼の後を追った。


見失いそうになったが、彼は全身ギンギラギンなので見つけやすくて助かった。



彼の装備イメージ(画像はお借りしています)


完全装備の彼を見るたびに
自分の手に握られた木のツルハシを見るたびに
鉄のブーツを貸してくれて喜んだ自分が恥ずかしくなった。



彼は手練れで私は全くの初心者なのだから、彼の方が良いアイテムを効率的に作ることができるのは、当たり前といえば当たり前である。

でも私が言いたいのはそうではない。

私が初心者なことを知っているのに、なぜレベルを合わせてゲームを進めようとしないのか?
一緒にゲームをしているはずなのに、なぜ私は一人で暗闇の中ゾンビの奇襲に怯えなければならなかったのか?
2人で一緒にサバイバルを行なっているのに、なぜ食べ物やアイテムを自分の分だけ用意するのか?
これから一緒に敵地に赴くというのに、なぜ自分だけ完全装備なのか?



彼には歩み寄りの精神も、相手を思いやる気持ちも、寛容な心も面倒見の良さもなく、協調性やチームワークなども皆無なのだと感じた。


人生は、ゾンビの巣窟に匹敵するような辛い状況や苦難が次々と訪れる。

子育て
事業
家事
家を建てたり旅先でトラブルに遭ったり、常に苦難の連続である。

それをこの人と一緒に乗り越えられるか?

きっと彼は、
入院した時のお見舞いは最低限しか行かない
自分の分のご飯を買ってきて自分だけ食べる
旅行の時コンビニに寄っても自分の分の飲み物だけ買ってくる
家族全員体調不良の時自分だけ別室で寝込む
停電時、自分だけモバイルバッテリーを使う


こういうことをなんの悪気もなく平気でするんだろう


たった1時間程度のマイクラで、半年間でわからなかった将来の彼との生活が手に取るようにわかってしまったのだった。


ちなみに、鉄のブーツと木のツルハシを身につけて冒険に行った私はゾンビにやられてすぐ死んだ。


ゾンビと戦っている私をおいてどんどん先に進んで行った彼の姿が忘れられない。





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