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タリバン政権は悪か?

 2021年8月15日アフガニスタンのガニ大統領が、祖国を捨てた時点で暫定政権はタリバンに復帰しました。この先国際社会への働きかけ、経済援助など問題は山積しています。タリバンが再び今後のアフガニスタンの舵取りをすることになったわけですが、タリバンに対する国際社会、日本メディアの扱いは様々です。

1    タリバンは国際テロ組織なのか?

  答えは、ノーです。

   🔹 理由1:これまでアフガニスタンの占領政策を行なってきた米国がタリバンを今日現在(今後指定する可能性あり)国際テロ組織として指定していない

  アメリカ国務省(日本で言えば外務省)は、毎年この時期になると「Country Report on Terrorism」という国別のテロ報告書を作成・後悔します。

 現在閲覧できる最新版は、2019年バージョンです。

    https://www.state.gov/reports/country-reports-on-terrorism-2019/#TTP

 総ページ数が500頁にも及ぶ大作です。雑駁に内容解説すると

    🔹 世界各地(欧州、東南アジア、中東アフリカ、中南米など)の国別の当該年度における国際テロ事件発生状況とその背景・要因、展望

    🔹 テロ支援国家(イラン、北朝鮮など)に関する記述

    🔹 アルカーイダ、IS 、オウム真理教(※これ重要。いまだに米国はオウムを国際テロ組織として監視してます)などの世界各国テロ組織について現勢、活動地域などを詳述したFTOs(外国テロ組織、Foreign  Terrorist Organizations)

に大別されます。このうちアフガニスタンに関するテロ情報は「南・中央アジア地域」の項に詳述されています。しかしタリバンはFTOsとしての指定はありません。

  つまりアメリカは、現時点でタリバンを国際テロ組織として看做してないということです。

2  日本政府はどう見ているか?

  法務省公安調査庁(以下「公庁」※この役所は法執行機関でもなく、国家予算を使って調査活動に特化した活動のみを行なっている存在意義の薄い行政機関ですが、それについては後日詳述します)のHPを引用します。

  https://www.moj.go.jp/psia/ITH/organizations/SW_S-asia/taliban.html

 公庁は、タリバンを「アフガニスタンで活動するスンニ派過激組織。アフガニスタン政府や同国駐留外国軍を主な標的としてテロを実行。」と記述しています。そして活動目的と攻撃対象については

(原文引用ママ)

 ア 活動目的
駐留外国軍の撤退及び「米国の傀(かい)儡(らい)」とみなすアフガニスタン現政権の打倒を当面の目標とし,その後,「アフガニスタン・イスラム首長国」による政府を樹立し,シャリーアに基づく統治体制の確立を目指す。
 イ 攻撃対象
主な攻撃目標として,声明などで,①駐留外国軍及び外国公館,②アフガニスタン国軍,警察及び情報機関,③政府高官,国会議員,④外国人,などを挙げている。

 (引用おわり)

としています。

 今回の米国傀儡アフガニスタン政府の崩壊は、タリバンが公庁のいう「目的」を達成したこと意味し、同政府などが「攻撃対象」から外れることとなりますので公庁(日本政府)がタリバンを過激派扱いしてきた根拠が根底から覆されたのではないでしょうか?(公庁もこの記述を早々に訂正すべきですが)

3  では、何故世界中のマスコミがタリバンをテロ組織扱いするのか?

  日本のマスコミの場合、「アフガニスタン」「タリバン」という単語を使えば視聴率が確保できると判断し独自の情報収集や分析もせず上記の公庁記事やWikipediaだけを頼りに好き勝手報道しているものと思われます。

  これからアフガニスタンをめぐる情報などが錯綜して当分はこの問題が世界各国、各方面で取り沙汰されることでしょう。

  大切なのは、今発信されている情報に踊らされずしっかりと真理を見極める姿勢ではないでしょうか?

  最も危険なのは、日本を含む世界各地から発信されるステレオタイプ報道を盲信し、その情報に踊らされることだとは思われませんか?これは今回のアフガニスタン問題に限らずあらゆる事象、事件などに共通する問題ではないでしょうか?

  タリバン政権が悪か?否か?これは今後の彼らの過去における失敗を踏まえた将来へ向けた動向とアフガニスタンを取り巻く中国ロシアなどの大国の影響、そして米国を含む国際社会の対応などを慎重に見極めて判断すべき命題であり、現時点で一方的に「タリバンは悪」と結論づけるのは性急だとは思われませんか?皆さんもこれを機会に独自に分析判断してみてはいかがでしょうか?

 このアフガニスタンを巡る話は、今後も少しずつ発信してゆきたいと思っております。なお、クラブハウスやTwitterでも情報発信しておりますのでそちらもよろしくお願いいたします。

  

   


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