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インタビュー・ジェネリック集計人-Vtuberの巣窟との関係

久々の投稿となったが、改めてVtuber界隈について興味深い情報を得る機会があったため、記事を執筆している。今回、「Vtuberの巣窟」にて毎日0時に「Vtuber同接ランキング」を投稿している「ジェネリック集計人」にインタビューを行うことに成功した。悪質まとめに対立煽りの種となっているランキングを投稿している同氏の真意を測るべく、取材交渉の末インタビューに応じてもらった。

インタビューは10問+追加の4問という形式で、こちらの質問に文章で答えてもらう形をとった。質問の内容は主に「Vtuberの巣窟」についてとジェネリック集計人の活動に関係するものを用意した。可能な限り受け答えをもらったそのままの文章で、以下に掲載する。以前の記事と比べて少し量があるため、概要だけ知りたい方はインタビュー後記から読んでもらえると幸いだ。

Q1 「VSTATS」を製作・運営するに至った考えをお聞きしたいです。

大きなきっかけは、21年7月の「VNUMA」の閉鎖でした。それまでVtuberの活動を広範囲に記録していたサイトが閉鎖となり、代替となりえるサイトは特定のグループの活動を記録するものしかありませんでしたので、VNUMAの代替となりえるサイトが必要であると思い、サイトの制作を考えておりました。しかし、私にはサイト構築やプログラミングの知識がほとんどなかったため、ほとんどゼロからの学習となっていました。10月に「Vtuberの巣窟」で「ジェネリック集計人」として活動を始めた時点で、「集計結果を自動化しないと活動が続かない」と考えていたので本格的にVSTATSの開発を始めて22年2月に運用を開始した次第です。

Q2 まとめサイト「Vtuberの巣窟(http://virtualyoutuber-matome.blog.jp/)」では回答者様と同様のハンドルネームの「ジェネリック集計人」を名乗る人物が、毎日0時付近で「Vtuber同接ランキング」としてVSTATSの集計結果を投稿しているようですが、念のためお聞きいたしますが、こちらは回答者様本人で間違いないでしょうか。

間違いございません。21年4月から「Holoデータ分析(@Holo_Data)」として、Twitterにてホロライブ専門の配信データの分析を行っておりまして、「ジェネリック集計人」としての活動はそちらの顔を隠したままの活動でした。VSTATS公開と同時に本来のハンドルネームを公開した次第です。

Q3 「Vtuberの巣窟」を初めて知った・書き込みをし始めたのは何時頃からですか。

私が「Vtuberまとめサイト」を知ったのは、Vtuberを知ってまもなくだと思いますので、おそらくそのころからこのような「アンチ系まとめサイト」を閲覧しており、その一つとして「Vtuberの巣窟を閲覧していました。「Vtuberの巣窟」のコメント欄で「同接ランキング」が掲載されていることを知って、入りびたるようになったのは、21年9月頃だったと思います。

Q3_2 「Vtuberの巣窟」以外のまとめサイトも閲覧していたとのことですが、よろしければ具体的にどのサイトを見ていたか、またどのような理由で閲覧していたかも合わせてお教えください。

「普通のまとめ系サイト」としては、ホロ速、ぶいちゅーぶあたりですね。「アンチ系まとめサイト」としては、Vtuberまとめてみました、Vtuberの巣窟です。
基本的にホロライブファンであるので、いい情報も悪い情報も追いかけるために閲覧しています。

Q3_3 「Vtuberの巣窟」が記事とは関係ない話題をするようになる以前、巨大掲示板「5ch」にて存在したと伝えられる「ホロライブファンスレ」についてお聞きします。回答者様は先述のスレの存在を知っていましたか。また、その後のスレ民の行先などについて少しでも知っている事等ありましたらお聞かせいただけると幸いです。

以前は私も5chの「ホロライブファンスレ」の利用者でした。もともとYoutube板には投稿者IDが表示されるファンスレと、IDが表示されない通称アンチスレが存在していましたが、ファンスレでは数字の話は敬遠されるため、数字の話をするにはアンチスレでやるしかなくなっていました。それで仕方なくアンチスレを利用していて、いろいろな規制の話が出て板を移転していたのですが、最終的には現在はYoutube板の「さくらみこID無しスレ」と、bbspinkの女神実況板に分かれているようです。アンチスレでは数字の話をするというよりも、数字をネタにVtuberを攻撃するようなのが常でしたので、まともな話ができないと感じていた際に「Vtuberの巣窟」でこのような流れになっているのを見つけ、私は5chをほとんど利用することはなくなりました。

Q4 「Vtuberの巣窟」の第一印象をお聞かせください。

当初は私も「アンチ系まとめサイト」としての側面でのみ「Vtuberの巣窟」を見ていましたので、悪質なまとめサイトの一つであると思っていました。しかし「数字」にかかわる記事はこういうアンチ系まとめサイトでしか扱われない代物だったので、仕方なく見ていた記憶があります。コメント欄において「巣窟民」が独自の活動をし始めてからは、「記事がおまけの単なる場である」と考えておりますが、やはり「記事」が目についてしまうので、どうしてもコメントが荒れる原因になっていると思います。

Q5 ジェネリック集計人を初めて名乗った際の出来事や思った事についてお聞かせください。

きっかけは21年10月に、それまで「同接ランキング」を掲載していた人物(元集計人と呼びます)が、掲載基準を満たすかどうか微妙な配信について、参照元に基づかない結果を示したことでした。その結果についてユーザーが異議を唱えたところ、元集計人は「目視で確認した」等の外部から検証できない根拠を示したため、それでは筋が通らないだろうと、翌日からデータを載せてやろうと思いました。2日ほど元集計人より先に元集計人より詳しいデータを集計して掲載したところ、3日目には元集計人はデータを掲載しなくなりました。それ以来集計結果の公表を続けていますが、「集計結果に感情を挟まない」「検証できるデータに基づいて集計する」を意識して続けています。

Q6 ジェネリック集計人として活動を開始して以降とくに考えたことや感じたことはありますか。

集計をするにあたって、「Vtuberの活動を否定する方向に集計結果を使ってほしくない」と思うようになりました。Vtuberのやる気をそぐような方向に集計結果が使われてるのは本意ではないですが、ランキングとして表示している以上仕方のない事なのかもしれません。

Q7 ジェネリック集計人として「Vtuberの巣窟」にて投稿を行った際のコメント欄ユーザー、いわゆる「巣窟民」のご自身の投稿への反応についてどう思われますか。

「巣窟民」のみなさんからは、概ね好意的な意見を頂いています。毎日の集計結果について、ねぎらいのレスが付くのは単純に嬉しいですし、集計対象を「Holostats・Nijimado」から拙作の集計サイト「VSTATS」に替えた際も、「巣窟民」の支持が多くありあまり批判的なコメントがなかったのがありがたかったです。いろいろな観点からのデータが貼られるのも、「巣窟民」の数字好きを表しているのかもしれません。ただ、デイリーランキングを公表している以上仕方ない事かもしれませんが、「巣窟民」が結果に基づいて短絡的な結論を出したがる傾向があるのかなと危惧しています。Vtuberの活動は短期的なものでなく、長期にわたって続けていくものですので、もう少し長期的に、俯瞰的に物事をとらえてほしいと思います。

Q7_2 今年3月に行われた「hololive SUPER EXPO 2022」および「hololive 3rd fes Link Your Wish」開催時期の「Vtuberの巣窟」にて、ジェネリック集計人様の投稿と思われるハンドルネームが使用されていましたが、現地から実況していたということでしょうか。

私は地方に居住していますので、遠征も考えていましたが、3rd Fesの抽選前にコロナが再流行し始めたため、やむなく現地参加を断念しました。当日は普通にオンラインで観覧して、「Vtuberの巣窟」にもハンドルネーム付きで実況していました。そのうちなりすましが出現してきましたので、書き込みを止めました。コメント投稿者としては自分を証明することができないため、現在は集計結果の公表以外ではハンドルネームでの投稿はしていません。

Q7_3 現在も「Vtuberの巣窟」に同接ランキングを投稿し続けている最も強い原動力は何でしょうか。

あまり強い原動力というのはないのです。半分は惰性です。集計結果の投稿がもはや日常になっているからというのもあります。
あえていうなら、VSTATSの運営に関して、「Vtuberの巣窟」の利用者の意見や協力は欠かせないと思っているからこそ、
「巣窟民」の求める同接ランキングの提供は続けていきたいと思っています。

Q8 「Vtuberの巣窟」はまとめサイトの中でもコメント欄の空気感が独特かつ独自のルールがあるまとめサイトだと思いますが、今後の同サイトの行方・変遷についていかが思われますか。

「Vtuberの数字コミュニティ」と化した「Vtuberの巣窟」ですが、実態は、数字が出て嬉しい方のコミュニティ、具体的にはホロライブの視聴者が集うコミュニティになりつつあったと思います。ですが、22年5月の壱百満天原サロメさんの快進撃が始まったことで、その雰囲気が一変しました。もともと「数字が出たこと」をポジティブに語るコメントだけでなく、「数字が出ない事」をネガティブに語るコメントもあっただけに、「サロメさんの数字で既存のVtuberすべてを攻撃する」という流れになってしまいました。「Vtuberの巣窟」ではコメントのID表示がないため自作自演のコメントや連投がはびこり、管理人によるコメントの管理もない状態であるので、「Vtuberの巣窟」における数字コミュニティについては限界を迎えているのかなと思っています。

Q9 今後ジェネリック集計人としてどのように活動していく予定でしょうか。

「VSTATS」をVtuberの配信データを記録する事のみならず、推しの配信予定や直近の配信を調べたり、「歌ってみた」や「ショート」を一覧で閲覧できるような、Vtuber視聴のポータルサイトとして発展させられたらなと思っています。また、先述のまとめサイトにコミュニティが依存している弊害も感じていますので、一定の節度のある「数字コミュニティ」をつくれたらなと考えています。

Q10 最後に、今後のVtuber界隈あるいはVtuber系まとめサイト界隈について一言お願い致します。

Vtuber界隈が今後さらに発展していくことを願っています。まだまだ一般的には認知されていない業界だと思いますが、アバターを使うのが当たり前になる時代はそう遠くないと思います。Vtuber系に限らず、まとめサイトについては、その違法性を懸念しております。Vtuberに対する名誉棄損が認定されたり、悪質なツイートに対するリツイートやいいねが名誉棄損に当たると認定されたように、「5chを転載しただけ」では言い訳できないことになっていると思いますので、閲覧する皆さんもその点を考えて、節度ある利用をしていただきたいなと思います。

インタビュー後記

Q1、Q2について、ジェネリック集計人の運営するデータ集計サイト「VSTATS」とその管理人である「Holoデータ分析(@Holo_Data)」について尋ねた。独学での集計サイト運営にはかなりの労力を費やすはずだ。その数字に対する熱量の高さがうかがえる。また、ジェネリック集計人も最初から自身のデータ集計サイトを所持していたわけではなく、別のサイトを使用していた状態からの変遷であることが判明した。また、同氏が集計したデータについてまとめられたnoteも投稿されている

Q3、Q4について、ジェネリック集計人がVtuberの巣窟を利用し始めた頃について尋ねた。アンチ系まとめサイトを知った流れは、自分も同じような流れで把握していった覚えがある。これらのまとめサイトについては以前投稿したnoteを参考にしてほしい。

また、追加の質問として、筆者も最近になって調査を行っている「旧ホロライブファンスレ」について尋ねた。これは正直予想外であったのだが、ジェネリック集計人自身、旧ホロライブファンスレの住人であったことが判明した。理由としては、数字を語るために活用していたとのことで、スレ消滅後に「Vtuberの巣窟」へとたどり着いたことが記されている。この「Vtuberの巣窟」が発展した経緯については、後日改めて別の記事を執筆予定である。また、特徴的なコメント欄をもつ「Vtuberの巣窟」であるが、ジェネリック集計人は悪意のある「記事」こそコメントが荒れる原因であると考えているようだ。

Q5、Q6について、ジェネリック集計人として「Vtuberの巣窟」で活動する原因を訪ねた。以前執筆したnoteでは、10月を目途に記事を無視したレスバトルを行う流れができたと書いた。

そんな中、集計人をめぐってとある事件が起きる。元々集計人として活動していた人物が数字を誤魔化し、巣窟民からバッシングを受ける事態となった。これを受け、ジェネリック集計人としてより詳細な数字を掲載することが始まりだったという。

また、ジェネリック集計人としては「Vtuberの活動を否定する方向に集計結果を使ってほしくない」という思いはあるらしい。

Q7について、ジェネリック集計人のスタンスを訪ねた。これが最も自分が想像していたものと乖離していたところで、数字、あるいはホロライブの数字について何かよほど強い主張があって継続をしていると考えていたが、あくまでも数字を比較すること自体の面白さに着目しているようだ。しかし、巣窟民の短絡的?な思考については批判の目を向けている。そして、「hololive SUPER EXPO 2022」への参加について、ジェネリック集計人の立場に確信を持つために尋ねたが、この質問以前にジェネリック集計人自らホロライブのファンであることを公言しているため、少々余計だったかもしれない。そしてVSTATSの運営や巣窟への投稿についても、日常的な行動故という理由が大きいようだ。

Q8~Q10について、最後に「Vtuberの巣窟」とジェネリック集計人の今後について尋ねた。ここで昨今注目の的となっているにじさんじの新人ライバー「壱百満天原サロメ」氏の話に触れた。ネガティブなコメントが目立ち、サロメ嬢の数字で既存のVtuberすべてを攻撃するという流れは確かに自分も確認した。数字で語っていたとされていた巣窟が瓦解し始めている兆候ともとれる。最後にジェネリック集計人は、健全な数字コミュニティと名誉棄損の危険性について憂慮しつつ、インタビューを締めくくった。

Vtuberの巣窟とは何か

今回のインタビューを通して、「Vtuberの巣窟」に深く関わりがあるジェネリック集計人の考え方と立場に少し触れることができたと感じた。ジェネリック集計人は「Vtuberの巣窟」が現在のような形態となる前、5ch内旧ホロライブファンスレからの流れを把握したうえで、当該サイトを発見し、Vtuberの各ランキングを掲載する存在へとなった。その中で、ジェネリック集計人自身はあくまでも悪意を発露しての行動ではなく、純粋な数字への興味とともに投稿を行っていることを感じた。正直に言うと、インタビュー前はその継続した行動の中に、強いホロライブへの愛あるいはにじさんじへの憎しみといった感情が原動力なのではと感じていたが、実態は異なる事が見て取れた。例えば、模範的なVtuberファンだったとしても、登録者数が一定の数字を超えたことを記念して称え、同時接続者数の多さに驚くことは完全に無いとは言えない。ジェネリック集計人は、好悪の感情ではなく、その数字および分布自体に魅力を感じている人物なのではないだろうか。それはジェネリック集計人の投稿したnoteや、集計人が運用するしたらば掲示板でのやり取りを見ても筆者が大きく思い直した点である。

では何故、ジェネリック集計人自身「悪質」とも思える「Vtuberの巣窟」に対してこのような投稿を連続して行っているのか。筆者が思うのは、「純粋な数字ファン」あるいは「純粋なホロライブファン」であるからこそ、他のVtuberへの悪意のあるコメントを「自分でも気づかないうちに見て見ぬふり」をしていたのではないだろうか。こう思う理由は、筆者自身、ジェネリック集計人とは真逆の立場であると感じる点があるためである。以前の記事でも触れたように、筆者自身、潤羽るしあ氏の配信を以前から消極的ではあるが見ていたにも関わらず、事件を調べる中で多くのまとめサイトに触れた。それは、自分の中でどこかホロライブ寄りでない気持ちがあり、その経過に興味を持ってしまった点があったのではないか。例えば、本当に心の底から潤羽るしあ氏を応援し、慕っていたリスナーが、数々の暴言と恥辱にまみれたまとめサイトを閲覧して、平然とした気持ちでいられるだろうか。正気を保って「そうか」だけで済ますことができるだろうか。どこかアンチ寄りな気質が人間の心にあるからこそ、こういったサイトを閲覧し、情報に触れてしまうのだろう。故にジェネリック集計人は、自分の投稿に連なるにじさんじへの叩きコメントを「興味がない」ゆえに「仕方なく」受け入れ、サロメ嬢の躍進を感じたタイミングで、ようやく数字コミュニティとしてではない「Vtuberの巣窟」の様子に気づいたのではないだろうか。

今回のインタビューを経て、「Vtuberの巣窟」の成り立ちについて、追加で記事を書こうと思っている。近日中に更新予定のため、まとめサイトの影響力について憂慮する方にはおすすめしたい。

最後に、twitter、noteともに筆者をブロックしているにも関わらず、インタビューを引き受けてくれたジェネリック集計人に最大の感謝を示しつつ、筆を置く。

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