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ブルマって、誰ですか?

最近、ドラゴンボール超(スーパー)を見ている。

うちでは、夕食のときは一緒に座って、テレビを見ることになっている。
テレビと言っても、うちのテレビは地上波を映せない。
もっぱら、AmazonのFireスティックに頼っていて、ドラゴンボール超もAmazonプライムで見ている。

ごはんを食べながら、すごく集中して何かを見る、というのは疲れてしまうので
気軽に見られるものがいいけど、「孤独のグルメ」も「終電ごはん」も見終わってしまった。
「きのう何食べた?」は、大事に少しずつ見ている。

そうだ、ドラゴンボール。
同居人が好きだと言っていた。
彼は、ドラゴンボールを時系列で語れるくらいに詳しかった。
ドラゴンボールは大変な長編だし、気づいたらトランクスが大人になっていたりするので、すべてを理解するのはなかなか難しい。

わたしは、最低限の知識しか持ち合わせていない。
生まれ育った静岡では、夕方のアニメの再放送と言えば、ドラゴンボールかキテレツが多かった気がするし、ひとつ上の兄と一緒にスーパーファミコンの「天下一武道会」をやっていた。
ドラゴンボールに詳しくはないけど、知らない存在ではない。という位置づけだった。


全部を理解できていなくても、やっぱりドラゴンボールはおもしろい。
やっぱり悟空はかっこいい。
生まれたばっかりのパンがかわいい。
続きが気になって仕方がないので、ドラゴンボールを見るときは「今日のタスクがすべて片付いていて、そのまま眠れる日だけ」と決めた。


相変わらず無職で、不要不急の外出を控えていたら、基本的に家にいる暮らしをしているので
久々に会った友人とも、話す内容はあまりない。
川辺でぼけっとしながら、「そういえば、最近ドラゴンボール見てるんだ」と話した。
「超っていう、いちばん新しいやつ」と付け加えた。

この友人のことは、「弟」と呼び、わたしよりふたつ年下だ。
だいたい年も近いし、話も合うし、10年来の付き合いなので、特に気にせずドラゴンボールの話をした。
彼はその日、ワンピースのTシャツを着ていた。

「フリーザが復活したところですか?」と聞かれたので、「そうそう」と答えた。
ちょうどそのあたりを見ていたし、この「超」のシリーズは、映画化もされている。
弟は、映画が好きだ。

「そういえば、フリーザとブルマって、今まで会ったことなかったんだね」
わたしが子供の頃から、ブルマもフリーザもいたのに、この二人は「超」になるまで出会ったことがなかったらしい。
同居人に聞いたら、「フリーザと戦ってたときは、地球じゃなかったからなあ」と言われた。そうだったのか。
そして、そのあとに言われたひとことが、結構強烈だった。


「ブルマって、誰ですか?」


ブルマだよーーー!!!
もう、最初のドラゴンボールから、ずっと主要人物だよ!
ドラゴンレーダーを作った人で、悟空と旅をしていた人で、おっぱいが大きくて、ベジータの奥さんで、トランクスのお母さん。髪は青い
それがブルマだ。


わたしはずいぶん勝手に、「だいたいみんな、わたしくらいはドラゴンボールのストーリーを把握している」と思い込んでいたのだ。
お箸の使い方や買い物の仕方をみんな知っているように、みんなドラゴンボールのことは知っていると思っていた。
あ、そういえばわたし、正しいお箸の持ち方知らない…

もし、年の近い静岡出身の民がみんな、同じようにドラゴンボールの知識を持ち合わせていたら、それはなんだか誇り高い気がする。

弟は実家がこのへんだし、同じ時間帯に再放送はやっていなかっただろう、と思う。
そうか、ブルマを知らないのか……
なかなかの衝撃だった。

さきほどのわたしの「ブルマの説明」を、どれくらいの人が「知ってる」と言ってくれるのか
もうわたしにはわからない。

わかるのは、「わたしの常識は、みんなの常識ではない」ということ。
弟の感覚では、ブルマのことがよくわかっていないし、
同居人の感覚では、無印のドラゴンボールから、時系列で1番進んでいるGTまで、きちんと説明ができてしまうのである。

たしかにわたしは、弟と同じ速度で、ワンピースやコナンの話はできない。
ワンピースは、ウソップがソゲキングになったあたりで止まっているし、
コナンは子供の頃から好きで、一時期は「夕飯のときにはコナン」だったし、映画も毎年行っているけど、単行本を買っている弟には敵わない。


わたしの常識はみんなの常識じゃない。
そんなことはわかっている。
わかっているつもりだけど、こうしてふいっと抜け落ちてしまう。
そして驚いてしまう。
人生ってまだまだおもしろいな、と歓喜するのである。

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